見出し画像

我らがフューネラルドゥームの深海王Ahabの最新作The Coral Tombs感想

皆さんハマタイです。
センター試験の物理で最初の大問1枠以外全問正解だったのに大問1の小問集合が全問不正解だったが故に志望校に落ちてしまった悩める海牛です。
ドゥームメタル好きの皆さん、あのAhabが8年振りにとうとう新作を発売しました!新作があまりにも素晴らしかったので勢いそのままにnoteを書いていきたいと思います。


全体の感想

まずこの最新作「The Coral Tombs」を作品単位で聴いてですが「メロディセンスがまた進化してないかい?」や「フォーネラルすぎて特級呪物だよ!」とボディビルの掛け声みたいな感想しかでなかったぐらいには圧倒的でやられてしまいました。海底二万里をコンセプトにしゲストも迎えた渾身の最新作、とくとご覧あれ!な内容でした。
とりあえずここからは1曲ずつ感想をまとめていきます。

Prof. Arronax' Descent Into the Vast Oceans

まさかの1曲目出だしがブラストビートという虚を突かれたような展開に驚いてしまいますがそこはAhab、ブラストビートが終わった後はいつも通りのそして彼らの代名詞でもある海を揺蕩うようなクリーントーンのアルペジオと個人的にですがドゥーム界でも特に美声とされているダニエルの歌声でもう満足ですよ。ブラストビートのぶちかましがあったのはゲストとしてブラックメタルバンドのULTHAがゲスト出演してるからかもしれませんね。
また曲名からもわかるかと思いますが海底二万里の登場人物であるアロナックスに関しての曲です。

Colossus of the Liquid Graves

シングルとして先出されていた曲
今作で1番聴きやすい(当社比)フォーネラルドゥーム曲です。
不気味に歪んだリフ、少し歪みが硬くなったベース、相変わらずゆったりなドラム、そしてデスボイスとクリーンの使い分けが完璧なボーカルとこのバンドにしては短い6分台の曲ですが構成は完璧です。

Mobilis in Mobili

海底二万里ファンなら曲名ですぐピンとくるであろうこちらも先出シングルにされた曲
出だしが何やらコポコポとクトゥルフ的怖さを演出しながらとなっていてこの時点で100点満点なのですが、ここから畳みかけるように遅く暗く深海をゆったり進むノーチラス号の如く演奏が始まります。そしてドラムが入った途端またブラストビート(今回は1曲目よりはテンポが遅い)、そして安定のデスボイスと何一つ不満がありません。最高です。
そして曲の後半になると揺蕩うようなアルペジオ、うっすら流れるキーボードが流れまた最後には重くのしかかるデスボイスとこの曲名、すなわち「動中の動」を表現するにはぴったりすぎる演出で素晴らしい曲ですよ。

The Sea As a Desert

ここでようやく10分越え曲
曲名の通り海を砂漠のように例える出だしのエスニックなリフから始まるこれまた彼ららしさ全開の曲です。
この曲は特にアルペジオが印象的ですね、この広大な海を進むノーチラス号と脱出を試みようとするアロナックス、この緊張感がどこまでも続くのかと思わせるような曲構成となっています。

A Coral Tomb

そしてここで表題曲
珊瑚の墓と表されるこの曲はその名の通り死んだ珊瑚しかない海中を表現するかのような悲壮感ある出だしから曲が始まります。
呻くようなダニエルのデスボイスがより一層悲壮感を強くしています。
唯一この曲のみポストメタルっぽいこともあってか全曲通して聴くと目立つほどの起伏がないのに印象の残る曲となっていて不思議な感覚になります。

Ægri Somnia

今作最長となる曲
この曲も彼らお得意のメロウで静かなギターと激しく重く遅く鳴り響く極厚音像の高低差キーン系統の曲です。
特に中盤から後半にかけての不穏な空気になる歪んだベース、マイナー調のアルペジオの展開がツボすぎてそこのみをずっと聴いていたくなるほど。
盛り上がりが終わる最後のノイズ気味のフィードバックが最後の曲に向けての助走のような演出に次曲へのわくわく感をださせてくれますね。

The Mælstrom

彼らと同じくフォーネラルドゥームバンドのESOTERICのボーカルGreg Chandlerがゲスト参加した最後の曲
長かったようで短かった、そんな今作の深海探索も終わりを迎えます。
曲名の通り海底二万里の最後の盛り上がりでもある魔の大渦に関する曲で、この大渦に巻き込まれたノーチラス号から脱出をするアロナックスとその仲間、この物語がどういった最後を迎えるかは是非とも原作でもある海底二万里を購入して読んでみてほしいです。
原作の最後のような盛り上がりと緊迫感、この曲はその二つを見事に再現しておりフォーネラルドゥーム界全体でもかなり完成度の高いものとなっているのでは?と個人的には思ってます。最後の断末魔にも似たデスボイスは海底二万里を読んだファンなら「そうか、、、そういうことだったのか、、、」とゲッター線に導かれたかのような悟りを開くことでしょう。

最後に

8年振りの新作、しかも海底二万里をモチーフにしていると、こんなのどう考えたって名作になるに決まってるじゃん!と新作発表があったときから思っていましたがまさにその通りになりました。
Ahabの最新作を聴けてようやく自分の中の2023年が始まった、そんな気がしています。
ちなみに大渦に巻き込まれた後のノーチラス号は神秘の島という作品でどうなったかが描かれているのでこの記事や作品を聴いて海底二万里に関して気になった方は神秘の島もセットで購入することをおすすめします。(さらに言うとグラント船長の子供たちも買ってほしいです。)

今年もたくさんのドゥームメタル作品が世に生まれることを期待して、終わりたいと思います。
ここまで見てくださりありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?