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逆転のトライアングル | Triangle of Sadness

てかさ「哀しみのトライアングル」だよね?


見終わった後にどうもしっくりこない気持ちになったのは、邦題のせいかなと思った。
原題では「哀しみのトライアングル」なのだけど、邦題では「逆転のトライアングル」となっている。
これから逆転劇が始まる映画なんだ…という期待をこめずにはいられないタイトル。
そんな期待があったからこそ、終わってみると「逆転とは…はて。」という気持ちになってしまった。

場面は男性モデルオーディションから始まる。なかなか伸び悩むモデルカールとその彼女で売れっ子モデルのヤヤ。SNS上でインフルエンサーでもあるヤヤの特権で豪華クルーズ客船に招待される。そこで様々な富裕層と関わりながら、ある嵐の夜に事件は起き…と場面が3部に渡り変化していく。

原題の「哀しみのトライアングル」とは、美容業界で眉間のしわが寄るエリア(ボトックスを打つ場所らしい)の通称で
作中の序盤にモデルオーディションの審査員が「この哀しみのトライアングルをリラックスさせてちょうだい」とカールの表情をほぐすように促す場面がある。
このシーンであれっこれ原題じゃんと気づいたのだけど。
 
「逆転のトライアングル」のタイトルに引っ張られると、のちに出てくるトイレ清掃係のアビゲイルにスポットを当てて見てしまう。そして結末(オープンエンドだけど)に「うーん?」という気持ちになったのだった。

本作には飲んだくれの船長をはじめ、ロシアの大富豪、脳卒中が原因でドイツ語の一言しか話せない女性などなかなか癖の強いキャラクターが次々と出てきて、カールの存在はぶっちゃけかなり薄まる。
それでもあくまでカールに焦点をあててみると、最初のシーンから最後のシーンまで「そういえば彼主体だったんだな」と気づかされる。
そういえば最初に「チャプター1:ヤヤとカール」と出てきたときに、これは登場人物それぞれに焦点を当てて進んでいく感じなのかなと思ったけど、実際は「チャプター2:船上」「チャプター3:島」と続くわけで、やはりこれはカールのお話しなのだ。
 
監督インタビューを読むとわかるように、これは「逆転」の部分に焦点をあてているわけではないし、三角関係の話でもない。邦題に「逆転」を採用してしまったために、見終わってちょっと期待とはずれたと感じる視聴者も少なくないかもしれない。たしかに「逆転」の方がわくわくする内容な印象を受けるし、実際逆転する場面はあるけども、作品の趣旨に反するような釣りはやめてもらいたいものだ。

と、アンチ邦題をかましてしまったけど
作品は現代社会の風刺が効いていてなかなか後を引く映画だった。
この予告編は良いよね。作品の軽快さが現れててなかなか好き。
ちなみに日本の予告編はこれまた本編大体見せてんじゃんってくらいあらすじ語っていて、やはり「逆転」寄りにみせようとしてるのが個人的にきにくわなかった。


監督のインタビュー記事もよき。作品見た後にぜひ。

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