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愛ではない

前回、既婚者のくせに大失恋したという話を書いた。その短い追記である。

泣きながら酒を飲むのが癖になってしまい、自分でも失恋の痛みなのかなんなのかわからない感情で、ほぼ自動的に泣いている。目に涙をいっぱいに溜めながらグラスを傾けるだけで、優しくしてもらえるしモテる。
江古田・練馬の飲み屋で会った皆様、その節はお世話になりました。どのちんぽも美味しゅうございました。

夫に改めて別れ話をした。しかし、夫は一貫して「一緒に住みたい」と主張するのみだった。
彼は「うちでご飯を食べてくれればそれでいい」という主義だ。この18年間、どんなに満腹でも二日酔いでも、必ず家でご飯を食べるのが我が家のルールになっていた。
「君の生活費はもう払えない」と経済的な話をしても、「気持ちが離れてしまった」とメンタル面の話を持ち出しても、とにかく「別れないし一緒に住む」の一点張りだった。
あまりの頑固さに根負けしてしまい、

「これからも外でいろんな人と遊ぶし朝帰りするけどそれでもいいなら」

と条件を出したところ、彼は「ありがとう」と言った。
正直、怖い。しかし、彼の狂気が変死体すれすれの私を、現世に留めてくれていることは確かだ。

私と夫の間にあるものは、愛ではない歪な何かである。どちらかが寿命を迎えるまで、この気持ち悪い関係は続くのだろう。
案外、夫婦とはそういうものなのかもしれない。

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