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デイサービス(通所介護)は“何を”売っていて、“誰を”幸せにしているのか?

デイサービスという介護施設はご存知でしょうか?

介護が必要になった方が家から介護施設へ通い、必要な支援を受ける場となります。そのため、そこに通う利用者さんのためのモノだと思っていますよね。僕はこの考え方は「正解であり不正解」というように捉えています。

そもそも、なぜこんなことを記事にしようと思ったのか・・・

このツイートしたことがきっかけです。
確かにデイサービスは、利用者さんのためでもあるのです。私たち(理学療法士)は運動や身体に対する知識が他の方々よりも深い傾向があります。そのため、そこに固執してしまう、“運動”をメインに提供してしまうことがあります。
しかし、いったんそこから離れ、デイサービスというモノを俯瞰してみることで、“本質的な価値”を捉えることができるのではないかと思います。


「デイサービスがあることで、社会のどんな歯車が回っているのか」

という問いが非常に大切なように思います。

皆さんなら、どういった答えを出すでしょうか。

デイサービスがあることで、“誰が”最も利益を受け取っているでしょうか?

僕は「家族」だと思います。

家にいる利用者さんが、デイサービスにいくことで、「家族に自由な時間が生まれます」。それこそが、デイサービスの“本質的な価値”ではないでしょうか。

家族のために介護をしているのか?

と否定的な声が生まれることは想像できます。

1つ例を挙げてみます。

皆さんもよく行かれる(僕はあまり行かない笑)、スターバックスコーヒー。このお店は何を売って、どのような価値を提供しているでしょうか?

スターバックスでは、コーヒーを売ってはいます。しかしながら、お店のスタッフや空間も含め、“居心地の良い時間”を提供しています。

ではこの“居心地の良い時間”を提供するために、コーヒーの手を抜いていますか?
そんなことはないはずです。むしろ他のお店よりも美味しいかもしれません。

デイサービスの話に戻しましょう。
“家族に自由な時間”を提供するために、“介護”の手を抜いて良いと思いますか?そんなわけはありません。

そもそも、介護というサービスを提供することで、結果として、顧客提供価値となる「家族の自由な時間」を得てもらえます。

介護の手を抜いて言い訳ではありません。
そして、あくまで「デイサービス」“の”顧客提供価値です。また、現場で働く、「介護職員や療法士」“の”顧客提供価値は利用者さんのwell-being(良い状態)です。

僕は、「家族の自由な時間」を与えることができるなら、極端に言ってしまうと、“デイサービス(介護)”という方法を使わなくても良いと思っています。しかし、「7〜8時間の間、高齢者が外出できて、お風呂も入れて、ご飯も食べれる」。というビジネスモデルがありません。そのため、現場では、デイサービスを使うことが最適解となっています。


さらに深堀りしていくと、家族は自由な時間を得て、何をしているのでしょうか?

在宅介護からのレスパイト(休息)、仕事、育児・・・

たくさんあると思います。
つまり、ここにも関与できる余地があり、ビジネスチャンスにもなりうります。介護とセットで、ここにアプローチすることで付加価値が高まるかもしれません。

このように俯瞰的に捉えることで、介護“だけ”が価値だと思っていたことから、幅広くスケールさせていく思考となります。

デイサービスと同じような顧客提供価値を出しているサービスが「ベビーシッター」だと思っています。子供のお世話をすることで、「家族の自由な時間」を生み出しています。
保育園ではないことが大事です。保育園にも、一定数、同じような顧客提供価値が含まれているとは思いますが、基本的には「良い教育を受けさせ、子供に良い成長をして欲しい」というように、「子供」が主語になります。保育園の競合となるのは、学習塾に近いと思います。

このように、子供を対象とした同じようなサービスであっても、顧客提供価値は異なります。

デイサービスにしろ、ベビーシッターにしろ、そのサービスを使う目線になって考えてみることが大切になります。

自分だったら、「どんな状況で、そんな目的で、どんな感情で」そのサービスを使うのかな?という視点です。これこそが顧客提供価値のインサイト(潜在的ニーズ)になるのではないでしょうか。

インサイトを満たすためにも、目の前のサービスに真剣に取り組まないといけません。逆説的にいうと、目の前のサービスの質が高いからインサイトを満たすことができます。

どちらの視点も持ち合わせて考えていかないいけません。

我々、専門職と言われる人たちは、どうしても目の前の利用者さんや患者さんに対してフォーカスをする職種です。それが専門なので当然です。しかし、たまに、顔を上げて遠い場所を見つめてみるように意識することで、まだまだサービスを届けるべき方々がいる。ということを理解できるのではないかと思います。

それでは、またね。



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