優しいお姉さんの裏の顔
東京に来てからというものの、プライベート先輩とすごい頻度で飲んでいる。
毎日のようにLINEをしているし、この日も連絡をしていた。
先輩「じゃあ今日も飲みに行こう〜!!」
僕「え〜、またですか?中1日ですよw」
先輩とは一昨日飲んだばかりだ。身体への負担は大きい。高校球児もびっくりの過密スケジュールだ。
先輩「もうすぐ年末になって寒くなってくる!!
それまでの1日1日、1分1秒も無駄に出来ないんだ!!
最後まで諦めない奴が、最後に勝つ。」
先輩の情熱はすごい。佐藤隆太にも引けを取らない程まっすぐで熱い。
先輩「あと今日はいい日な気がする!“気”を感じるんだ!」
僕「そうですか…」
先輩「絶対間違いない!」
僕「そんなにいうなら…今日も出かけますか…」
僕も誘われて悪い気はしていない。
何だかんだ先輩とお酒飲むのは楽しいのだ。
そして結局、いつものように銀座の夜の街へ繰り出す。
===銀座某所===
この日はすごく寒い日だった。
こんな時は立ち飲みスタイルの店が暖かくて良い。
同じようなことを考える人が多く、店内はごった返している。
人が多いので生半可な気持ちで臨んでもだめだ。
僕「あのぉ、一緒に飲みませんか?」
僕が中途半端な覚悟で声をかけると先輩は怒る。
先輩「覚悟が足りないんじゃないのか?もっと一生懸命、精神誠意、声をかけないといけないんじゃないのか?なあ!」
どこから湧き上がる情熱なのか分からないが、先輩は本当にストイックな人だ。
先輩も女性に声をかける。次々にかける。
そうすると何だか「僕も負けていられない!」という気持ちになってくる。
今やれないやつが、いつやれる…!?
「一緒に飲んでください!お願いします!お願いしまァす!!!」
目の前にあることを一生懸命やるだけだ。
女性「いいですよ♪乾杯♪」
冬なのに肩が出ているというサービス精神のある女性に出会えた。
笑顔が素敵だ。
なんとなく話も合う。
流れが来ている。
こういう時は果敢に攻めて話題を盛り上げていかねばならない。
僕「僕たち、銀座で一番総合点の高い男なんです」
女性「総合点?」
彼女たちは怪訝な目をしている。
女性「顔とか?」
僕「いえ」
女性「年収?」
僕「いえ、もっと重要な要素です」
女性「何?」
僕「人柄、です」
女性「え?」
僕「人柄が優れているんです」
女性「意味わからないw」
そう、僕たちはそこら辺に転がっているエリートと比べると著しく人柄が優れているのである。
不思議なもので巷の女性はなかなかこの事実に気づいてくれない。
しかしこの二人は違う。
澄んだ瞳で真っ直ぐ僕たちを見つめている。
いつの間にか話はすっかり弾み、次に飲む約束まで取り付ける事が出来た。
僕たちは本当に気があう。
やはり情熱は注いだ分だけ、裏切らない。自分に見返りとして返ってくるのだ。
この日は終電で解散した。
===翌日===
いつものように僕からお礼LINEをする。
返事はすぐ返ってきた。
内容は丁寧で、昨日と変わらずテンションも高い。
すると彼女は重要な話があるので電話したい、と切り出してくる。
僕は初めての事で緊張した。
積極的で少々驚いたが「都合の良い時にどうぞ」と返した。
間もなく電話がかかってきた。
僕は息を整えて電話に出る。
僕「もしもし」
女性「もしもし?昨日はありがとうね」
彼女が緊張していて、必死に言葉を紡いでるのが伝わってくる。
女性「なんか、変なニュアンスで伝わったら嫌だなと思って電話しちゃったんだけど…
女性「あのね、、経営って興味ない?今週の土曜日、勉強会があるんだ、、もし時間あればと思って…!話してて、すごく賢い人だって思ったから…!!」
僕「ハハハ、」
女性「どうかな?」
僕「あいにくなんだけど、土曜日は出張なんだ。誘ってくれてありがとう、せっかくなんだけど、今回は見送るよ。ごめんね」
fin
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