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海老八光、バリへ行く

バリへ飛ぶ(人生初)

2024年2月23日、とうとう私はバリへ飛んだ。

今回は、観光で行くわけではない。

展覧会のブッキングに行くためだ。

私の師匠は、現代アート作家・日比野貴之。

師匠は今から約35年前、バリ島からアート活動を始めた。

その後も師匠は、なんどもバリで展覧会を開催している。

師匠のバリ島でのアート活動のツテをとおして、
弟子とアートスクールの生徒の皆さんと展覧会を行う予定だ。

その展覧会のブッキングのために、今回はバリにきた。

アートスクールの生徒さんの作品

海外で展覧会を行う理由は二つある。

1、師匠の海外のつながりを若い世代に引き継ぐため

2、アートスクールに来てくれる皆さんに「アーティスト体験」をしていただくため

だから、バリに行けるといっても、「わーい!バリだ!ウェーイ!」みたいな気分ではない。

あくまで、仕事であり、ブッキングを無事に完了させなくてはいけないという責任がある。

今回のブッキングに際して、
出発ギリギリまで制作をしていたうえに、
移動中はnoteを書かなくてはいけなかったので、
飛行機に乗るまでずっとバタバタしていた。

『I gaze at you』

そして、気がついたら、飛行機に乗って、上空にいた。

バリに到着!!

飛行機から降りて、デンパサールに出ると、
むわっと蒸し暑い空気が私を迎えてくれた。

バリ島は常夏の島。
四季はないが、その代わり、雨期と乾期がある。

今回は雨期。
だから、単に暑いのではなく、蒸し暑い。

まず、デンパサール空港から移動して、クタのホテルで一泊した。

そしたら、師匠のお知り合いが、たまたまバリに来ているらしく、
わざわざバイクでホテルまで会いに来てくれた。

そのお知り合いのかたは、師匠に会えて、とても喜ばれていた。

会うだけで、心底人様に喜んでもらえる人が、この世にいったい何人いるだろうか。

一緒に楽しくお食事をして、美味しいご飯もたべて、ホテルの部屋で一休みをした。

ホテルで食べたピザ。うめぇ。

バリのホテルの人は、英語がたどたどしい私たちにも、とても親切にしてくれた。

しかも、みんな笑顔。

師匠にどうしてバリの人は笑顔なのか聞いたら、「そういうお国柄」だと言う。

良い国だな。

バリのよく分からんフルーツ。味はまあまあ。

ちょっと楽しくなってきた矢先、移動で疲れたのか、
ベッドに入ってすぐ、私は眠りこけた。

ホテルの朝ごはん

次の日。

いよいよ、展覧会を行う地、ウブドへと向かう。

朝は、ホテルのレストランで朝ご飯を食べた。

レストランを見渡すと、見渡す限りインドネシア人ばかり。

ジャワ島から来た人もいるのだろうか。

師匠は周りを見渡しながら、「昔はホテルのレストランに、現地の人は来なかったのになあ」と呟いた。

師匠が最後にバリに来たのは、2009年。

このときにくらべて、現地の人の生活が豊かになったということだろう。

師匠とバリの風景

ちなみに、ホテルの朝ご飯は美味しかった。

日本人の舌にも合う。

そういえば、昨日レストランのスタッフさんが、
私たちが日本人だと聞いて、日本語を話してくれたな。

さすが、観光業が盛んな国。

でも、私たち以外に日本人の客は見当たらなかった…

ホテルのチェックアウトを済ませたあと、タクシーウブドへと向かった。

いざ、ウブドへ

ウブドは芸術の村として知られている。

約35年前、師匠はウブドでアート活動がはじまった。

そこでは、師匠と縁のある人たちがいる。

お祈りをする人

まずは、AYUバンガローのオーナー。

師匠は、日本人のご友人に紹介してもらって、この宿を知ったらしい。

そして、AYUバンガローで知り合った、ご友人のワヤン氏。

師匠がはじめてアートに目覚めたとき、アーティストの工房に連れて行ってくれたり、ドライバーをやってくれたりと、色々と良くしてくれたらしい。

くわえて、アロマ美術館のオーナー、アグン・ライ氏。

師匠は2007年に一度、アロマ美術館で展覧会を行っている。

師匠が35年前に訪れたウブドの店

ウブドに行けば彼らに会えるはずだが、みんな高齢になってきているうえに、
コロナパンデミックのおかげで、どうなっているか分からない。

日本で連絡がとれなかったこともあり、
師匠は皆の無事を心配していた。

バリの道中でみつけた像

長い移動を経て、ようやく、AYUバンガローに到着した。

そしたら、AYUバンガローのオーナー夫妻が顔を出してくれた。


オーナー夫妻(師匠はパパ、ママと読んでいる)は、
師匠のことを覚えていてくれていたらしい。

師匠とAYUバンガローのオーナー夫妻

「あなたに会えて、本当に嬉しい」

パパとママはそう言って、私たちを笑顔で迎え入れてくれた。

なによりも、パパとママが元気で師匠は安心したらしい。

バンガローはほとんど昔のままだが、クーラーがついたり、トイレのふたが付いたりして、
少しグレードアップしていたらしい。

AYUバンガローで制作をする師匠

パパ・ママに、師匠のご友人・ワヤン氏は元気か?と聞いてみたら、
どうやら糖尿病になってしまったらしい。

少し心配だな…

師匠はすぐにパパのバイクを借りて、ワヤンの家に向かった。

若かりしころの師匠とワヤン氏

バリでは、ニケツは大丈夫らしい。

私もヘルメットをかぶって、師匠の後ろに乗った。

しかし、私はバイクに乗ったことがない。

しかも、ここはバリ。

車もバイクも多すぎるんだよ!!!

ビビりちらしながら、振り落とされないよう、必死にしがみついた。

しかし、景色が変わってしまったせいか、師匠はワヤンの家を探し出すことができなかった。

現地の人に聞いても分からない。

仕方なく、AYUバンガローに戻った。

パパにワヤンの家が分からなかったというと、パパは後で自分がワヤンの家に行ってくるよと言ってくれた。

優しい…

パパにお礼を言って、私たちは展覧会のブッキングをするため、アロマ美術館へと向かった。

アロマ美術館へ

アロマ美術館(裏口)

アロマ美術館は現地の財団で管理されている場所らしい。

遺産みたいなものだろうか。

アロマ美術館は、とても素敵な場所で、きちんと整備されていた。

裏口には、小さな舞台があって、定期的に演目をやっているらしい。

しかし、オーナーのアグン・ライ氏の居場所が分からなかった。

カウンターの人に聞いてみたら、お客さんの接待をしていて忙しいらしい。

アポをとって、私たちは展示スペースを見に行った。

園内を歩いていると、突然師匠が走り出した。

「アグン・ライ!!!」

なんと、アグン・ライ氏を見つけたらしい。

背姿でわかるものだろうか!?

でも、ちゃんと本人だった。

2007年の展覧会、師匠(左)
アグン・ライ(右)、師匠(左)

師匠が以前アロマ美術館で展覧会をした写真を見せたら、
アグン・ライ氏は覚えていてくれた。

写真と比べてかなりお年を召されていたけれど、元気そうだ。
本人が無事で、私もほっとした。

無事に再会した師匠とアグン・ライ氏

今年の9月に展覧会をしたいという詣を伝えたら、承諾していただいた。

早速、私たちは展示スペースを見に行った。

でかぁ…

展示をする場所は、めちゃくちゃ広かった。
横にも、縦にも広い。

高さも5メートル以上はある。

よくあるシンプルな白壁にかこまれたギャラリーと違って、
アロマ美術館の展示場所は、真ん中になぜか小さな橋がかかっていて、大きな像もある。

なんかよく分からないけど、ゴージャスだった。

この広いスペースを作品で埋めようと思うと、たくさんの作品が必要だ。

これは帰国したら、身を削って制作をすすめなくちゃいけない。

うへぇ…

アグン・ライ氏にも会えたことだし、私たちはAYUバンガローに戻った。

突然の来訪者

部屋で一休みしていると、訪問者が現れた。

「ワヤン!!」

なんと、ワヤン氏登場。

糖尿病になったとは思えないほど、元気だった。

師匠とワヤン氏が再会!ワヤン氏元気じゃん

師匠とワヤン氏は満面の笑みで、堅く抱き合った。

師匠はワヤン氏に病気のことを尋ねたが、
運動をしたり、医者の友人を頼ったり、物作りに励んだりして、
見事に回復したらしい。

ワヤン氏は話に聞いていた通り、とても気の良い方で、
師匠の最初のファンということもあって、師匠と会うと子供のように笑っていた。

師匠は言う。

「日本では、アーティストというと売れてないと尊敬されないけど、
海外ではアーティストという職業自体が尊敬される。

だからこそ、アーティストはどんな国の人とも仲良くなれるんだ。」

ワヤン氏のお宅に飾られていた師匠の作品

もちろん、師匠のお人柄だからこそ、こうして異国の地でも皆が良くしてくださるのだろうけど、
人の喜びようを見ていると、師匠の言っていることは本当かも…?

ワヤン氏にあった後、私たちはワヤン氏と少し話をした。

バリ島の変化

ワヤン氏はコロナパンデミック中、療養したり、石を彫って灯籠を作ったりと、けっこう満喫していたらしい。

しかし、バリ島自体は大変だったとか。

コロナパンデミックの影響で、観光客が激減。

今は少しずつ戻ってきているものの、以前に比べたら、かなり少ないらしい。

とはいえ、師匠いわく、ウブドも一昔前に比べて、沢山のお店が入っているらしい。

ということは、それだけ観光業で潤ったということだ。

ざっと見渡しただけでも、ご飯屋さんやお土産屋さんが多い。

つまり、観光で生計を立てているひとが多いということだろう。

それが、一気に人が来なくなったら…?

現地の人の話によると、コロナパンデミックを機に、いろんなお店も閉じたらしい。

それでも、来る人は来ている。

観光客の層が変わってきたということだろう。

ワヤン氏いわく、インド人、アラブ系、ヨーロッパ系がたくさん来ているらしい。


一昔前は、日本人も多かったが、コロナパンデミックを機に全然来なくなってしまったとか…。

しかし、飯はうめえ!

つまり、世界情勢が大きく変わってきているということだろう。

師匠がつねに世界情勢を頭に入れている理由がようやく分かってきた気がする…。

あー、アーティストでよかった!

でも、まずは、師匠のお知り合いが全員元気でよかった。

私も顔を合わせることができたし、師匠のご友人のお子さんにもご挨拶することができた。

そして、今回バリ島にきて、いろんな人の状況を知ったうえで、
自分がやらなくてはいけないことが分かった。

そして、師匠がおっしゃっていたことも、今になってようやく分かってきた。

バリ島の段々畑

上手く言えないけれど、アーティストという生業につかせていただけて良かったなと、心底思えた。

素晴らしい師と一生の役目に巡り会えて、本当に幸せ。

バリ島滞在も残りわずか。

日本に帰ったら激務が始まるので、残りの時間も大事に過ごさせてもらおう。

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