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発酵食品と酵素 -発酵の基本知識-㉒

発酵食品を作るにあたり、酵素の役割は大変重要な役割を担っています。

酵素は微生物の代謝物であり、発酵食品はその微生物の代謝物である酵素を豊富に含んだ「食物酵素」のひとつでもあります。


酵素とは

発酵食品には食物酵素が豊富に含まれていますが、酵素が関わる発酵食品の例をいくつかあげてみます。

味噌、醤油、清酒、納豆、甘酒・・・

そのほとんどに、デンプン分解酵素のアミラーゼ、タンパク質分解酵素のプロテアーゼ、脂質分解酵素のリパーゼが含まれています。

酵素は微生物などと違い生命体ではなく、タンパク質の一種です。

多くは生の食品に含まれ、肉や魚、野菜や果物も食物酵素が含まれています。


発酵食品と酵素の関係

発酵食品で一番かかわりのある酵素は

  • デンプン分解酵素  アミラーゼ

  • タンパク質分解酵素 プロテアーゼ

  • 脂質分解酵素 リパーゼ

これらが代表的な酵素ですが、その他にも発酵食品には無数の酵素が関わります。

酵素は主に食材などの有機物を分解するハサミのような役割を持っており、食物をそのハサミで分解すると、糖やうまみ成分のもとであるアミノ酸を生成したり、脳梗塞や動脈硬化の原因となる血栓を溶解する効果があります。

その他に肉や魚などのタンパク質を分解し、柔らかくするため、消化吸収しやすくなり、胃腸への負担を軽減します。


実は酵素はわたしたちの体内でも生成されます。

唾液には、アミラーゼ、リパーゼなどが含まれ、胃液にはプロテアーゼが含まれます。

ただし、高齢者や幼児など噛む力が弱く、唾液量が少ない、または胃腸の調子が悪いときなど、酵素の効果が発揮されにくい時は、発酵食を利用した食事を摂ることで体内の酵素の補助的な役割を行い、内臓や体への負担が軽減されます。


発酵食に含まれる酵素を摂取する際の注意点

発酵食には無数の酵素が豊富に含まれています。

これらの酵素を有効に作用させるためには調理時などに注意が必要となります。

目的にもよりますが、たとえば肉や魚などのタンパク質をもった食材を柔らかくさせたい場合は、プロテアーゼ酵素が有効に活動できる温度帯にしておく必要があります。

また、アミラーゼに関しても同様な注意が必要になります。

酵素はおよそ、60℃位を目安に活発になる温度帯の上限とされており、70℃以上を超えると失活します。失活をすると活動が止まり、その効果を得ることはできません。

従って、なるべくならば加熱をせずに摂取できるのが理想的とされていますが、肉などは十分な加熱調理をする必要があるため、調理する前に食材の酵素分解を十分にさせておくことで、効果を得ることができます。


発酵食品以外にも利用される酵素

食物との関係性のイメージが強い酵素ですが、実は食品以外にも酵素は使われています。

わたしたちの生活になじみのある製品でたとえると、洗濯用の洗剤などには、酵素の分解作用が利用されています。

酵素の効果がうたわれている洗剤などは、汚れの原因である、タンパク質や脂質を分解するためのプロテアーゼやリパーゼなどが使われています。

酵素の分解する力を利用してタンパク質由来の汚れや、油汚れを分解して落とすのです。


酵素は発酵食をはじめとした食品以外にもさまざまな生活の中で利用されていますが、実はそのメカニズムについては未開な部分も多いのが現状ですが、今後もますますその効果や応用性など、将来性に期待が集まる注目したいもののひとつです。

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