秘密のままで~3章~「二人の地下室二人の秘密」
あの出来事以来なんとなくあの地下室へ行くことをためらっていた。
"なぜ?"ばかりがループして、どうすべきなのか一向に活路を見出せない。
でも、あの言葉を書いて以来何も返事がこない彼女の立場になって考えると少しだけ胸が痛む。
勇気を出して書いたに違いない。おちょくっている可能性も無くはないが、根拠の無い自信が僕にはあった。
文字には人柄がそのまま表れる。僕の祖母がよく言っていた。
あの文字には優しさと、ほんの少しだけ寂しさが宿っていた。
長く彼女の気持ちを考え続けて