正中線とは何か? どう使うか⑦ ~正中線を育てる練習法

ここで書くのは、理論と私個人の体験によるもので、必ずしも全ての人に当てはまるものではありません。興味のある方は、試行錯誤の参考にしていただけると幸いです。

・バランスディスク、バランスボード、または座布団

正中線は、地面からの力を最小限にしてバランスを保つ能力です。そこで、地面から支えの力を受けられないように制限をかけると、バランス力を引っ張り出すことができます。

踏ん張りが効かない状況を作ればいいので、足の力を吸収するものなら何でもいいです。バランスディスク・バランスボードをお持ちならそれを。持っていなければ、座布団でも敷布団でも5,6枚重ねて、その上に立ちます。

最初は立つだけ。フラつきますが、なるべく踏ん張ることなく、身体の動きだけでバランスを取り続けます。
普通に立つのはすぐに慣れてくるので、次は全身の力を抜いてゆきます。身体を固めている力が抜ければ抜けるほど、身体はフラつきやすくなります。力が抜ければ抜けるほど身体が柔らかく揺れるようになりますが、しばらくすると揺れる範囲が狭くなってきます。そのころには、身体の芯のようなものを感じ取れるでしょう。

こうした不安定な足場で、剣を振ったり踊りの動作(上半身だけ)をしたりするのも、反作用を処理する練習になります。

足を踏ん張らないでいられるようになったら、バランスディスクや布団をとっても大丈夫。中国拳法の基礎練習である立禅(站樁功)も、踏ん張らなくなってから練習する方が良いようです。

・水鳥の足

昔(90年代)、甲野善紀先生の道場では基本の動作でした。最近では他の技術の解説に忙しいためか、あまり語られることはありませんが、モーメントや作用・反作用の感覚を育てるのに適した方法です。
地面から離れて動作するので、地面に頼らずに動作する練習になります。

具体的には、立った状態から足を引き上げて(ジャンプするのではない)、体重を支える必要が無い足を使って方向転換をしたり、着地位置を変えたりする技。
上半身の慣性(止まっているものが止まり続けようとする)を使って引き上げているので、足が浮いている時間はほんのわずか。

最初は「ドッタン!」という感じで着地するのですが、慣れてくると引き上げを小さくしたり、ゆっくりしたりと調整ができます。その頃には、慣性を使って動く感覚がわかってくるはず。

・体幹を動かす練習について

正中線の話は、今回で一段落です。

今回書いたような練習は、体幹部の動きができると便利です。
よく動く体幹部を作るには、体幹の部分部分を意識して動かしてゆく必要があります。
次回からしばらく、体幹部の操作について書こうと思います。

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