FOLIOを退職します

2年で数百億をつくった矜持の雄叫びと、再び0年から始めなければならない弱音の協奏曲

序奏:卒業のご報告

2015年12月に共同創業し、2018年1月に91億円を調達して、現在4年目を迎えるFOLIOを本日をもって去ることになりました。

エモい記事は2年前に書いたので、今回は淡々としたご報告になります。


提示部:あれからまた2年

こちらがそのエモいポエム。

これは2017年の7月までの話でした。(今は27歳になりました)

それからはUI Crunchに登壇したり、

LINEと事業提携したり、

正式リリースに伴ってリブランディングしたり、

他にもいろんなことがあって、1ヶ月ごとに鮮明に思い出せます。

特にUI Crunchは感慨深かった。初めて行ったUI Crunchで 南場さんの講演 をきいて、「あらゆる事業のキーがデザインというプロセスに移っている」ことに気付き、タイミングも合ってその2ヶ月後に起業してCDOになった僕としては、同じ場所で登壇できること以上に光栄なことはありませんでした。

あの登壇以降は「吠えてた人ですよね!」と多くの人に認知されるようになりました。ライブ映像残ってるようだったので改めて観てみたけど、まじでうるさかった ↓

グッドパッチさん、素敵な機会をありがとうございました。
ちなみに、このときに呼びかけてくださった ハコさん とは今でも デザインシップ を一緒に運営するほど運命共同体です。

閑話休題。

8人で始めたFOLIOは今や100人規模になっていますが、ひとりひとりの顔と名前と仕事内容と趣味をソラで言っても一致するくらい、20代前半〜60代後半までの社員全員と仲良く雑だn……お仕事させていただきました!

素敵な皆さん、真剣ながらも楽しい時間をありがとうございました。
これからは一株主としてお付き合いよろしくおねがいします。

同時期に僕がFOLIOに誘ったデザイナーの あすやさだこえ も退職しましたが、ふたりとも独立してフリーランスになったので、これからも一緒にモノづくりする予定です!


展開部:これからまた0年

これからすることは、まだあまり言えることはない(決まってない)んですけど、自分のポートフォリオ戦略と考えて色々やろうと思ってます。

1. デザイン会社
詳しくは7月に発表します。
ちなみに ↓ は個人事業主として受けてたんですけど、それは畳みます!

2. スタートアップ
性分的に、やはりどこかに入るというよりまた自分で立ち上げたいと考えてます。

僕の得意分野である「規制業界にデザインとテクノロジーを掛け合わせてイノベーションを起こす」ことになるんだろうなと思っています。なんか規制業界じゃないと燃えないんですよね。

でも、とりあえず1ヶ月半くらい休んだり調べたりします!
一緒に調べたりしてくれる人ゆる募です。

そのあと、もしかしたら1年くらい地方とか海外とかに旅がてら、色々考えることになるかもしれないです。日本の都心にいるだけだと、見えるものも見えないかなと。焦らず大局を見据えたいです。


3. デザインシップ

引き続き主宰します。
今は「Designship 2019」の先行スポンサー募集中です!(残り枠わずか)

お申し込みは5月末までなので、デザイナーにアプローチしたい人はぜひ。


4. 遊び

「遊ばない人間は人として面白みがなくなるんや、余裕を持ってこそ人生やで!」と普段から思ってるタイプなので、これを機に色々やってみたいです。

今日早速Voicyはじめました!

あとは月並みですがYouTubeとかやってみたいです。

今まで証券会社のCDOってことでそういう系わりと遠慮してたんですけど、これからは何でもやります!(※何でもやらない場合がありますので詳しくは契約締結前交付書面をお読みください)


再現部:あれから実は6年

「FOLIOで最も感謝する人は誰?」という軽薄な質問がきたとして、それでも即答できてしまう人が、僕にとっては山口和晃という男です。

創業当初からずっとマーケティングやビジネスを見てくれており、そもそも甲斐真一郎(FOLIO代表取締役)と僕を引き合わせてくれた張本人である彼とは、実は大学生のときに共に起業していました。

どういうベンチャーだったかというと、なんと農業系です。

めちゃめちゃ意外ですよね……僕も信じられません。
農業やってたんかお前。

今でいうAgriTechと呼ばれる領域でしょうか。
農家に営業にいって「味の見える食材ECサイト」を開発していました。

それぞれの食材の五味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)を解析して、それを可視化したレーダーチャートを商品ページにのせていたので「味の見える食材ECサイト」でした。

消費者の「味の違いが分からないので自分の好みにあった食材が選べない」課題と、生産者の「いい食材をつくっても結局神戸牛などのブランド食材が買われてしまう」課題の双方を解決するという感じのやつでした。

今でもいいコンセプトだなとは思うものの、結局農家への営業や農協へのアプローチがそんなにうまくいかず、そのまま各々の大学卒業を迎え離散しました。

彼とも「また時が来たら起業しような」といって別れたわけですが、約束の時は2年後にきたようで、

という軽いメッセージから、僕らの物語はまた始まったわけです。

このときはもちろん「数百億規模のスタートアップ」とかいってまた大言壮語やなぁと思ってましたが、実際に数百億円の価値が創業から2年でついたわけです。未来から来たんかお前。

これが僕の自信の源泉であり、自らつくったプロダクトとチームに誇りを持ったまま次の挑戦ができることは大変有り難いことだと感じます。

恥ずかしげもなく夢を語って僕を誘ってくれた彼には本当に感謝しています。ありがとう。

一方でタイトルにある通り、また0からスタートするという不安がないわけではありません。

しかしそれくらいがちょうどいいかな。
臆せず、されど驕らず。
どちらの気持ちも共存させながら進んでいきたいです。


結尾部:スタートアップゲームの終演

最終章にして余談になりますが、起業する人が前より増えて、スタートアップ界隈が盛り上がるのはいいことだなと思いつつも、最近は「どう勝つか」「どうバズるか」に固執してしまい「どう世界を変えたいか」を見ていないスタートアップが多い気がしています。

もちろん会社のスタイルだと思うのでかまわないという思いもありつつ、僕はビジョナリーなスタートアップこそがもっと増えるべきだと考えます。

いかに戦略がちゃんとしていようが、このVUCAの時代、どんな会社も順調にいかないときは当然来るもので、そのとき社員が唯一すがれるのは経営者のビジョンです。

以前「ビジョンがない経営者ってのはバレる」という記事を書きましたが、

ここで書いたように、「いらねえよそんなもん」と皆に言われたとしても「つくったら絶対に欲しくなるはずだ」と踏ん張って作りきって世界を変えるのが本来的なイノベーションというものであって、いくらユーザーインタビューで「何がほしい?」ときいてもiPhoneは生まれないわけです。

だから僕はデザイナーでありながらも、デザイン思考そのものはイノベーションと相性が悪いといい続けています。

イノベーションを起こそうとせんスタートアップの皆様におかれましては、顧客の声でころころ意見を変えず、「どう世界を変えたいか」という固く筋の通ったビジョンを持ってほしいと思います。

余談ついでにもうひとつ。

ヒトの創造性を信じ、効率的にモノづくりをおこない共創する力を信じる僕としては、「スタートアップは24時間365日働いてこそ美しい、毎日会社のことを考えるからこそ成功するんや!」という価値観はとても古いものに思えます。(そういう経営者に限ってわりと遊んでるし…)

休日は頭をリフレッシュさせるかインプットに当てて、
平日も 妻の誕生日には休む くらいの余裕をもちたいところです。

もちろん目指すところに本気で向かう姿勢は尊いものだし、
夢中になって延々と働いてしまう日々は輝かしいものです。

しかし、根性論をふりかざして一社員にまで安い給料でその姿勢を強要する経営者や、それをよしとする周りの人には、ぜひ名著『失敗の本質』を読んでほしいと思います。

2019年内にくると言われているリセッションや、2020年の東京オリンピック後のことを考えると、日本が沈まないためには明治維新ならぬ令和維新を起こさなければならないことは明白であり、そのためには「みんな今は身を粉にして働きぃや!イグジットしてあがったらその後は人生イージーモードやで!」なんていうスタートアップゲームはもう終わりにして、どうか本当に日本のため世の中のためになるイノベーションを、強いビジョン創造性を尊ぶモノづくりによって引き起こしてほしいと、僭越ながらすべてのスタートアップの仲間たちに願うばかりです。

本邦を愛する日本人として、僕自身もそのための努力は怠らず、焦らず、驕り高ぶらず、強く清らかに大志を抱き、次の挑戦へ向かいたいと思います。

これからも応援どうぞよろしくおねがいします。

結局がっつりポエムやんけ。

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