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オガールの旅

オガールは岩手県紫波町にあるエリアのこと。敷地内には芝生の広場を囲んで、図書館があり、役場があり、保育園があり、小児科があり、バレーボール専用体育館があり、ホテルがある。産直マルシェやベーカリー、居酒屋にカフェ、コンビニと暮らしに必要なお店もある。隣のエリアにはエコタウンが広がる。フットボールセンターもある。木質バイオマスでエネルギー供給もしてるし、実は土地は町有地で事業は民間が資金調達から運営資金まで生み出している。日本の公民連携とか、地方創生とかの最先端デパートのようなところ。

オガールプロジェクトは長い間ほっとかれた駅前にある町有地で展開されています。10年前は無人駅だった駅が、有人駅になり、今ではSuica対応に設備投資されました。JRも投資しても良いと判断したんでしょうね。

多分2ヶ月前にはなかったはず。

公民連携1:配置計画

紫波中央駅から出ると、オガールはあります。目に入るのは緑の広場。広場を囲むように建物があります。この広場、一人でも、グループでも、ただただ居てもいい場所、東屋や植栽によって、ちょっと隠れている安心感があります。
広場を囲むように図書館やマルシェ、店舗、役場と施設があって、その後ろに駐車場、さらにその背後にフットボールセンターとグラウンド、スポーツ施設があり、逆の背後には住宅地。
行政と民間の施設、敷地がシームレスです。もちろん目に見えない境界はあるはずだけど、それを感じさせない統一感があります。

水回りがある東屋
イベント時にテント宿泊
夕暮れも素敵

公民連携2 施設・テナント構成

オガールアリーナ

おそらく、日本で一つしかないでしょう。民間のバレーボール専用体育館。床は国際基準のタラフレックス。でも、行政の体育館にあるような客席やステージはありません。バレーボールをする人の痒い所に手が届く工夫がたくさんされています。プレイをすぐにスクリーンに映して確認できたり、断熱装備で寒い日の練習でも体の負担が少ないことだったり、入り口には大きな製氷器があったり、その隣には大浴場。お隣には宿泊施設のオガールイン。もう至れり尽くせりです。

地元のバレーボールチームの練習

オガールイン

アリーナに隣接してというか、同じ施設内に宿泊施設があります。スポーツ合宿に最適で、ツインとシングルの部屋があって、部屋に室内物干しワイヤーがあります。断熱仕様なので、寒い冬も練習後に外に出ないで部屋に行けます。ホテルのレストランは合宿対応ができます。スポーツ選手は自分のタイミングでエネルギーを補給したいらしく、細やかなリクエストも対応しています。

2階建てなのでエレベーターはないし、天井も剥き出し。大事なところだけにお金をかけてそうじゃないところは最低限にして、でもセンス良くする工夫が至る所でされています。

フロント。右に行けば大浴場、アリーナ。
おしゃれな部屋番号ロゴ。
ツインの部屋
シングルの部屋

図書館と情報交流館とマルシェ

オガールプロジェクトのミッションの一つは図書館を作るということでした。

エントランス
高い天井。入った瞬間、うゎって声がでそうになる。

この図書館、施設を見ただけでは凄さがわかりません。図書館としての取り組みはもちろん、紫波町の産業である農業を支える取り組みをしています。行政的ですが、図書館と産業支援がシームレスになっていることが驚きなんです。公民連携というか公公連携です。

図書館と一緒に情報交流館があります。会議室や講堂、キッチンなどがあり、会議やサークル、発表会など市民活動に利用されています。

講堂。ここでシンポジウムやライブができる。
スクリーンやテーブル椅子、照明、音響など、必要なものはだいたいある。
掃除はルンバ。

マルシェの写真がないのですが、とても素敵なマルシェが隣接しています。産直野菜はもちろんですが、それ以外の新鮮なお野菜や肉や魚、お惣菜など暮らしを豊かにしてくれる食材がたくさんあります。お土産コーナーもあります。行政が関わる施設なのに、上部だけの地域優先ではなく、お客様目線で商品を仕入れているところは流石です。このマルシェも図書館と同じ天井が高いワンフロアになっています。でも床は極力お金をかけないように作ったようです。それもいい味出しています。

フットボールセンターと多目的スポーツセンター

バレーボールのみならず、サッカーの施設もあります。土地とクラブハウスは紫波町ですが、グラウンドの整備は岩手県サッカー協会が整備しています。JFA日本サッカー協会公認のグラウンドです。「スポーツによるまちづくり」という言葉を最近よく聞きますが、オガールの取り組みはそれを当たり前のようにやっているのです。

保育園と病児保育とか。

認可保育園、隣には病児保育を受け入れる小児科、薬局、その他にも眼科と眼鏡屋、歯医者と子育て世代にはありがたい構成です。

広場とは逆側に園庭
子どもたちが走りたくなるよね。

その他にも、子育て応援センターやキッズ英会話スクール、こどもセンターに進学塾と、本当に至れり尽くせりです。「こども」にまつわる事業も公民連携、公公連携で異分野もシームレスにつながっています。

岩手県のデータを市町村別にみると、転入超過は大手半導体メーカーの工場の立地が進む北上市の220人と、紫波町の83人、田野畑村の12人だけで、ほかの30市町村はすべて転出超過でした。

NHK岩手県のニュース

NHKのニュースによると、転出超過が著しい岩手県の中で、紫波町が転入超過だと言っていました。県庁所在との盛岡市でさえ社会減なのに、なぜ紫波町が増?ってところはNHKは言っていませんが、おそらくこういった子育てしやすいエリアができたからだと思います。

お店たち。

小さいお店たち。暮らしを豊かにする商品に出会えます。

The Baker
朝から美味しそうなパンが並びます。
ドライフラワー専門店
素敵な店内。無人販売です。
焼肉食堂おがわや
これでもか!っていうほど美味しいです。
ピカピカに光る清次郎のお寿司
やばいでしょ。いくらでも食べられる…


その他にも、カフェやアウトドアショップ、じゃじゃ麺屋さん、居酒屋、ジム、美容室、コンビニと暮らしに必要なものと、ここにしかないものが手に入る商売が混在しています。
ここ数年で入れ替えはありますが、あまり多くはありません。商売する人からも選ばれるエリアなんですね。

紫波町役場

なんと役場もあります。ここで多くの人が働いているはずです。職場環境としてもとっても良いですよね。

公民連権3 産業の成長を促す

行政が関わる事業では、地元業者優先という言葉はよく出てきます。それは良い意味でも、悪い意味でも・・・。地元業者に仕事を依頼することで、所得がふえ、税金として返ってきます。でも、もし、隣町の事業者の方が優秀で金額も安いとなったら・・・。地元業者を守ることが、地元の産業の競争が少なくなり、成長を妨げる可能性があります。
オガールのエコタウンでは、地元業者に声をかけ、断熱住宅を手がけています。地元の材を使い、地元の工務店が厳しい断熱基準や景観協定を順守しながら住宅を作っていく。林業も建設業も守っています。
ここでは、行政は規制を作り、土地を自ら売却します。断熱住宅を作る技術は工務店が自ら学びます。そのことで、他のエリアの仕事も受注できます。ここでも素晴らしい公民連携が実践されています。

2018年10月。
敷地境界線。

断熱住宅は、建築費用は割高にはなるものの、長く払い続ける電気代を考えると、決して損はしていません。また、中古住宅として販売する時も値段が下がることはないと思います。建てるよりも安く高性能な住宅が手に入るなら欲しい人はたくさんいるはずですよね。

廃棄する木材をチップにして活用してる

脱炭素化、カーボンニュートラルなど今日本全国で叫ばれている取り組みを10年以上前からやっています。学ぶことが多すぎて頭がパンクしそうです。

おまけ オガール祭り

年に1度、岩手県で夏を感じる8月初旬に開かれるオガール祭り。今回初参加しました。ボランティアスタッフとして少しお手伝いして、クラファンで手に入れたチケットで、全国からくる公民連携仲間(?)と美味しくお酒を飲みました。7月に沖縄に来てくれたバレーボールチームの選手やコーチたちも会いに来てくれました。

クラファンのリターンのチケット。
4日間、たくさんの人が訪れました。

オガールの素晴らしさは、仕組みや建物、お金の流れ、価値の向上という目にみえる、言葉にできるものだけではなく、密と疎のバランスの良さだったり、心の拠り所だったり、愛着だったりと人それぞれが感じ方が違うものだけど、とても大事なものが創造できているんだと思います。
10年経ったオガール、更に次の10年でどうなるか楽しみです。

おまけ2

オガールプロジェクトを実践した岡崎さんのnoteです。少し先を見る目、そして見続けて修正していく力、実践力が素晴らしい人です。あと、チャレンジ精神も。

世界にはいろんな人がいますね。だから旅は楽しい(^^)

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