やっと来たな、春。
3月27日
「天気もいいし散歩でも行こうか」
子供たちにそんな声掛けをしたのはいつぶりだろう。聞き慣れないセリフに一瞬フリーズしていたが、すぐに「いくーーっ!!」と大きな声で返事をしてくれた。
「なんで?なんできょうはおさんぽいくの?もう、ふゆはおわったってこと?」
玄関で靴を履きながら長男がそう言うのを聞いて笑ってしまった。と同時に、申し訳ない気持ちも少し込み上げてきた。
母さん、冬は絶対に散歩なんか行かないからな。
なぜなら寒いから。理由はそれだけだ。
私は寒いのが本当に苦手で、冬は家から出たくない。いくら天気が良かろうとも、10℃以下の気温でお散歩行ったり公園へ遊びに連れて行くなんて考えたくもない。苦行だ苦行。
冬の公園といえば、すべり台から下りてきた子供の手を触ると静電気でバチっとなる、あれも本当に苦手だ。ニッコニコですべり下りてくる子供の逆立った髪の毛、こわいこわーい!
最近のすべり台は金属じゃなくて、こういうプラスチックみたいな素材で作られていることが多いが、冬になるとこれはもはや静電気発生装置と言っても過言ではない。近寄りたくない。
そういえば、冬と静電気が嫌いだということについては以前も書いたことがある。
自分で改めて読んでみたが、同じようなことが書いてあって成長が見られない。まことに残念なことであります。
まあそんなわけで我が家は、「母さん冬はマジ無理なんで冬の間のお出かけはお父さんとお願いします」ということにしている。それなのに私がお散歩に行こうと言いだすということは、つまり冬が終わったということで合ってるよ長男。
近所の公園に行くと、ハトを見つけて追いかけ回す子供たち。
追いかけ回すだけならまあ微笑ましいのだが、どういうわけか長男が「まてーっ!つかまえてヤキトリにしてやるぞーっ!!」などと野蛮なことを叫んでいて非常にヤバかった。
まったく親の顔が見てみたいぜ…と思いながら歩いていたら、いつの間にか私のすぐ側に犬の散歩をしているマダムが立っていて、目が合った。
「コンニチハーー、ワンチャン、カワイイデスネー」
気まずすぎて何故かカタコトの挨拶になってしまった。
とりあえずワンちゃんを褒めて、我が子たちの物騒な発言のことをスルーしようとしたのに、奴らは相変わらず大きな声で「おーい!まてーっ!ヤキトリにするぞーっ!」と叫びながら執拗にハトを追いかけ回している。
マジで勘弁してほしい。
いま令和ですけど?令和の子供が言うセリフじゃない。
マダムは笑いを堪えるのに必死な感じだったが、なんとか持ちこたえて「元気があっていいわねえ〜」とだけ言って去っていった。連れていたトイプードルは我が子たちに警戒している様子が見えた。賢い犬だ。奴らには気をつけた方がいい。
しばらくして、鳩はつかまえられないと悟った2人に「おやつたべたい」と言われてコンビニへ行き、ガリガリ君と堅あげポテトを買って帰った。
途中、公園の側のユキヤナギが満開で綺麗だったので立ち止まって見ていると、「まっしろでキレイ!これは雪の花だね!」と長男が言った。
「そう!雪みたいだからこのお花の名前はユキヤナギって言うんだよ」と教えたら嬉しそうにしていた。そして「これって食べられるの?」と聞いてきた。
キミは何でもかんでも食べようとするな。
「食べられないことはないと思うけど、食べても美味しくなさそうだし、きっと「ペッ!」てしたくなる感じだと思うから食べない方がいいと思うよ。」と答えておいた。
家に帰ってガリガリ君を食べている2人を横目に、一応調べようと思い「ユキヤナギ 食べられる?」と検索してみたら、Yahoo!知恵袋に「ユキヤナギって食べられますか?」とダイレクトに質問している人がいた。
世の中の思いつく疑問、ほとんど全部Yahoo!知恵袋に載ってるな。
同じ疑問を抱えて検索したくせに、先に質問してる人を見ると「こんな質問する人いるんだ…」って思っちゃう。それがYahoo!知恵袋。
ちなみに、その辺のハトも食べない方がいいって、Yahoo!知恵袋が言ってた。
「アミをつかえばさ、かんたんにつかまえられるんじゃない?」
「このカゴをつかうのはどう?」
ガリガリ君を食べながら、次回のハト捕獲大作戦の会議をしている我が子たちには、しっかりと伝えておいた。
内容はともあれ、外に出て春の空気を実感できた1日だったなという話。
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