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書籍レビュー『コミュニティマーケティング』

『コミュティ運営が目的ではなく、マーケティングの一手法』

SNSが発達したことで、消費者の意見を他の商品者が参考にする「口コミ」が、購買に大きな影響を持つようになってきた。
企業側のメッセージではなく、同じ消費者が良いと言っているものが信用できるのは当然であろう。
こうした流れはBtoCビジネスだけでなくBtoBビジネスでも起こっている。
そこにマッチしたマーケティング手法がコミュニティマーケティングである。

コミュニティイベントというと、企業がコミュニティ設計から運営まですべてお膳立てし、ユーザーには参加してもらうだけという印象があるかもしれない。
だが、本書で語られるコミュニティマーケティングは全く異なり、ユーザー自体で企画・運営してもらい、企業側はあくまでサポートに回る。
そんなことをしては企業の意図しない方向に行ってしまうのでは?人が集まらないのでは?という懸念が生まれる。
しかし、本当に熱量の高いファンにフォーカスし、そこから情報を発信することでしかコミュニティは育たない。
従来型の企業主導のマーケティングに慣れた企業にとってはコミュニティマーケティングに取り組むのは勇気のいる判断だろう。
しかし、本書に記載されたAWSやサイボウズ、ヤッホーブルーイングの事例を見れば、コミュニティマーケティングに取り組む価値があることは明白だ。

一方で、コミュニティ運営担当者はコミュニティを維持・拡大することが主目的になってしまいがちだが、あくまでマーケティングの一環であることを忘れてはならない、と著者は警鐘を鳴らす。
コミュニティの側に立ち、会社と対立するようでは本末転倒なのだ。
これもあって、コミュニティマーケターの資質の1つとして、著者は会社との交渉力を挙げている。
成果が分かりにくい、だが続けていけば必ず会社にとって良い効果が表れる施策であるだけに、会社に対してその活動を説明し、理解を得る能力が重要なのであろう。

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