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【漫画技法まとめ】パズルつなぎというコマ割り方法

サイレント漫画の作り方レシピの記事で使った「パズルつなぎ」という漫画技法の詳しい説明をします。これは、コマの中の絵がとても動いて見えるコマ割りの方法です。



パズルつなぎの説明

パズルつなぎを簡単に説明しますと、まず、コマの中に入れる絵を組み合わせられる要素とします。そして前後のコマの中の絵の要素を重複させつつ、他の要素を足したり引いたりします。そうすると前後関係のある動きの流れが出来ます。この方法をパズルつなぎと仮に呼びます。簡単な例を2つ描きましたので説明していきます。


上から下にスライドさせる

1つ目の例を説明します。下の絵と図がそうです。絵の要素に記号を振ってあって、下にそれが足されたり引かれたりしているのを説明していますのでよく見てください。

星空や山や湖や茂みに記号が振られています。これらの要素を組み合わせられるものとしています。これらは前後で2回使われ重複しています。同時に他の要素は足されたり引かれたりしています。こうすると、前後感が出て、上から下にスライドしていく動きが出ます。


真ん中に向かってクローズアップさせる

2つ目の例を説明します。下の絵と図がそうです。こちらも要素に記号を振ってあって、下にそれが足されたり引かれたりしているのを説明していますのでよく見てください。

建物や窓や金魚鉢や金魚に記号が振られています。これらの要素を組み合わせられるものとしています。これらは前後で2回使われ重複しています(アップにされても同じ要素です)。同時に他の要素は足されたり引かれたりしています。こうすると、前後感が出て奥にクローズアップしていく動きが出ます。


2つは同じパズルつなぎで描かれている

2つの例を見比べてください、構図の違いで絵の動きが違って見えます。しかし、どちらも全く同じ記号の入れ替えをフキダシで説明していますよね?式にすると、

A→A+B→B+C→C+D

になります。絵の動きが異なるのに記号だけで考えた時は同じことをしているなんて、不思議な感じです。でもこれが、パズルつなぎという方法です。どんな構図でも、それを動かそうとする時に絵を要素と考えて、足したり引いたり、パズルみたいに組み合わせを作っていきます。コマ割りのコツみたいなものです。


引用したい手塚治虫の初期作品

手塚治虫の初期の漫画「ファウスト」を読んでいて、この表現はまるで、パズルつなぎ?みたいだな、と思う所がありました。ハルツ山での演劇のシーンで、女神ヘレネ役の演者が元の蛇に戻ってしまうシーンとかです。それに全体的に絵がよく動いて見えるお話で、パズルのように組み合わされていているみたいと思いました。画像を引用できれば分かりやすいのだけれど、無断引用できないようなので諦めました。


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以上、解説の所を1枚のページにまとめたものをここからダウンロード出来ます。B5版グレースケール解像度350dpiです。※今回は無料版のため白黒線画です。今後カラーの有料版をアップする予定です。

↓こういう1枚のページがダウンロード出来ます!

↓こちらは「パズルつなぎ」を使った、漫画の描き方レシピです。どうやって描いたのか説明を描いています。

この記事はnoteのマガジン、「サイレント漫画の作り方レシピ」の記事の1つです。1ページのサイレント漫画と、その漫画の描き方についての記事を書いています。

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