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挑戦者が安心して挑戦できるのは、多数の「挑戦しない」人たちの日々の地道な活動に支えられているから

 先日、同じ組織のメンバーとの面談時に「与えられたタスクをこなすだけではなく、自分なりにもっと能動的に課題をみつけて解決案を提案していくようにしてほしい」、そんなフレーズを口にしていた。

 しかし、冷静になって考えてみると、もし組織が「能動的な人たち」ばかりだったらどうなるのだろうか?

 みんながコレやりたい、あれやりたい、自分のこの案がいいに決まってる!などと率先して手を挙げる組織は、はたして正常に機能するだろうか。

 いや、絶対うまくいかない。

 その証拠に日々、大きな組織が問題なく運営できているのは能動的な人「1割」、受動的な人「9割」で構成されているからではないだろうか?

能動的な人ばかりで、指示命令があちこち飛び交っていては、半分以上は定例業務で成り立っている会社組織は、機能不全を起こすはずだ。

だとすると・・・・実は能動的な人「1割」、受動的な人「9割」という比率は、大きな組織において、みんなが合理的な判断を下した結果=自然の摂理なのだ。

この構造について「無理の構造」では、とてもわかりやすく説得してくれる。

「能動的であれ」とは世の中で常に言われることです。「受動的であれ」という話はあまり聞きません。

ところが実際の世の中で求められているのはたいていの場合は受動的な人です。

本当に世の中、特に会社や学校などの組織の中で能動的な人があふれたら大変なことになります。

「新しい変化を望む人」(革新派)と「これまでのままで変化を望まない人」(保守派)との関係も同様と言えます。

「新しいことへの挑戦が大事」と皆が主張しているようですが、世の中の人全員が本当に挑戦を始めたら収拾がつかなくなるでしょう。

挑戦者が安心して挑戦できるのは、実は多数の「挑戦しない」人たちの日々の地道な活動に支えられているから、ということも忘れられがちです。

「無理の構造」細谷 功

 インフルエンサーを目指せ!、何者かになることをめざせ!と煽る人たちも、あまりこの事実を語らないが、、、。

 そして、本書ではこういう状態のことを「 1:9のねじれの法則」と命名している。これまた、すばらしくうまい表現である。

現実の生活において能動的な人と受動的な人の比率は、「1(圧倒的少数): 9(圧倒的多数)」なのに、「あるべき姿」や「影響力の大きさ」は、まったく逆の「9:1」になっているねじれ現象

「無理の構造」細谷 功

 9割の受け身のひとは、自分で何かを考え、誰かをリードするのは苦手なはずだから、そこは残り1割の人を真似たり、目指したり、身を委ね、頼る。

 残り一割の能動的な人は、9割の能動的な人を魅了し、動かし、会社を作ったり、人気やお金を集める。

世の中うまくできている。

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