世界幸福度ランキングってあんまり意味ない
本年度の「世界幸福度レポート」(World Happiness Report) が、例年のごとく発表されました。これねー、名前があきらかにウケねらいなんですよ。
というのも、この幸福度ランキングがもとにしている変数は、
・一人当たりの国内総生産(GDP)
・社会保障や支援
・選択の自由
・健康(寿命とか)
・寛容さ(献金・寄付とか)
・汚職や腐敗のレベル
の6項目です。当然、さらに細分化した数値を使って算出してあります。
でも、これって幸福の基準でしょうか。そもそも幸福って、もっと個人的かつ主観的なものだと思うんですが。
上記の6項目は確かに幸福の要素をなすものでしょうが、これをもとにするんだったら、「幸福度」なんて言わずに、「social quality (社会的な質)」とか、「国の安定性 (stability) のざっくりした統計」と呼ぶほうが適切な気がします。
ただそうすると、一般人の興味をひけないんで、「幸福度」ってことにしてるんでしょう。
まぁそれはいいとして、このランキング、日本のメディアはなんとなーく情報を端折って報道してませんか?
本年度に発表されたランキングで、日本は137カ国中 47位。この順位だけを見て、「思ったより悪くないかも」とか、「真ん中より上」、「トップ50位に入ってる」という発言をネットで見かけて、こけそうになりました。
47位というのは、先進主要7か国のなかでは最下位です。
それだけでなく、日本の幸福度指数は、ニカラグア(40位)、グアテマラ (43位)、カザフスタン(44位) より下です。
ただし、これらの国と比べて、日本が社会的な質や国の安定性において劣っていることはないので、じゃあやっぱり「幸福度」なん?ってことになるのですが、国レベルで言われてもなぁ。
また、「北欧」は幸福度が高い、という認識は、間違いではないにしても誤謬を含んでいます。妥当な表現は、幸福度の上位は「小国」が占めている、です。
ちなみに、私がいま住むデンマークは2位です。デンマーク政府やデンマーク人は、これをけっこう自慢気にいうので、うざいです。
そして、私が長年すんでいたイギリスは 19位。
じゃ、世界幸福度で堂々第2位のデンマークに住んでいる私は、イギリスにいた時よりも幸福なのか、というと、なんかビミョー。というのも、結局、幸福度というのは、個人の感じ方や置かれている状況によって変わるからです。
ランキングに一喜一憂するのは、とりあえず国を預かっている政府にまかせておけばいいんじゃないでしょうか。
それよりも、私たち個人は、自己と他者の幸福のために自分はどんな努力をしているだろうか、と考えてみるほうが大事だろうと思います。
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