見出し画像

句集を読む:『此処』

『此処』 池田澄子 2020朔出版
著者は1936年鎌倉生まれ。本書は著者の第7句集、全380句。第72回読売文学賞詩歌俳句賞受賞作。

[章立て]

何処
この道
ときどき
どの道
中有

此処

[好きな句15句]
初蝶来今年も音をたてずに来
三月十一日米は研いできた
数の子の薄皮ほどの自愛かな
天高く柱枯れ立つ日本丸
出来かけのゼリー何回揺すられる
無花果や自愛せよとは何せよと
たいがいのことはひとごと秋の風
雑煮用鶏を解凍しつつ寝る
三月寒し行ったこともなくもう無い町
千代紙で鶴など折るな夏は暑い
心配に濃淡のあり夕ざくら
冷蔵で供花着くメッセージも冷えて
おはようと写真に言って夏に入る
生きていてこの四つ角の春の風
松明けのビニール袋の口はどこ

この記事が参加している募集

読書感想文

最後までお読み頂き、ありがとうございました。