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相手の力を抜いてしまう技の原理③ 筋肉の「センサーモード」

甲野道場にいたときに使われていた用語の一つに「センサーモード」があります。
先生の技を受けたときに、力が入らなくなって、スッと崩されてしまいます。そんなときの説明に使われていました。

・センサー・モードは感覚に集中する状態

家の階段や、駅の階段なら、駆け上がることができますね。
では廃屋の、見るからに腐りかけていて、ギシギシ音のする怪談を駆け上がれるでしょうか?
無理ですね。いつ落ちるかわからないところで、警戒心なく動くことはできないでしょう。

以前も書いたとおり、私達の動きはいつも0.3秒遅れ。そのため周りの情報を集め、予測しながら動いています。
「こっちから力がくるから、逆方向の力で対抗する」
「押してくるから足を後ろに、重心を前に」
みたいな感じですね。

では方向がわかりにくかったり、どう変化するかわかりにくい状況ではどうでしょうか?
動きを止めて、できるだけの情報を集めようとしますね。
このように、筋肉などがモーターとしてではなく、センサーとしての働きに集中してしまう状況のことを、センサーモードと言っていました。

動きは止まり、力が出せない状態です。

・実際の技では

合気道的な組技の時、いくつもの部分を同時に使って技をかけると、三次元的な読みにくい動きになります。受ける方は力の方向がわかりにくくなるために動きが止まり、技がかかってしまうわけです。

人間の身体は機械のように一方的に動くのでなく、常に力の方向や大きさをモニタしながら動いていることがよくわかりますね。

・余談 施術で起こるセンサーモード

私の本業であるマッサージでも、方向のわかりにくい触れ方をすると、お客さんの力がスッと抜けてしまうことがあります。
これもセンサーモードが働いた結果で、お客さんの身体が情報を集めようとして脱力するのでしょう。

これが常に使えるようになるのが今の目標なのですが、うまくできますかどうか。

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