“家庭科”って今、役に立ってますか?

このところ、「自炊」について考えていました。社会に出て親元をはなれ、自炊をはじめる人あり、ほぼやらない人もあり。興味はあるけどまだしていない、本当はやりたくないけど仕方なしにやっている……いろんな形がありますよね。

そんな中、学校の家庭科で習った調理って多くの人にとって役立っているのだろうか、そうでもないのだろうか?
そんな疑問がわきました。

私といえば現在43歳の1975年生まれ、小学校の家庭科で作った2~3品はなんとなく覚えていますが、中学になると「あれ? 家庭科ってあったかな。女子と分かれて技術科だったような……」ともう記憶もおぼろげ。料理は毎日していますが(私は家で炊事担当)、家庭科の授業がきっかけで料理を覚えた、習ったことが役立っているとは決していえない状況です。

他のひとはどんな感じだろう?
そう思い、ともかくもツイッターでアンケートをお願いしました。

「家庭科の授業」と聞いて
1:習った料理でパッと思い出すのは何ですか?
2:今おいくつでしょうか(ざっくり30代前半、とかでも)
3:家庭科で習った料理のことは現在役立っていますか?

という項目です。その回答をまとめてみました。

家庭科で習った料理といえば?

粉ふきいも
断然多かったのが、こちら。20代後半~60代のかたまで多くの世代から回答いただきました。ただ同時に「授業以来、一度もつくっていない」という声も多数でしたね。

記事にするにあたり、実にまあ30年ぶりに作ってみました(上の写真)。本来はもっともっと粉吹かないとなんですが、鍋底があやしくなったので…このへんでビビッてやめてしまいましたよ。。

ホウレン草のソテー、おひたし
ホウレン草を使ってバターソテーか、おひたしか。私の小学校時代はソテーでしたね、たしか。ニンジンのグラッセを作ったのも同時に思い出したなあ。鮭だったかのムニエルも作って、粉ふきいも含めた3品をつけあわせにする、というところまでがワンセットの授業だったような。

「今でもたまにソテーをつくる」(50代)
「ソテーという響きが高級料理のように聞こえて、普段家庭で出てくるものとは別物に感じられた」(40代後半)
「おひたしは苦手だったのに、ソテーにするとおいしいんだなと思った」(40代後半)

野菜炒め
「キャベツ、ニンジン、ピーマンを塩コショウで炒めるのみ」(49歳)
「何度も自宅で作り、料理するきっかけになった」(40代・女性)

生野菜サラダ&フレンチドレッシング
「ドレッシングの油と酢の比率は今でも思い出しながら作る」(44歳・女性)
「これと目玉焼きしか家庭科でつくったものを覚えていない」(51歳・女性)

卵料理(目玉焼き、オムレツ、ゆで玉子、だし巻き)
小学校が目玉焼き、ゆで玉子、だし巻きは高校で習ったとコメントあり。「オムレツは中の具を個々に自由にできたのが楽しかった」(30代前半)

そのほか、煮干しだしの味噌汁、クリームシチュー、スパゲティミートソース、鮭のムニエル、サンドイッチ、白玉団子、ポテトサラダ、コンビーフのピカタ、サバの味噌煮、ブリの照り焼き、菊花かぶ、炊飯器をつかわずごはんを炊く、といったものが2票以上挙がりました。

そのほか、「地元の郷土料理をつくった」という声も多かったです。

鬼まんじゅう(愛知ではなく三重のかたから寄せられました)、すいとん、ほうとう、がんづき(岩手)、芋煮、サーターアンダギー、いももち、鯛めし(23歳、和歌山のかたからの情報)、手打ちうどん(岐阜・美濃市、30代前半)などなど。「親の地元の郷土料理を調べてつくる」(50歳・高校での授業)というかたもありました。

印象的だった答えに「玉米湯(中華のコーンスープ)、ハンバーグ、カスタードプリン」というのがあり、30代後半の女性から寄せられました。なんと区立の小学校で習ったそう。「区内でも有名な栄養教諭がいたので、そのためかもしれません」とのこと。学校によって調理の授業、内容にかなりの差異があるというのは感じますね。このへんは今後もっと調べてみます。

それらは現在、役立っているか?

〇役立っている派

基礎を知ることができた

「食材の基本的な切り方、計量スプーン、計量カップの使い方を知った」(50代前半)
「栄養の基本を学べた」(40代後半、30代)
「火の通りにくいものから炒める、塩加減の決め方を知った」(30代)
「まな板の熱湯消毒は今もやっている」(20代後半)
「料理=楽しい、というイメージを持つことができた」
「何をするにも授業を思い出している」(50代前半)
「洗い物までの流れを覚えることができた」(50代後半)
これは買い物から、ということでしょうかね。
「高校家庭科で栄養学をきっちり教えてもらったのは財産」
「ドレッシングづくりを通じて、基本調味料を組み合わせておいしく作る力が養えた」(23歳)

自分でも料理するきっかけに

「授業で習った野菜炒めが、料理をするきっかけになった」(40代)
「栄養学を専攻するきっかけになった」(50代)
「料理って僕でもできるものなのか、と気づくきっかけに」(36歳)
「料理そのものをつくることには役立ってないが、(その後の)母のおだてで料理を手伝うきっかけとなり、総合的に上達した」(30代後半・男性)
「焼きそば、チャーハンが得意料理になった」(40代)

また、親が料理をせず「家庭科がなかったら生きるのは困難だった」という声も30代前半のかたからいただきました。このかたは「親が家事をすると不機嫌になった」そうです。

家庭料理の多様性を感じられた

「親が料理嫌いなので、献立の幅を知ることができた。家ごとにそれぞれ違う味があるんだなとか。クリームシチューって買うものじゃなくて、作れるんだな、とか」(40代半ば)

↑のご意見ですが、他の数名のかたから「自分の家の味噌汁をつくってみる、という課題がありました」「それによって味噌汁も家ごとに随分違うんだなと知った(20代後半)」「あおさ、というのを入れる子がいて、すごくおいしいと思った」といった声あり。味噌汁は食の多様性を感じるのにぴったりの「教材」ですよね。こういう授業、体験してみたかった。

「母は和食ばかりだったので、洋食をつくれて感動した」(52歳)
「うちではホウレン草はおひたしのみ。(ソテーという)別の食べ方を知ったことは強く印象に残った」(50代)

親がつくらない料理を家庭科の授業で知ることができた、という声は複数ありました。

感謝の心

「母親はこんな大変な作業を毎日しているのかと、尊敬心が芽生えた」(34歳)
「高校で酢豚を習って、あまりの面倒くささに今までつくってくれた人たちに感謝した」(40歳)

素晴らしいなあ。私なぞは小学5年生だったか、粉ふきいもを習った日に「こんな料理があるんだね。知ってた?」なんて母に聞いたのを思い出しました。雲泥の差ですねえ……。(母は当然のように知っていて、目の前で作ってもらい、よい復習となりました)

〇役立っていない派

まず、一番多かったご指摘から。

グループ調理では意味がない

「パートに分かれてやるから役に立たない。一通り自分でやらないと」
「積極的な子が(班の中で)主導権を握ってしまう。自己主張できないと洗い物係になってしまって、調理できない」
「班の中で料理できる人がやってくれてしまう」
「主な工程を体験できないと意味がない」(60代)

たしかに。
ご意見を読んでいて思い出しましたが、全然やらない子、食べるだけの子、いましたねえ。けれど実際はやってみたかったのかもしれない。先生方も悩みどころに違いないでしょうが、子どもの数が減った現在では状況も変わっていそうですな。これも今後調べてみます。

時代に即していないと感じた

「鋳物のガスコンロで、時代遅れの道具だった」(40代)
「ホワイトソースを白ソース、フレンチドレッシングを酢油ソース! 誰がそんな呼び方をするの? イライラしました」(60代後半)
 ちなみにこのかたが作られた料理名は「キャベツとキュウリの酢油ソース和え」だそうです。サラダ、とは言わなかったのですね。また
「授業の味つけが自分の好みに合わなかった」
「普段食べるようなメニューがあまりないと思う」(35歳)
という声も。さらに
「『女性は家事ができるべき』という先生と大ゲンカ」(39歳)
という声はとりわけ印象的でした。教師個人の価値観を披露される授業、私も学生時代は反発したなあ。。。

否定されて……

「家でホウレン草ソテーをつくったらボロカス言われて(料理が)嫌いになった。今でも苦手。夫には申し訳ない気持ち」
「小学生のとき味噌汁をつくったら、班のみんなが『薄すぎる!』と寄ってたかって味噌を入れて、泣いて帰った」(30歳)

こちらの2つの声には、胸が痛くなりました。料理に関するトラウマを小さい頃に背負ってしまうのは、あまりに気の毒だ。
「家庭科が役立っていない」とはまた違う感想ではあるでしょうが、記録しておきたいと思いました。

その他

「不器用なので、苦手意識がさらに高まった」(30代)
「習ったはいいが、それ以降つくる機会がなく忘れてしまった」(20代後半)
「動画サイトを見ながら真似するようになって身に付いた」(30代)

「特に役立っていないが、家庭科で料理を教えても役立たないというのは違うと思う」
(60歳)
こちらは本当に、ごもっとも。
経験しておくことの大事さですね。さらには

「役に立ったかといわれればノーだけど、家庭科ではじめて料理をつくったので、良い刺激になった」(28歳)
というかたも。

多かったのが「バイトの厨房で働いたほうが役立っている」「親の手伝いで習ったほうが役立っている」という声。前者はお金が発生しますし、後者はある意味家庭科がなくとも調理を覚えていくタイプ、でしょうか。

終わりに

ツイッターのアンケートツイート、レスや引用RTでいただいたご意見は850超えに。「役立った/役立たない」それぞれのリアルな声をたくさん聞けて、貴重な機会となりました。総数としては「役立った」ほうが多かったのですが、無作為アンケートではありませんので、あくまでここは参考データとしてとらえてください。

さて、なぜ家庭科は存在するのでしょう。
文科省による小学校の学習指導要領には

衣食住などに関する実践的・体験的な活動を通して,家庭生活への関心を高めるとともに日常生活に必要な基礎的な知識と技能を身に付け,家族の一員として生活を工夫しようとする実践的な態度を育てる

と、あります。
いただいたレスの中に「高校の家庭科は、大学でひとり暮らしを始める人が多く、それを見越して応用のきくレシピを習ったのでとても役立ちました」というものがありました。こちらは高校のケースですが、生徒さんも「すぐに必要なスキルになる」という自覚もあり、身が入った部分もあるでしょうね。ニーズと意欲と授業内容が結実しやすい、幸せなケース。

さらには
「役に立ったのは、炊飯器を使わないお米の炊き方」というご意見が数名のかたから。最近の地震による停電時に役立った、という声もあり。切実ですよね。明日、いやきょうにでも自分たちが必要になるスキルかもしれない。

「日常生活に必要な基礎的な知識と技能」のみならず、非日常でも役に立つポイントがある……というのは小学生高学年のうちから知っておきたいな、と思うのです。こんなにも災害が頻発している昨今だからこそ。

長くなりましたが、以上が家庭科アンケートのまとめです。現代の子どもたちがどんな家庭科の調理授業を受けているか、今後ぽつぽつ調べてみます。


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白央篤司

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