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「女性が働き続けられる環境」は整ってきたけれど、「離職した女性がもういちど働く環境」は整ってきただろうか

「女性が働き続けられる環境」は整ってきた

最近は以前よりずっと、女性が仕事を継続しやすい環境が整ってきました。(もちろん、まだまだなところもあるけれど。)

保育所や学童などの整備が進み、産休・育休・時短制度なども充実してきたので、出産しても働き続ける人が増えました。介護休業なども取りやすくなりました。

転居を伴うような転勤についても、これまでは配偶者の離職のきっかけになりがちでしたが、その方針を見直す会社が増えました。

これらの就業継続支援は、これまでの女性たちが勝ち取ってきた権利だと思います。その恩恵を受けて、仕事を継続できる女性は確実に増えたことは、とても喜ばしいです。

また、コロナをきっかけに、在宅勤務できる環境が急速に整ってきました。家事育児を担う人にとって、自宅から仕事ができる、というのは画期的なメリットで、これも就労継続のしやすさにつながっていると思います。

「離職した女性がもういちど働く環境」は整ってきたか→まだまだじゃない?

でもこれらの就業継続支援は、現時点だと、
「仕事がある人が離職しなくても済むようになった」
だけであって、
「事情があって離職した人、経歴ブランクがある人にもその条件が適用されて、再就職できるようになった」
にはまだ至っていない気がします。もちろん少しずつ変わってきているのだとは思うけれど、すでに仕事をしている方が受けているものと同じ条件で支援を受けているとは言えないのではないでしょうか。

離職した女性が復職するときにも、柔軟な支援が欲しいです

私自身は、夫の転勤に同行するために専業主婦になりました。そこから8年間は専業主婦で、さらに6年間のパートを経て、運よくフルタイム正社員になりました。

専業主婦からの就職活動時、まずは子どもを保育園に入れようと申し込みましたが、子どもが待機児童になり求人への応募もままなりませんでした。

また、ようやく見つけたパート先では、正社員の方は子どもが小さければ時短ができるけれど、同じ条件で社員登用試験を受けるのは実質ムリ、ということがありました。フルタイム勤務では保育園や学童のお迎え時刻に間に合わないので、そのチャレンジをあきらめるしかありませんでした。

仕事をする覚悟が足りない
配偶者に収入だけで食べていけて恵まれてる

と言われたら「そのとおり」なのですが。
でも、私みたいな理由で離職して、そして、また仕事をしたいと思っていても様々なハードルで思うようにいかない方、多いと思うのです。

そのような「働きたいのにアクセルを踏めない」期間が長くなればなるほど、復職したり、キャリアアップしたりする道は遠のいてしまいます。
少子高齢化が進み、労働力不足になっている今の日本では、本当にもったいない話です。

ですので、昔の私のような「一度は離職したけど、もう一度働くことができた」人が力を合わせて、「ブランクがあっても復職しやすくする道」を切り拓いていけたらいいな、と思っています。

私は今からでは
「何があっても仕事継続をあきらめず頑張ってきた人」
という人にはなれないけれど、
「ブランクがあってもまた頑張っている人」
になるチャンスはあるわけですから。

そして、私みたいな人が社会で増えてきたら、ブランクがあっても復職しやすい流れができると思うのです。


女性が復職しやすくするために思いつく、比較的すぐできそうな提案

まずは保育園

乳児のいる求職中の方は、基本的に保育園が見つからなかったら、就職活動を開始できません。
保育園に入れるまで待っていると、ブランクがますます空いてしまいます。子どもが複数いたらなおさら。離職期間が長くなるほど再就職しにくくなるのだから、離職中の方が保育園に申し込んだときには、就業中の人よりも保育園に入りやすくしてほしいくらいです。制度を見直せないものでしょうか。
(補足すると、これは保育園が足りないのが問題なので、ここで就業中の方 vs 求職中の方という図式にする気はありません。)

また、企業の方には、時短制度など、子育てをしやすくする制度の適用範囲の拡大もぜひ考えていただきたいです。

時短制度のある会社でも、なぜか入社半年はフルタイムが条件になることがあると聞いたことがありま
す。また時短勤務は3歳までで終了、という会社もあります。小学校低学年の子どもがいる人が復帰したくても、ブランクからいきなりその求人枠に応募するのはかなりハードル高いです。

1時間か2時間、職場に残れないだけで、正社員への応募の道がない、というのに悔しい思いをしている人をたくさん知っています。(昔の私も含む。)

転居を伴う転勤も、本人が希望しない辞令は出せないようにしてほしいです。

リモートワークについても、入社していきなりフルリモートは難しいかもしれないけれど、徐々にリモートに切り替えていく権利を、もともと在籍する社員の方と平等にしてほしいです。

また、日本独特の、「年齢差別」も緩和しませんか。

「40代なのに管理職経験もないのか」
「30代で名刺の渡し方も知らないのか」
「40代以上の方はパソコン苦手な人が多いからちょっと」
というのはよく聞きますが、そんてことで敬遠されるのって、なんだかもったいないです。

たまたま当該スキルのトレーニングを受けていないのなら、それを勉強する環境があれば良いのだし、管理職経験がなくても若手と同じように育てることができるかもしれません。管理職経験がない、というだけで能力が何もないわけではないのですから、評価できるところはきっとあります。

また、コロナで人材ニーズが変わってきているのなら、キャリアチェンジを応援する仕組みがもっと拡がってほしいです。
リカレント教育がもっと一般的になれば、復職のハードルが下がるのではないでしょうか。



女性の就労継続支援の制度をみんなのものに

これまで、女性の就労継続の足かせとなっていた諸々は、女性たちが声を上げることで、少しずつ改善されてきました。
ですから次は、その適用範囲を広げていけばいいと思います。

経歴にブランクのある人材の離職理由は介護や育児だけではありません。また、離職後に、少し支援を受けて再就職したいのは子育て中の女性だけでもありません。
女性の就労継続支援の制度がみんなに平等に適用されれば、いろいろな人が働きやすくなっていくとみんなのハッピーにつながるのではないかと思っています。