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30代で在宅酸素療法ユーザーになった

うっかり危篤って在宅酸素療法ユーザーになった。どうもグレーさんです。

(在宅酸素療法ユーザーってなんか日本語おかしくね?とも思うけれど、とりあえず色々な記事回ってへとへとになっている同年代のひとにひっかかればいいと思うので、あえてこのままにしておきます。)

なにがうっかり危篤だ、どれだけ大変だったと!と当日大変にご心配をかけた家族友人にめちゃくちゃ怒られそうだが、もうこのへんは掘り下げると終わらないので今回は割愛させて欲しい。本当にすみません、ありがとうございました。

今回のメインテーマは在宅酸素療法についてだ。

今もこれ病院から書いてます。
皆さんは在宅酸素療法というものをどこまでご存知だろうか。たぶん一度は外出先なり病院の待合室なりで見たことがあるはず。

これ。

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カートで引いてる酸素ボンベからチューブで酸素を鼻に送るやつ。
自分で十分な量の酸素を取り込めなくなった方が使う。

この記事は然るべき監修もはいっていないので、上記の「ざっくりとしたこんなんやろ」の説明でOKとする。だって一般人が知っている範囲ってここまでくらいだもの。
実際私もそうだった。根治が基本的にない、肺の持病を患ったときから、いつかは私も使うことになるのだろう…。と今までも見かけるたびに切なくなっていたくらいだったのだが。

いやなにこの面倒くささ。聞いてないぞ。

令和やぞ!?というのが正直な感想であった。
いや、きっと業界の方々はがんばっているのだ。あの東日本大震災のときにも業界の方々はがんばって酸素ボンベを文字通り生命線であるユーザーさんへお届けしたという。努力不足など決して言えない。

だからこれはただの愚痴だ。きっといつか私もこの不便さに慣れていくのだと思う。ネット検索をすれば「在宅酸素 余命」だのげんなりするような検索候補や、お年寄りのイラストや生活を前提にしたサイトばかりに出会う。もしくは難病の小さなお子さんを持つお母さんがまとめた記事だ。ただ、在宅酸素療法を需要する前だからこそ見えて、いままさに酸素ボンベに繋がれ悲嘆にくれている同胞へ届くように、この記事は『共感』の慰めとして流していく。

① 鼻カニュラがわずらわしすぎる。

まず文句なしのトップバッターはこれだ。あの鼻にはいっている透明チューブのことである。カニュラなんだかカニューラなんだかカニューレなんだか正式名称はわからない。
見た目が一発で閉口してしまうのはもちろん、朝に目が覚め、起き上がる。布団の端、ふとんの角…。とにかくふとしたところにちょっと引っかかればビンッと一人鼻フックである。キレそう。

うまいところに収まってくれていれば、まあ違和感は限界まで減らせるが、収まりがわるければとにかく鼻の粘膜を刺激しまくって、まあ気になる気になる。刺激で鼻水が無限にでたりする。でもここから酸素がでているため外すわけにもいかず。これ花粉症の人とかどうしてんの? 洗顔もお風呂もずーっと一緒。

そして家のなかでは、ボンベではなく小さな冷蔵庫のような大きさの機械から酸素を補給する。ずーっとズルズル延長ホースで伸ばして歩く。10メートルとか。トイレとかお風呂とかどうするのかって、ちょっと扉に隙間あけてなかに通します。一軒家だとドアに専用の穴ぶちぬいたりもできるそう。賃貸?諦めろ。


② めっちゃ口乾く。
完全に予想外だった。病院に緊急入院して初めてチューブをつけたとき、「なんか妙に口乾くなあ…冬の病院だから乾燥してるのかなぁ…」と思っていたら、酸素をつけるとそうなると理学療法士さんから聞いて驚いた。酸素への加湿機能もあるにはあるが、何リットル以上の酸素から…という基準があったり、外へ持ち出す酸素ボンベには現実的にはあまり使用できないように思う。

私はその後、治療過程で水分摂取制限がついたので思いっきりうがいをしていたが、世の人はどうしているのかというと、唇を潤す程度に水を飲むのだそうだ。個人差はあるが、ひどいときは5分も人と話すと舌が乾いて回らなくなっていたので、歌丸師匠はすごい。(なんだこのオチ。)


③ ボンベ引いて外出が残り時間管理・重たさ・取り回しが無理すぎる。

いやね、無理っていっても受け入れないといけないのはわかる。わかるが。
どこの在宅酸素療法の導入サイトにも「見た目を気にすることなく、むしろ酸素を吸うことによってできることは増えます!外出しましょう!」とありますが。

仮に歩いて、食事して、おしゃべりして、買い物して帰宅、のよくあるちょっとした外出の流れですら、(これも個人差あれど)5時間以内に済まさないといけない。
一番でかい酸素ボンベをひいていけばもう少し長く活動できるが、そのぶん引いて回るボンベの重さは重くなる。そもそも酸素ボンベが必要になる人間は体力がない。両手を空けられるリュックに収まるサイズのボンベは小さく、活動できる時間はほんの2時間程度だ。使う酸素の量が増えればどんどん活動できる時間は短くなる。

「見た目を気にしないで外出しよ☆」とかのレベルではない。
そうではない。
そりゃ酸素ボンベが切れた瞬間に死ぬわけではないが、もうその場から動けなくなってしまう。電車であれば人身事故。車を使ったとしても、渋滞に巻き込まれれば。
そんな残り時間を気にして外出など、そりゃあ足もすくむわけで。


言っても言ってもきりはないが。都合の良い願望も書いておく。

酸素の途中補給などができる施設がガソリンスタンドのようにあればいいのに。酸素のボンベがもっと小さく軽くなればいいのに。血界戦線のツェッドくんのエラ呼吸用の装置のように、ヘッドホンくらいのサイズになってくれないかな。


いま私はこれを病院で書いている。


まっすぐな廊下、平面な床で、休憩しながらならヨレヨレとだが距離も歩けるようになってきた。酸素もいざとなったらすぐに病棟スタッフさんに補給してもらえる。でこぼこの外に、まわりに誰もいないなかにそのうち放り出されるわけで。

この記事にたどり着いた同胞よ。読んでみたところでただつらつらと愚痴が書いてあるばかりで、きっとキミの絶望感や「本当にこんなもんつけて暮らすんか」という嘆きは一切解決しなかったと思う。それでも、受け入れられていない時期に降り注ぐ、まわりからの「ね、酸素があるほうが楽でしょう」の圧を、同じように浴びて、あわあわとうろたえていた人間はここにもいた。そういうただの共感と、できれば都合の良い未来が来ていることを願う、グレーさんでした。

#在宅酸素療法 #酸素ボンベ