あだち充『H2』ネーム完全解剖    第20巻 第9話

第9話 大きすぎる期待
千川対伊羽商の試合開始。千川の先攻。
伊羽商・月形の非凡さと、それを越える千川・比呂の凄さに触れる回。この試合の演出は難しい。ラストに劇的な場面が用意されているがそこまでの引っ張り方が難儀なのだ。あまり盛り上がるとラストが際立たない。抑えすぎると読者が目を離してしまう。あだちさんは月形選手の身辺事情でそこを切り抜ける算段。
それらは次回以降に触れるとして、本回では野球漫画の

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第18巻

夏の甲子園出場を決めた千川高校が、現地に乗り込むまでの巻。同じ東京の南地区代表に明和第一がなり、比呂と英雄の甲子園対決を読者にハッキリ意識させる展開になっている。

第1話 すごすぎだよ
現在進行形ながらノスタルジックな雰囲気がある。それは他の全員がこれから先の事を見つめている中で、主人公・比呂(そして春華)が辿り来た道の険しさを振り返っているからである。
最終2ページ「知ってます?」の場面が決ま

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第20巻

この前後数巻は『H2』の胸つき八丁だ。
野球漫画としての結末は既に決まっていただろう。それは言葉を替えれば、この辺りが手順のための手順になってしまう恐れがあるという意味だ。手順のための手中に陥ると漫画の熱量低下を招くし、読者も勘づいて離れてしまう。長期連載をやっていると、こう言う難しい時期は必ず来る。そこをどう乗り切るかが漫画家の腕である。
同じ野球漫画でも佐々木守+水島新司『男ドあほう甲子園』な

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第21巻

本巻は全巻の三分の二に当たる。19から22巻辺りが、あだちさんにとって製作にもっとも苦労したのではないだろか。
千川高校・比呂が栄京学園・広田との正面衝突を乗り越えたあと、読者が期待するのは明和第一・英雄との対決だ。だがそれをするには人間関係の整理がついていない。何よりまだ二年生の夏である。高校生活はまだ一年あるのだ。
つまり、クライマックスのための消化試合をここではこなすことになる。製作してる方

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