偏質的俳句鑑賞-第百三十八回 栗甘くわれら土蜘蛛族の裔(すえ)-津田清子『沙羅』

もう、なかなか秋っぽくなってきた。栗がうまい。それにしても栗ほど人間に、特に日本において密接に関連している食べ物はないのではないだろうか。
土器の跡から栗が食べられている痕跡があったり、昔から我々は栗を食べてきている。
「土蜘蛛族」とはヤマト朝廷に服属しなかった民衆のことを指す。
ヤマトがあった時代からの末裔の我々は今も栗を甘いと言いながら食べている。
そういう時間的なつながりが「栗」を媒介にしてこの句の中に含まれる。壮大な物語だ。この句を読むときに人類の生きてきた歴史というものを感じずにはいられない。
それだけです。次回も良ければ読んでください。

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