ケース03 DV被害者への対応

 DV被害者については、ある程度決まった流れがあるそうです。

 夫の担当した方は、6歳と2歳の娘をもつ20代女性でした。

 日常的に夫(紛らわしいけど被害者の)から暴力を受け、これ以上一緒に生活をすると、生命の危険があると感じた女性は、裸一貫、子供達だけを連れて市役所に駆け込んだそうです。

 こういった場合、まずは一時的に逃げ込めるような施設(シェルターと呼ばれているそう)を案内し、そこに身を隠しながら生活をしてもらうそうです。そこでの生活費については、生活保護で面倒をみることになります。

 ある程度心身が落ち着いて来た段階で、転居先を探すそうです。転居先については、夫が居場所を予想できない場所を中心に探すとのこと。具体的には両家の実家、出身地、共通の友人がいる場所等は避けるそうで、転居費用については、生活保護で対応できるとのことです。

 転居後も引き続き生活保護は継続されますので、知らない土地でも安心して暮らすことができるそうです。

 また住民票を移す際は、夫が住民票から住所を特定できないよう、閲覧制限をかけるそうで、夫に怯えることなく新生活をスタートすることができます。

 夫の担当していた方は夫(クズ)の暴力により、精神・肉体ともに深く傷つき、シェルターでもふさぎこんでいたそうです。そんな中シェルター職員が親身になって面倒を見てくださったり、他の入居者と交流することで、少しづつ元気を取り戻していき、また子供達についても、最初は慣れない環境で戸惑っている様子でしたが、お母さんが元気を取り戻していくのと同時に笑顔が増えるようになったそうです。夫も訪問に行った際はよく鬼ごっこをして遊んだそうです。

 転居先が無事決まり、いよいよ旅立つことになった当日、女性と子供達が最後に手夫へ手紙を残してくれました。女性からは「生きる希望が湧いて来ました。ありがとう」子供達からは「また遊んでね」との内容と似顔絵が・・・

 夫は人前にもはばからず涙を流し、女性と子供も、施設職員も泣いていたそうです。

 生活保護担当として、数少ないいい思い出とのこと。

 生活保護を通し、再び自分の力で立ち上がるチャンスをつかんでもらう・・・福祉というのはこういう人のためにあるべきなのだと思います。

 

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