東大の「就職・採用活動についての要請」を読んで

こんにちは、ハカチューです。
すこし前ですが、2023年10月23日に東京大学が「2024年度本学卒業・修了予定者(2025年3月卒業・修了予定者)の就職・採用活動について(要請)」という声明文を発表しました。
これを読んで感じたことを書いてみました。


声明文について

まず、東大の声明文をご覧になっていない方のために、声明文を一言でまとめるとするならば、「大学での学業の妨げとなるような就職活動を企業は慎め。」ということかと思います。
全文(pdf)は以下のリンクから。

https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400225253.pdf

具体的には、東京大学の果たすべき使命である、

  • 公共的な視点から主体的に行動し新たな価値創造に挑む「知のプロフェッショナル」の育成

  • 卓越した専門性をもち多様な視点から自らの位置づけや役割を相対化することができる人間を社会に送り出す

を果たすために、正常な学校教育と学生の学修環境を確保できるような就職(採用)活動を企業に対して要請するものでした。

就職・採用活動において特に留意をお願いしたい事項(抜粋)

声明文は全部で9つの「お願い」から構成されており、印象的だったものを3つ抜粋します。

  1. 学生の学業への配慮
    日時を学業(授業、試験、留学、教育実習等)優先

  2. インターンシップの適切な実施
    要件を満たさない「インターンシップ」(特に、実質的に就業体験を伴わず業務説明の場となっている「ワンデーインターンシップ」などと称した行事)の見直し

  3. 採用選考活動における学業成果等の評価
    卒業・修了前年度までの学業成果を表す書類(例えば成績証明書や履修履歴等)を選考の早期の段階で取得し、採用面接等において積極的に活用

2つ目のお願いで、
「『ワンデーインターンシップ』などと称した行事」
といった強い表現もみられ、かなり大学側の強い意志が感じられるかと思います。

声明文を読んで

この声明文を読んで率直に、日本最難関大学である東京大学でもこの程度しか企業に対して主張できないのか、と少し残念に思いました。
多くの企業はこの声明を受けて就職活動のスケジュールを変更することはないだろうし、この声明を受けて3月まで就職活動を開始しない東大生も現れないでしょう。
なにより、社会への影響力という点において大学がいかに弱い存在かを改めて実感しました。

就職活動と大学の役割

最後に、東大の「お願い」の中で最も違和感を感じた部分について書きます。

東京大学は最難関大学の地位にあぐらをかき、大学での学びの重要性を社会に対して発信することを怠っている

上で挙げた3つ目の「採用選考活動における学業成果等の評価」で、東大は「成績証明書や履修履歴を活用せよ」と主張していますが、これはあまりにも企業側の採用コストを軽視しているのではないでしょうか。

大学は、どの学部を出たらどのような力が身につくのかを、もう少し社会(特に企業の採用者)がわかりやすいように発信することを検討しても良いと思いました。
実際、自分が就活を始めた時も、自分が得た大学院での学びを企業でどのように活かすかを説得力をもって話すことが最初の壁でした。

大学が、大学/大学院での学びが企業でどのように活かすことができるのかを積極的に発信することで、企業の採用活動の短縮にもつながると考えます。

2023/10/30 はかちゅー(博士中退就活生)

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