haematologist

血液内科専門医/造血細胞移植認定医

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最近の記事

血液疾患患者さんが病気について知っておくことの重要性

 血液疾患患者さんにおけるコロナワクチンについても一通り現時点のことについてはまとまったので、次は患者さんへの血液疾患についての情報提供を行っていきたいと思います。  どんな病気でも患者さんが自分の病気をよく理解しておくことは重要ですが、特に血液疾患の場合は、患者さん自身が病気について理解しておくことが治療成績の向上につながるのではないかと日々の診療から感じています。  なぜなら、血液疾患はその多くはすぐに治るといったものではなく、短くても数年、場合によっては一生涯付き合

    • 【結論】血液疾患×コロナワクチン

       いままで血液疾患患者さんのコロナワクチン接種について、国内外の情報を紹介してきましたが、これを読んだ僕なりの結論を記載します。 1.  一般の人々と同様の安全性が示されているので、基本的にすべての血液疾患の患者さんにおいてワクチン接種がすすめられます。 2.  患者さんを守る意味で、可能な限り周囲の人(家族など)もワクチン接種を行うようにしましょう。 3.  現行国内で使用できるCOVID-19ワクチンにおいては、ワクチン接種したからといって新型コロナウイルスを発症す

      • がん患者さんにおけるCOVID-19ワクチン(ファイザー)の有効性と安全性

         血液腫瘍を含めたがん患者さんでは、ワクチンの有効性(抗体を獲得する確率)が一般の人々より低いのではないか、という話が今までも何度か出てきましたが、なかなかデータがないのが実情でした。  今回紹介するのは、世界的な医学雑誌Lancetに報告された「がん患者さんに対するCOVID-19ワクチン(ファイザー)の1回投与と2回投与の安全性と有効性:前向き観察研究の中間解析」です。 背景:がん患者さんにおけるCOVID-19ワクチンの有効性と安全性は明らかではありません。そこで

        • 日本血栓止血学会・日本血液学会「出血傾向を有する患者さんが新型コロナワクチン接種を受ける際の注意点」

           今回は、血液疾患により出血傾向を有する患者さんのために日本血栓止血学会・日本血液学会が作成した「血友病・フォン・ヴィレブランド病を含めた凝固・線溶系、血小板の異常症により出血傾向を有する患者さんが新型コロナワクチン接種を受ける際の注意点」を紹介します。  海外からも似たようなものはでていますが、あまり相違点はないようですので、これを紹介することにしました。いつも通り、要約してお届けします。  インフルエンザワクチンなど私たちが普段お世話になるワクチンはそのほとんどが皮下

        血液疾患患者さんが病気について知っておくことの重要性

        • 【結論】血液疾患×コロナワクチン

        • がん患者さんにおけるCOVID-19ワクチン(ファイザー)の有効性と安全性

        • 日本血栓止血学会・日本血液学会「出血傾向を有する患者さんが新型コロナワクチン接種を受ける際の注意点」

          International Myeloma Society「骨髄腫および類縁疾患に 対する新型コロナウイルスワクチンの推奨」

            今回は、International Myeloma Society(国際骨髄腫学会と訳していいのか)からでている「骨髄腫および類縁疾患に対する新型コロナウイルスワクチンの推奨」を紹介します。   と思ったのですが、実はすでに日本骨髄腫学会よりその和訳「骨髄腫患者に対する新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種について」が出ていました。訳したのみならず、日本の現状にも即して書いてあるので、参考になると思います。  この中で、特に患者さんに役立つと思われる点をま

          International Myeloma Society「骨髄腫および類縁疾患に 対する新型コロナウイルスワクチンの推奨」

          米国血液学会「免疫不全患者さんに対するCOVID-19ワクチンの一般原則」

           今回は、米国血液学会から出されている「免疫不全患者に対するCOVID-19ワクチンの一般原則」を紹介します。前回までは造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんに限定されていましたが、今回のものはより広い範囲を対象にしています。とても長いので一部抜粋して掲載します。  なお、ここでいう免疫不全患者さんとは、血液疾患で抗がん剤治療や免疫抑制剤投与を受けている患者さんすべてを含むといっても過言ではないと思います。  より多くの患者さんあるいは医療従事者のご参考にな

          米国血液学会「免疫不全患者さんに対するCOVID-19ワクチンの一般原則」

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section E

           今回も、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」の続きを掲載します。  今回が最終回です。患者さん本人ではなく、その周囲の人(家族など)へのSection となっています。 セクション E:造血細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんの近親者へのCOVID-19 ワクチン接種に関する推奨事項 Q. 免疫不全患者における COVID-19 ワクチンの安全性と有効性に関するデ

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section E

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section D

           今回も、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」の続きを掲載します。 セクションD: 造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種後の血清学的検査 Q. COVID-19ワクチン接種後のCOVID-19抗体検査の意義と時期について  スパイクタンパク質の受容体結合ドメインに対する中和抗体は、再感染予防において重要であると考えられていま

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section D

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section C

           今回も、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」の続きを掲載します。 セクション C: 特殊な造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおける推奨事項 Q. 造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた小児患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関して追加で考慮すべきことはありますか?  米国では、現在利用可能なCOVID-19ワクチンの年齢制限は、ファイザ

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section C

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section B

           今回も、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」の続きを掲載します。 セクションB: 造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチンの安全性 Q. COVID-19ワクチンはmRNAワクチンですが、mRNAワクチンの安全性は免疫不全患者さんで以前に検討されていますか?  米国では他に認可されたmRNAワクチンはありませんが、mRNAワクチン

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section B

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section A

           今回は、米国から発信されている「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」を掲載します。  前回までの欧州のものと合わせて、ご参考になればと思います。今回もそのままの和訳ではなく、要約+解説しています。  Section AからDまであり長いので、まずはSection Aのみです。 緒言 造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるワクチンの安全性と有効性に関するデータはほとんどありま

          米国血液学会・米国移植学会「造血幹細胞移植あるいはCAR-T療法を受けた患者さんにおけるCOVID-19ワクチン接種」Section A

          ヨーロッパ血液学会「血液疾患患者(血液腫瘍を除く)におけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」

           前回に続いてヨーロッパ血液学会からでている「血液疾患患者(血液腫瘍を除く)におけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」を取り上げます。  前回は、白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫などの血液腫瘍患者さんが対象でしたが、今回は血液腫瘍ではない血液疾患、例えば貧血や血小板減少の患者さんが対象になります。  前回同様、和訳(+要約+解説)して記載します。 全般的な勧告1) ワクチン接種によって、感染予防行動(マスクの使用、手指の消毒、ソーシャルディスタンスな

          ヨーロッパ血液学会「血液疾患患者(血液腫瘍を除く)におけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」

          ヨーロッパ血液学会「血液腫瘍患者におけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」

          ヨーロッパ血液学会がHPに掲載している「血液腫瘍患者におけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」を和訳(+要約+解説)して掲載します。 血液腫瘍とは、白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などをさします。 1) 血液腫瘍、特に急性白血病、慢性白血病、悪性リンパ腫および多発性骨髄腫の患者さんは、感染リスク、COVID-19重症化リスクが高い人々です。従って、ワクチン接種が勧められます。 2) しかし、もともとの病気および抗がん剤治療によって免疫力が下がってしま

          ヨーロッパ血液学会「血液腫瘍患者におけるCOVID-19ワクチン接種に関する専門家の意見」