無償の愛
12月某日、時刻は13時、
忘年会シーズンということもあり
僕は二日酔いで気持ち悪くなりながら営業の仕事をこなしていた。
周りの人がお酒が好きなので、曜日関係なくかなり深くまで飲む機会がある。
この日はまさにその翌日で、体調の悪さに絶望しながらも、なんとか最低限のことをこなしている状態だった。
そんな時にこそ、いつも来ない打診はくるものだ。
先輩「今日日程あいてるか?」
僕「空いてるんですけどすこぶる体調が悪いです」
先輩「何言ってんだ、華の金曜日だぞ飲みに行かないとやってられないだろう!」
僕「いや、そうなんですけど、今日はホントに体調が…」
先輩「CAさんと合コンなんだ」
僕「え…!」
先輩「キャビン、アテンドさんだ」
僕はまだ酔いの抜けない頭でよく考えた。
僕「…僕、丁度アルコール"不足"で体調崩れてたんですよ、先輩」
僕「行きましょう、何時からですか?」
==1次会==
とはいうものの、僕はCAさんとかが苦手だ。
黙っててもモテるようなタイプの人は華やかな場に慣れているだろうし、奢られることに慣れているからだ。
男も見栄を張りたくなるから会費が高くなる傾向にある。
その点で僕は嫌だった。
一次会は銀座の半個室の居酒屋だった。
人数は3-3。
幹事は先輩なので予約してくれた。一応値段をきいておくと一人当たり6000円のコースだという。
僕はびびって提案した。
僕「最後に先方に4000円くらいもらいましょうか?w一次会の終わる時に、"二次会まであわせて3000円お願いします"というと不思議とすんなりもらえるものですw」
しかし先輩は落ち着いて、笑顔で応えた。
先輩「なぁ〜に、その時の流れに身を任せよう♪」
こういう意思の弱い時は、ダメな時だ。
終わってみれば綺麗に全額払っていた。
現在の男一人当たりの総負担額→12000円。
==二次会==
二次会は女性への配慮と男性の下心でで照明の薄暗い店を選びたくなる。
しかし薄暗い店は概して高い。
銀座においては、店の暗さと値段は比例関係にあると僕は見ている。
僕は経費削減のために皆に提案した。
僕「ワインをボトルでイっちゃいましょう!!」
提案は通った。
しかしこういう時に限って女性は言う。
女性「それなら、カヴェルネソーヴィニヨンがいいな♪」
僕がメニューを覗き込むとカヴェルネソーヴィニヨンのボトルは9000円のものしかない。
絶望した。
だが仕方ない、僕はそれを注文した。
しばらくして僕は先輩に耳打ちした。
「会計なんですけど、女性に一人4000円くらいもらう感じでいいですか?」
先輩は満面の笑顔で言う。
先輩「なぁ〜に、流れに身を任せよう♪」
あれこれ飲み食いした30分後、
無事男性側で全部持つことになり、男性一人8000円の出費となった。
現在の男一人当たりの総負担額→20000円。
==三次会==
三次会は大体相場でカラオケにいくということになっている。
この時くらいになると、店に入る時点であまり記憶がない。
店の中では更に飲むので、僕は完全に楽しくなって酒を飲み過ぎ、記憶がうっすらしてしまう傾向がある。
午前4時になった。
一通り歌い終わった後に、女性がカバンから財布を出すフリをしたのを覚えている。
だが僕は完全に気分が良くなっていたので、女性にこう伝えておいた。
僕「なぁ〜に、流れに身を任せよう♪」
※多分
※記憶ない
男性一人14000円となった。
現在の男一人当たりの総負担額→34000円。
==帰り==
帰り道、男たるものタクシー代くらいは出さねばならない。
いや、というか酒と音楽の影響で完全に気が大きくなっていて、ついつい大きく出てしまう。
僕は最後のなけなしの1万円を女性に渡した。
僕の総負担額→44000円。
==翌朝==
翌日僕は先輩に尋ねられた。
先輩「冷静に考えて、昨日ってお前なんかいい事あったの?」
なっ
なんの
なんの成果も得られませんでしたあああ
fin.
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