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【小ネタ】お店のアルコール提供禁止で感染予防に効果があるのか?イリノイ大学の最新研究より考えてみる。

【参考文献】Alcohol narrows physical distance between strangers

現在、10都道府県に緊急事態宣言が出されています。

宣言下では、お店でのアルコール提供が禁止となっています。

一応、先日までは、「お酒を持ち込み」はOKだったみたいですが、それも今は禁止のようです。

アルコール提供の是非は、「感染予防になる派」と「感染予防にならない派」でよく議論されている話題かと思います。

実際、アルコール禁止によりコロナ抑制効果について科学的根拠はあるのでしょうか。

アルコール摂取にによる人の物理的な距離の関係について調べた、イリノイ大学の最新研究(2021年5月18日発表)[文献1]によると、アルコール提供を抑えることは、多少、感染予防に効果がありそうです

【方法】
本研究では、参加者212名が「アルコール飲料摂取グループ」と「ノンアルコール飲料摂取グループ」にランダム割り振られました。ビデオで行動を撮影され、20,000超えるデータセットが得られ、近接測定値を分析することにより社会的相互作用中の物理的距離に対するアルコール消費の影響を調べました。

次のような結果が得られました。

【結果】
アルコールは、
馴染みの無い相手に対して物理的距離近づけ、出会ってから30分以内という短い時間の中で確認された。公衆衛生に潜在的に重要な影響を与える程度であった。
・一方、慣れ親しんだ相手との物理的距離に影響を与えなかった。

よって、筆者らはこの結果より、「アルコールは、知り合いではないもの同士の社会集団間のウイルス感染を促進するように作用する可能性がある」と結論づけています。

「アルコール禁止による感染予防は科学的根拠がない」とは言えなさそうですね。

以前まで、店でのアルコール提供は禁止、持ち込みはOKであったので、わりと合理的だったのではないでしょうか。持ち込みの場合は、親しい人と飲む場合がほとんどかと思われるので。まぁ、政府が意図せず合理だったのだと思いますが。

なお、個人的には、感染予防に対して「アルコール禁止派」「アルコール肯定派」どちらかを応援するわけではないです。一応、アルコール摂取により感染に対する影響は多少なりともあるという事実を紹介したまでです。

アルコール禁止はであれ、アルコール肯定はであれ、主観や思い込みで議論するのではなく、客観的な事実に基づき判断することが重要と考えます。アルコール肯定派に有利なデータも今後出てくるかもしれません。いずれも、エビデンスをしっかり示した上での議論が必要かと思われます。

今回、一つのデータとして

アルコール摂取
→知らない人どうしの物理的距離を近づける
→既に親しい人どうしの物理的距離には影響を与えない

は覚えておいて損はないと思います。


以上、「たまには時事ネタを扱ってみたい」と思い記事にしてみました。いつもは、最新の科学論文を基に、他のサイトでは「まだ扱れていない」日常で役立てられる情報を提供しています。(普段からコロナの記事ばっかり書いているわけではないです。むしろ初めてでした)

ぜひ興味があれば、他の記事もご一読を。

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