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【ネタバレ・感想】現代社会にも刺さる実話映画「フロント・ランナー」

倫理観、それが最も問われている映画だと思います。

【基礎情報】
監督:ジェイソン・ライトマン
主演:ヒュージャックマン as ゲイリー、
公開年:2019年

【全体感想】
途中ダレてしまうのが残念ですが、色々考えさせる映画です。

といっても、ダレているのは、風景を追うのか、個人を追うのか振り切れていなかったために生じたと思うので、気にならなければ全然問題ないと思います。

…時に、ヒュー・ジャックマン、グレイテスト・ショーマンに引き続きカテゴリ不倫男役やっていてちょっとそのイメージが定着しないか不安です(何様)。
PANはそこまでだったのですが、いかんせんグレイテスト~はかなりヒットしたので()

【個別感想】
プライバシー権vs知る権利、将来と現在、右と左、不倫と家庭、男と女。

おそらくハート議員について、最も不幸だったことは、激動の時代であったことだと思います。

事実、ブッシュが代わりに当選したことで、アメリカはイラク戦争へ突入。
オバマ前大統領の「アメリカは世界の警察ではない」宣言へと…。

Ecology, Education, Economy, and… Ethics

プライバシー権も知る権利も比較的新しい権利。
ハート家には勿論プライバシーが保証されいるべきです。
でも、有権者たちもハート上院議員について知ることが保証されているんです。
彼は大統領の資質を持っているのか、そうではないのか?
もし有言実行の男でないのならば…。

それでも正直な話、私は観ていて知る権利がプライバシー権をかなり抵触していると思いました。
ハート議員には答える義務もあったと思います。
それが彼の責任ですから。
でも、妻や娘に過剰な関与をするのはちょっとやりすぎ。
人生を壊しかねません。

実際、被害者として描かれるラダの人生はかなり壊されたと思います。
それでも、国民はゲイリーの不倫を知る必要があります。
そしてマスコミにはそれを報道する必要性が。

更にはマスコミのプライドや経営上の問題もあります。

重要なのはまさにそこで、結局4Eの倫理の問題なんですよね。

結局対立する価値観のうち、どれを大事にするかは個人によりけりですが、度を過ぎたものは制約されなければいけない。

更に、鑑賞終了直後、今日のSNS社会、そしてSNSによるつるし上げといった私刑についても、しっかりと問いかけているようにも思いました。
考えさせたという意味において、十分ちょっと振り切れていない映像回しがチャラになった気もします。

語られない不倫
しかし、4E良いですね~~~最後まで語り切らずに存在感を発揮する当たり、良いとしか。

結局のところ、ゲイリーのラダ以前の不倫問題に関しては明確に語られることはありませんでした。
記者の質問により機嫌を損ねるゲイリー、リーの視線を気にするゲイリー。
それらだけで十分です。
語られなくても、ゲイリーという人物を語るに十分です。

そして、私は語らない語りという手法が特に映画において好みなのです。

以上、フロントランナーのネタバレありの感想でした。
欲を言うのなら、ごみがどうのこうの~というシーンに対し、「いやその絵面をよこせ」と思った瞬間ごみのシーンが出てきた構成のあざとさ、そしてそういった風景シーンのもやっとするバランスをどうにかしてほしかったかなあ…。

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