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更年期女性のためのエクオールサプリメントー訴訟の行方

1.エクオールをめぐる訴訟が行われていた

大塚製薬が原告、或いは被告となって、エクオールの知的財産権を巡る訴訟が繰り返されていることは、数年前から知っていました。

なかなか決着がつかず、大塚製薬が不利とも聞いたこともありました。

しかし、2022年11月に大塚製薬から、次のような発表がありました。

大塚製薬 エクオール含有食品に関する特許訴訟に対する最高裁判所の決定について

「このたびの決定により、ダイセル社は「フラボセル EQ-5」の製造販売行為が禁じられ、AMC社は、「エクオール+ラクトビオン酸」のうち「フラボセル EQ-5」を原料に用いたものの製造販売行為が禁じられることが確定しました。」

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2022/20221121_1.html

と、あります。

2.なぜ、私がこの訴訟に興味を持ったのか?


私は、2012年から更年期に関する学習を続けており、その中で女性ホルモンの一つエストロゲンと似た作用を持つエクオールという成分があることを知り、興味を持っていました。

エクオールには、更年期症状を和らげてくれるだけでなく、更年期以降の様々な心身の変化を緩やかにするという作用があります。

寿命がどんどん長くなる現在、その作用は女性にとって美と健康を保つことにつながりますので、そのころからエクオールには、期待をしていました。

エクオール成分の入ったサプリメントが売りだされるという噂がありましたが、なかなか販売されず2014年にようやく大塚薬品から発売されます。

当時は、更年期真っ最中だった私は、すぐにこのサプリメントを飲み始めました。

ある日、パッケージの成分表示に、S-エクオールと記載されていることに気がつきます。

なぜ、エクオールではなく 「s」が付くのだろう?と疑問に思って、調べてみました。

そうすると、「rーエクオール」の存在を知ります。

「rーエクオール」は、「s-エクオール」と鏡像の分子構造を持つ化合物ということがわかりました。

上記には「s-エクオール」はヒトの体内で作られますが、「rーエクオール」はヒトの体内では産生されず実験室で化学的に合成できると書かれていました。

「エクオールには、更年期症状を和らげてくれるだけでなく、更年期以降の様々な心身の変化を緩やかにするという作用があります。」と書きましたが、これは多くの医師が研究を重ね統計的な処理をされて証明された論文が多く存在しているからです。

この論文の多くは、「s-エクオール」を用いて研究されたものです。

実験室で作られた「rーエクオール」を使って研究された論文は、少ししかありません。

そして少しある論文は、「rーエクオール」を使ったサプリメントを販売している会社の中の医師なのであまり信用があるとはいえません。

私としては、本来の目的のためには「s-エクオール」のサプリメントを強く推奨したいところでしたが、かといって「r-エクオール」に効果がないとも、むしろ害になるかもという証明もそもそも研究がされていないので不明です。

「r-エクオール」のサプリメントを飲んだ人から「効いた」と聞くこともありました。

特に金銭の授受がなくても(あってはいけないことですが)医療者が特定の会社の製品を推奨するのは勧められることではないので、私自身とても中途半端な紹介の仕方をしていました。

私の講演や講義を聞いた方はご存知かと思いますが、まずはエクオールが一日摂取量が10㎎のものとか、原料や製造方法がきちんと記載されているものを選びましょうと、歯切れが悪かったのです。

「r-エクオール」で作られたサプリメントには原料や製造方法が記載されていません。

このようなことを調べているうちに、特許権を巡り訴訟が行われていることを知りました。

「s-エクオール」の特許が認められ、「r-エクオール」のサプリメントがなくなれば、更年期の女性が迷うことがなくなると考えました。

それから時々思い出してはネットで動向をうかがっていて、今回のことを知りました。

経過の中で「r-エクオール」は「フラボセル EQ-5」というふうになっています。

判決文はまだ出ていないのか探しだすことはできませんでした。


このたびの決定により、ダイセル社は「フラボセル EQ-5」の製造販売行為が禁じられ、AMC社は、「エクオール+ラクトビオン酸」のうち「フラボセル EQ-5」を原料に用いたものの製造販売行為が禁じられることが確定しました。

と大塚製薬の発表では書かれているので、今後、実質的には「sーエクオール」以外のサプリメントが製造・販売されなくなるはずです。

3.エクエル以外のエクオールサプリメントが消えるかも


その影響については022年11月以前、2022年2月に以下のような記事が書かれています

この判決による影響は、2022年2月のwellness  Diary  Newsの中で以下のように述べられています。

大塚製薬は外部への原材料販売を行っておらず、ダイセルがその役割をほぼ一手に担っているのがエクオール市場の構図。特許権を巡る係争の決着の仕方次第で、市場の未来が決まることになる。


11月に決着がついたので、これからおそらくエクオールのサプリメントの市場が変化していく可能性があります。


この判決についての専門家の見解が下記に書かれています。


大塚製薬では、原料を他の会社に売ってはいませんし、エクオールを産生できる乳酸菌も、それを発見した大塚製薬が特許権を持っています。

市場から「s-エクオール」以外のエクオールサプリメントが消えるかもしれませんね。

誤解されたくないのは、「エクオールのサプリメントがなくなったけど、効果がないということ?なにか健康被害あったということ?」です。

誤解されないようにしなければなりません。


4.エクオールNというのが出てきた


おそらくこの判決の結果からだと思われますが、AMCでは、今、エクオールN+ラクトピオン酸という製品が売られています。

今までの製品とはパッケージも全く変えています。

しかし、このHPの中では、エクオールNとしての説明はいっさいされていません。


エクオールとしか述べられていませんので、エクオールNとはなんぞや?です。

検索しても「エクオールN」を説明された記事はありませんでした。

もちろん「エクオールN」を使った論文も見つけれません。

効果があり、安全なものであればいいのですが・・

また、訴訟が繰り返されるかも・・・

どんな形でも、更年期障害の女性の手助けになるものであればいい、それがはっきりと効果や安全性が分かっていれば、RでもSでもNでもいいのです。

でも、わかっていなければ、お勧めはできません。

更年期症状で悩んでいる女性は、一刻も早くこの症状が良くなれば・・と藁にでもすがる思いで、サプリメントを選び摂取しています。

そのような女性に、エビデンスがはっきりとしないサプリメントを勧めるわけにはいかないのです。


5.結論


今の所、S-エクオールのサプリメントが、安心・安全でおすすめできるサプリメントです。

エクオールのサプリメントを買う時には、パッケージの裏を見て「s-エクオール」と書かれているものを買ってくださいね。









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