パルテノン神殿

ギリシャ危機の教訓~緊縮財政が国を滅ぼす

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はじめに

2015年6月、ギリシャ政府は返済期限を迎えたIMF向け債務を履行せず、再び財政破たんした。
先進国によるIMF向け債務の延滞は、世界初の出来事である。

こうした中、「日本の財政はギリシャよりも不健全なのだから、より一層歳出を抑制・削減して財政の健全化に努めるべきだ」という議論が国内で散見される。
ギリシャ危機の最中の6月30日には、歳出抑制を基調とした財政再建を目指す方針を安倍内閣が閣議決定したが、これに対しても、「手ぬるい」というのが大多数のマスメディアの論調である。

しかしながら、緊縮財政は国民経済の悪化と財政再建の失敗という悪循環をもたらす。
これこそが、現実の経済データから導き出される、今回のギリシャ危機の教訓である。
このことは、日本政府自身の財政再建方針の理論的根拠からも導き出される「数学的な帰結」でもある。
しかも、「理論的」「数学的」とはいっても、四則演算のみを用いた、中学レベルの数学で理解可能な話である。

これには、拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』でも指摘している、「財政支出の拡大に積極的な国ほど、経済成長率も高い」という統計的な事実も密接に関係している。
にもかかわらず、日本政府は相も変わらず緊縮財政を前提とした経済財政運営を行うことで、「失われた20年」からの脱却を遠のかせようとしているのが実態である。

本稿では、ギリシャ危機を題材にして緊縮財政の弊害を解明し、日本の経済政策のあり方に警鐘を鳴らしている。

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