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ロブスター | The Lobster

2015年公開のSFロマンス映画。

コメディ枠に入っていたので、トレイラーを観るも「うーん、ブラックコメディ枠か?」と思いながらの視聴。

独身者は(死別や離婚であっても)「ホテル」へ運び込まれ45日以内に伴侶を見つけないといけない。もし期限内にカップルになれなかったら動物にされてしまう。というなかなかシュールな近未来を描いたお話。

タイトルの「ロブスター」は、コリン・ファレル演じる主人公デイヴィッドが、最初にホテルに運び込まれた際に支配人からなりたい動物を聞かれた時に答えたのがロブスターというわけ。
ホテルに運び込まれた独身者たちは必死に伴侶を見つけようとする姿は、今どきよくあるリアリティショーの様だけど期限内に見つからないと動物にされてしまうのだから当人たちの必死さは違う。
ホテルでは「シングルだと物に喉を詰まらせて独り死ぬ」「シングルの女性が歩くと強姦にあう」などといったレクチャーや、残りの日数を伸ばせるイベントとして森に住むシングルたち(ホテル行きから逃れて反社会的に森で生活をする者たち)を麻酔銃で狩るなどしながら監視のもと生活をする。

伴侶を見つけなければならないホテルでの恋愛を強要するディストピアと、恋愛禁止のルール下に仲間として生きる森のシングルたちのディストピア。その間はないんですか…!という極端な世界観の中、どちらも「仕方なし」に従う人々が印象的。

本編の世界では「恋愛には共通点があることが大事」ということが執拗に重要視されていて、「よく鼻血が出る」とか「近視である」とか『え、そういう共通点なん?』と思うような部分をみんなが重視していてまるで恋愛初心者のよう。ほら、同じ癖や好きな食べ物があるってだけで運命感じちゃうような年代の。

ヨルゴス・ランティモス監督のダークでシニカルな世界観も引き込まれたが、コリン・ファレルの役作りにも圧巻。役では冴えない中肉中背の男なのだけど、何キロ太ったんだろな…見事に「デブではないがぼってりお腹の中年」体型に仕上がっている。
「コリン・ファレル主演か、観よう♪…コリンどこ?」って感じ。

そして最後までデイヴィッドがロブスターになったのかどうかは謎。
エンドロールの最後に波の音がしばらく流れるのだけど、彼が行きたいと言ってたイタリアの港町かどっかに行ったのか、はたまたロブスターに変えられて海で永遠の命を生きているのか…しかしどちらに転んでも決してハッピーエンドとは言えないオープンエンドで幕を閉じる。

こういうの結構好きだったりする。

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