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梨さんの依談『やこえ』について考えてみた

前に読んだ時は「動画が気味悪〜い」で深く考えず丸呑みしたんですが、今回反芻し直してみました。

ネタバレしてます。


◆大まかな内容

①梨氏の知り合いのライターについて
 + 注意書き

・鹿児島県警察の『身元不明死者詳細情報』より転載文章
(→おそらく後述の梨氏の知り合いのライター男性について)

・ライター男性が、梨氏にメールで送ってきた文章と動画を公開する旨。
また、これを閲覧した人に影響が出るかもしれないという注意書き。

②ライター男性の文章「一」

・ライターが初めて、鹿児島県鹿屋市輝北町を訪れたときの話。
・町の図書室で民俗誌を調べようとしたときに体験した気味の悪い話。

③ライター男性の文章「ニ」

・「やこちゃん」という女の子のイマジナリーフレンドの話

④ライター男性の文章「三」

・南九州地方の「野狐憑き」の話
・やこちゃんの狐憑きの話

⑤ライター男性の文章「四」

・「幽霊を作る方法」の話

⑥ライター男性が送ってきた動画

・”堂免禰子さん(10)を探している”というニュース映像のような動画。

・「堂免禰子」という人物が存在しないこと、この動画がどこかで放映された形跡はないことが、梨氏により付記される。


◆疑問点、思いついたことの羅列

◈やこちゃんの名前について

・「文章中の明らかな誤字については修正を入れていますが、基本的には原文を転載しています。」とあるが、これは
「やこちゃん」の名前のところか?

・やこちゃんのフルネームらしきものが最後に「堂免禰子」と書かれていたが、「禰」の字は「や」とは読まない。
似ている字なら「彌」で「や」と読む。

・ちなみに「禰子」を「ねこ」と読めば「禰宜(神職の名称)の子孫」という意味を持つ。
「堂免」という苗字も、”村落の寺社の御堂を維持するために作られた免田”という意味を持つようなので、もしかしたら神社と関係のある名前……?

・また「やこ」という音と、狐憑きになったことから連想されるのは狐の妖怪である「野狐」。
稲荷神社では狐が深く関係しているが……🤔

◈「の」の字に丸をつけていた意味は?

・「の」の成り立ちを調べてみると……
「乃」という漢字をくずして出来たようですね。

【「乃」の漢字の成り立ち】
細長いものが垂れている象形、弦を外して垂れた弓の象形、お腹の中の胎児の象形からなど諸説あり。

また「乃」の下に「子」をつけた漢字が「孕」……つまり妊娠すること。
やこちゃんの母親は、何かを産もうとしてた感じしますね。

ほとんど誰にも興味を持たれず、埃を被っている民俗誌の中で、最近に触られた形跡のある本。
おそらく、やこちゃんの母親が何か儀式的なことに使っていたのでは?

・そういえば、ライターが手に取った民俗誌の題名は何だったんだろうなぁ。
ソースコード見ても完全な空白だったね……

◈腫れ物扱いについて

・やこちゃん一家を知る近隣住民たちの、ぎこちない態度も気になりますね……

「ちょっと前に、病気かなんか忘れたけど、亡くなっちゃって。娘さんが。」

(本文より。別の地区の司書のセリフ)

→やこちゃんのことは「かわいらしい女の子だった」と、よく知ってる風なのに、死因についてはあやふやなのが不自然。わざとぼかしている?

彼女については、あの地域一帯では殆どの人がご存知であったようです。そしてその多くが、なぜあのようになったのかは口を噤み、話したがらないような素振りを見せていました

(本文より)

・地域の人々は直接か、噂話などで、やこちゃんの狐憑きの状態を知っていた。
そして、やこちゃんが亡くなって母親の様子がおかしいことも。

人が亡くなってるとはいえ、噂好きの人なら「実はね……」とか言って喋っちゃいそうなものだけど。

誰から聞いたかは口外しない、幾つかの情報には特定を避けるためのぼかしを入れるという条件の下で、幸運にも数名の方から話を聞かせて頂けたのです。

(本文より)

実際は、かなり厳重な感じで話を聞かせてくれた様子。

住民たち、やこちゃん一家を怖れているor 何か負い目を感じている……?

・そういえば、昔は「狐憑き」と言われていたものの正体って、現代では「抗NMDA受容体脳炎」という病気で説明できるらしいですね。
親も近隣住民もオカルト的に「狐に取り憑かれた」と思って適切な治療をしなかった末の死亡だったら嫌だな……

近所の人も、「狐憑き」の家筋だと思って敬遠してたりとか……

まあ、本当のところはわかりませんけどね。

◈やこちゃんのイマジナリーフレンド

・本来ならば発達上で何ら問題ない「イマジナリーフレンド」。
しかし、”本人”だけではなく”周りの人”も一緒になって、あたかも存在するかのように扱い始めたから、様子がおかしくなった?

私が思うに、「誰かの想像上の友人に応対し、実在するものとして扱う」ことは、そういったおそろしい存在をつくる手段にもなりうるのではないでしょうか。

(本文より)

ライター男性は「幽霊を作る方法」と絡めて、上記のようなことを言っていましたね。

やこちゃん一家は「おそろしい存在」を作り出してしまったのか……?





……はい、という感じで「やこちゃん」について色々思いを巡らせてみました。

でも結局、「やこちゃん」のお話ってライター男性が”創作したもの”なんだよね。
だって「堂免禰子」という人物は存在してなかったことが最後に判明してるわけで。


◆結局、どういう話なのか?

・「やこちゃん」の話は ”ライター男性による作り話” です。
そして、ライター男性の存在も、おそらく梨氏による作り話です。

だって、ここにこう書いてある↓

或いは、SNSでも何でも良いのですが、誰か身近な人が亡くなったことを示唆する文章を創作して、拡散する。

そうして、存在しない死者を作り、それを一瞬でも「本当のこと」として不特定多数の人々に周知させることで、生死も存在の有無も越えたところにある何かを呼び込むのです。

(本文より)

・梨氏に”メールを送れるくらい親しい仲”の男性の”死亡情報”。
まんま「身近な人が亡くなったことを示唆する文章」じゃないですか😬
そしてtaleとして拡散している。

・我々は ”ルポライターが現地で取材した話だから”と「やこちゃん」の話を無条件に信じてしまった。

また、”身元不明情報と、遺族の了承を取った上での記事”ということで、実在するライターの体験談だと思い込んでしまった。

→臨場感ある”作り話”を重ねることで、より読者に”本当のこと”だと思わせようとした?

・モキュメンタリーを二重にすることで、”本物らしさ”を底上げ。

そして、散りばめられた意味深な謎を解こうと、登場人物たちについて想像を巡らすことで、存在の補強をはかっている?

取り敢えず、また読者が巻き込まれてるのは確かだよねぇ😣

・まとめると……
イマジナリーフレンドを作り上げた「
やこちゃん」、の物語を創作した「ルポライター男性」、が不審死したという創作話を梨氏が公開した、ということで良いかしらね。
入れ子構造〜


・最後に。ふと思った嫌なこと。

「閲覧している方の心身に何らかの影響を及ぼすおそれがあると判明したため、該当する部分を簡易的に隠しています

(本文より)

動画では、やこちゃんの写真の目の部分に黒い●をくっつけて隠してるんだけど……
これさ、逆に”そこ"を見るように仕向けてないか?
目が露出したままだと、視聴者は目を逸らすけど、目隠しをしてあれば警戒心薄れて、"そこ"を見ちゃわない?

こちらからは見えていなくても、あちらからは見えていて、実は目が合ってるのでは?

・そういえば、ソースコードに隠し一文があるんですよね。
「またあえたね」
って。

やこちゃん、読者のこと認識している……?
何もないところから生まれてしまった?😰





長々と述べてきましたが、これでおしまいです。
ここまでお読み頂き、おつかれさまでございました👻



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