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出会える奇跡に、おめでとうとありがとうを。プリちゃんのフォトアートにふれて

ときに、芸術・アートとの出合いは奇跡だと感じる。

それは美術室で手に取ったミュシャの画録かもしれないし、アーティストの方とのささやかな出会いから始まることもある。

『心に灯す光と色彩のパレット』という創作テーマのもと、"絵画のような写真・フォトアート"の創作活動を行う、「プリちゃん」ことPriscilla Leiさん。

プリちゃんが今年4〜5月、クラウドファンディングで制作したアートブックの第2弾が届いた。

今回はプリちゃんとの出会いから、今年1月に北海道で行われた個展でお会いしたこと、アートブックや購入した作品について話したい。

ファースト・コンタクト

私がプリちゃんの存在を知ったのは2年前、たまたま記事にコメントをくださったのがきっかけだった。

後にプリちゃんの発信で「ペイ・フォワード」をとても大切にしていると拝読したが、このときはコメントのやりとりを交わしたのみだった。

プロフィールを拝見して「こういう表現の仕方があるのだな」とプリちゃんのフォトアートが新鮮に映ったものの、そのときはまだ印象的な方というだけだった。

プリちゃんを意識し始めたのは、親交のあるくーや。さんがプリちゃんの個展に行った記事を読んでからだったと思う。

個展、ギャラリー。芸術に親しみ、ときにアーティストの方と言葉を交わす空間の心地よさがふいに蘇る。
息子が生まれてから、久しくアートに親しんでいない自分に気づいた。
高校生の頃は美術部、専門学校もデザイン系で、20代の頃はよく美術館に足を運んでいたのに。

くーや。さんが感性豊かに綴った、プリちゃんのアートの数々への感想、交流に心を揺さぶられ、noteのアカウントをフォローした。

さらに、北海道・江別にある蔦屋書店でプリちゃんのアートブックの取り扱いがあると知った。
しかしその頃、世間はコロナ禍一色だった。

蔦屋書店は人が多く、休日は特に混む。
個人のオンラインショップもあるのだが、どうしても気になる書籍は、実物を見て買うのが私の主義だ。
感染をおそれ、足踏みしたまま月日は流れた。

ウクライナ紛争のチャリティアートプロジェクト

ロシアとウクライナの紛争が勃発してしばし経った頃、プリちゃんはアーティストの方と共同制作した待ち受け画像の売上額を寄付する、チャリティアートプロジェクトを立ち上げた。

このプロジェクトは、ウクライナ出身のKateさんと、アメリカ育ちのYoutuber バイリンガール ちかさんと一緒に創作した共同作品『Song for』の「スマホ待受画像」の売上をウクライナに寄付するチャリティ。

上記記事より引用

ウクライナの首都キエフにある大聖堂の写真をもとにした待ち受け画像は、プリちゃんの手により平和への祈りをまとった、美しい一枚絵だった。

連日報道される紛争に心を痛めつつ、傍観者の位置にしかいられない、脱却して何かをする行動力もない私は、せめてもとこのプロジェクトに参加した。

心から世界のことを憂い、行動を起こすプリちゃんの人柄を尊敬する。
かつてペイ・フォワードの記事に書いた、「本当に応援したい人」。
プリちゃんのような人が、そのひとりだと思えたプロジェクトだった。

2023年1月、江別蔦屋書店にて

吉報が届いた。
2023年1月、江別蔦屋書店にてプリちゃんの個展が開かれることとなったのだ。

個展の内容は、プリちゃんが47都道府県で目にしてきた風景を元にした"Soul Journeyシリーズ"。
旧Twitterでその様子はたびたび拝見していた。
さらに、プリちゃんご本人も全日在廊するとのこと。

かねてから第1弾のアートブックが気になっていた上に、新作も直に見られる。さらにはご本人にも会える!
おろしたての手帳のウイッシュリストに、すぐ「プリちゃんの個展に行く」と書いた。

1月某日、まだパート勤めだった私は閑散期のため、運良く早上がりできた。
休みだった夫に「江別の蔦屋書店に行きたいんだけど……」と頼み、雪道のなか向かった。

江別蔦屋書店は三つの棟で成り立っており、個展は本とスタバを有する棟のスペースで開かれていた。
自動ドアを通り、背の高い本棚の角の向こうにプリちゃんの姿を認めた瞬間、途端にドキドキしてきたのを覚えている。

スペースに歩み寄ると、釧路市で撮影された雪景色の写真が額に収められていた。朝日とダイヤモンドダストが融合した一枚は、個展のメインビジュアルにもなっていた。

壁際の棚にはSoul Journeyシリーズのポストカードが等間隔で並んでおり、壮観。
以前の記事でプリちゃんの作品の世界観を「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)の裂け谷に迷い込んだよう」と例えたが、まさにそんな感覚に陥った。
色とりどりの景色は、1月の無彩色な蔦屋書店に灯りをともしたようだった。

プリちゃんはマスク越しでもはっきりと分かる、柔らかい笑顔で声をかけてくださった。
ほかの方に「プリちゃんと呼ばれています」と話しているのを聞いて、思っていたイントネーションと違っていたのがちょっと恥ずかしかった(正しくはサザエさんの「タラちゃん」の発音が近い)。

私はプリちゃんのnoteを拝読していたことを話し、自分のスマホに設定してあったチャリティープロジェクトの待ち受け画像もお見せした。
ずっとアートブックの実物を見てから買いたかったこともお伝えした。

プリちゃんは一人ひとりの方とゆっくり、丁寧に対話されていた。
緊張気味の私にも優しく接してくださり、ツーショットの写真をインスタグラムのDMに送ってくれた。
縮毛矯正がとれかけていたため、プリちゃんのきれいなストレートヘアがまぶしい。

そのときのインスタのアカウントは完全に閲覧用で、名義も「しなもん」だった。
蔦屋書店を後にしてからしばらくして、DMにわざわざお礼のメッセージをくださったプリちゃん。一人ひとりの方との出会い、交流を本当に大切にされているのだなと感動した。

このとき、私は個人的に悩んでいた。
自分が取り組んでいることがなかなか上手くいかない場合、どのような心の持ちようをしたらいいのか尋ねてみると、プリちゃんは自身の体験を交えながら快く答えてくれた。

教わったのは、「自分を応援してくれる人が喜ぶことをすること」「謙虚であること」

その後間もなくして「上手くいかないこと」は良くない結果を招いてしまった。自業自得だった。
だけど、あのときプリちゃんから教わったことは、今すこしずつできるようになってきたと思っている。

1月に手に取った作品

個展で第1弾のアートブックを迷わず手に取ったものの、Soul Journeyシリーズのポストカードはどれを購入しようかかなり迷った。
候補を絞って、選んだのはコスモスが写った作品だった。

写真立てに入れて自室の棚の上に

プリちゃんの作品には、どれもメッセージが込められている。
この作品を後からオンラインショップで調べたところ、このようなメッセージが添えてあった。

Fear & Trust
臆病な一面は 心が豊かな証
もう少しだけ 信じてみよう
もう少しだけ 進んでみよう
どんな道も切り拓いていける

感覚で選んだのに、どうしてこんなにぴったりな文章が添えられているのだろうと驚いた。

私は昔から内向的で、引っ込み思案、消極的と言われてきた。
言い換えれば臆病なのだろう。
だけど、長所と短所は表裏一体ともいう。

隣にそっと寄り添って、大丈夫だよと微笑みかけてくれる。
プリちゃんの紡ぐ言葉はそんな光の粒子をまとっている。

込められたメッセージの数々がプリちゃんの心境を映し出したものだと、このときはまだ半分も分かっていなかった。

待望のアートブックにも、たくさんの作品とメッセージが詰まっていた。
光も闇もそれぞれ在っていい、どちらも美しいのだと思わせてくれる作品の数々をゆっくり味わう時間までもが、本に込められたプレゼントのように思えた。

ときおりアートブックを読み返すたびに、部屋に飾ったポストカードを眺めるたびに、心に温かな灯火が宿り、口元がほころぶ。

また、個展で一旦スペースを後にしてから再び近くを通ったとき、プリちゃんが笑顔で声をかけてくれたため、気になっていて追加で購入した品もある。

朝の光の入り方をあえて残した

作品名は「Spica」。おとめ座で最も明るい星の名だ。

ピンクからミントグリーン、ブルーへと描かれた鮮やかなグラデーションは、私の好きな色ばかりで「手元に置きたい」というときめきを呼び起こしてくれた。
このクリアファイルにはきちんと保管しておきたい紙ものを入れている。

貴重な出会いと対話。作品を直に手に取り、身近で楽しめる喜び。
改めて北海道で個展を開いてくださったことに感謝したい。

Never give up~第2弾のアートブックに込められた思い

今年春頃、「しなもん」のアカウントに一通のDMが届いた。

プリちゃんが「Soul Journey」シリーズをメインとしたアートブックのクラウドファンディングに再び挑戦する、という報せだった。

個展でも作品を拝見したものの、いつでも手元で読み返すことができる「本」はやはり特別な価値がある。

今回のアートブックで一番伝えたいメッセージは、Never give up.(諦めないで)

色んな人たちのお陰で夢を叶えることができるようになったからこそ、自分自身も応援者になりたいという思いがあるのだという。

クラウドファンディングは今年4~5月にかけて行われ、私も微力ながら応援に携わった。
プリちゃんはNever give upを自ら体現し、最終日に100%成功。すぐにお祝いのコメントを送った。

完成までの過程が発信されるのを一ファンとして楽しみながら待ち、私が住む地域はようやく秋の空気が訪れた。

9月21日、ポストに投函されていたレターパックの表記を見て、アートブックの到着に「もう届いたの!?」とひとりはしゃいだ。
遠方在住のため、SNSの発信を見てもう何日かかかると思っていたのだ。

昼食を済ませ、慎重にはさみを入れる。
前作より厚みを増したアートブックと、支援者特典のしおり、そして手書きのメッセージカード。
プリちゃんの夢がまたひとつ実現した喜び、そのお裾分けをいただいたひとりとしての喜びが入り混じった。

Soul Journeyに至る前の序章に始まり、47都道府県を巡ってプリちゃんが制作した作品とメッセージ、エピソードの数々、クラウドファンディングに関わった方々の名前、エピローグ代わりのメッセージ。
さらにはカバーの裏にひそむサプライズと、ただの作品集にとどまらない、プリちゃんとたくさんの人たちの思いの結晶といえる一冊に仕上がっていた。

添えられたカードには、「日本一周・Soul Journeyの追体験を楽しんでくださいね」と直筆のメッセージ。
本文はまさに、作品と文章でプリちゃんの旅を追体験するものだった。

届いた当日、重みのあるアートブックを陽当たりのよいソファの上でゆっくりとめくっていった。
特典のしおりは美しいだけでなく、時間をかけて読み進めるこの本にふさわしいものだった。

心の琴線に引っかかった作品やページには、花柄のふせんを貼っていく。
あとで自分のノートにメモするためだ。
だけど、メモし終えたらふせんは一旦全てはがそうと思っている。

なぜかというと、プリちゃんの作品はふれるそのときによって、惹かれるものが違うからだ。

特に心に残った3作品

アートブックが届くすこし前、一足先に支援プランで購入していた待ち受け画像を送っていただいた。
購入したポストカードの画像がセットになっているからと選んだのだが、実際にダウンロードすると、月と海面が重なった神秘的な1枚がひどく印象的に映った。

Phase
海鳴り響く 月明り
清らかな場所に還る
繰り返す満ち欠けは
心が深く磨かれる機会

アートブックで改めてこの作品にふれて、私の大好きな高知県・桂浜の写真だと知った。
9年前、新婚旅行で行った高知。人生のうちでまた行きたいと強く願う場所だ。
もはや「帰りたい」とすら思わせるのか、眺めているとふいに涙がこぼれた。
芸術・アートを見て涙したのは、多分生まれて初めてだった。

また、前述の「Fear & Trust」に添えられた文章を読み、プリちゃん自身が抱いている思いがメッセージになっていたのだと、ようやくはっきりと分かった。

同じ人間はいないけれど、似た部分、似通った感情はきっとほかの誰かも心に秘めている。
臆病な気持ちを抱きながらも、「自分で自分の可能性を諦めないでいたいんだ」と締めるプリちゃんのひたむきさに勇気づけられた。

ほかにも心に残った作品や文章はいくつもあるが、最も心躍ったのは「Self Image」の見開きだった。
作品は掲載できないが、濃いピンクと鮮やかな紫が混ざり合うパンジーをモチーフにしている。

Self Image
なりたい自分になるために
叶うまでイメージを温める
人生は思った通りにしかならない
あなたならできるはず

これまで「なりたい自分になる」はありふれたキャッチコピーだと捉えていたし、年齢を重ねるにつれ「思うようにいかないのが人生」だなんて斜に構えるのが普通になっていた。

だけど、この作品に添えられた文章を読むと「ああ、本当は私もそう信じたかった」と泣きたいくらい心が弾んだのだ。

今の私というのは、過去の私が思い込み続けてきたセルフイメージで成り立っている。
未来の私は、今日からの私が積み重ねていくセルフイメージで決まっていく。
自分に対する制限・ブロックをかけてしまうのは、いつも自分自身であったりする。
だから、「どんな私でありたい?」と問いかけながら、常にセルフイメージを高めていきたいよね。
なりたい自分・ありたい姿を、この使命ある人生で一緒に叶えていこうね。

「心に灯す光と色彩のパレット -Soul Journey-」本文より引用

いつしか夢や目標を持つことに疲れてしまった。
だけど「未来の私」のためなら何かしたいと思える。
かつての自分のように、なりたい自分やありたい姿を自由に思い描きたい気持ちは、作品のビジュアルそのもののように華やいでいる。

あなたならできるはず。
プリちゃんの言葉だから信じようと思える。
作品同様、丁寧に心の声をすくい、灯火として届けてくれることに、心からありがとうと伝えたい。

おわりに

個展でお会いしたとき、そのことをnoteに書くと言ってから大分経ってしまった。
お詫びすると「全然気にしてませんでした」と明るく答えてくれたプリちゃん。
アートブックが届いたら記事にすると意気込み、20日から書いていたら、ずいぶんと長くなってしまった。

届いた日の良かったことをロルバーンのノートに書きつけていると、「プリちゃんのアートブックが届いた!」のあとに自然と「おめでとう!」と続けていた。

アートブックが完成したことだけでなく、プリちゃんとその作品、紡がれる文章に出会えたこと。
全てが奇跡で、「おめでとう」と「ありがとう」なのだ。

プリちゃんが生み出す世界を、紡ぐ言葉を、これからも一緒に追っていきたい。


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