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気まぐれOne Way Boyに首ったけ

こういう仕事(ライター稼業)をやっているとよく言われたり、おもわれたりするのが「文章を書くのが好きなんでしょ」ということです。

でもですね。正直に胸の内を打ち明けると、文章を書くのは嫌いです。嫌いというか苦手です。いやわかる。あなたのいいたいことはわかる。そんな人間が毎回毎回こんな阿呆な文章をだらだら書けるわけないだろう、と。

しかも一銭にもなってない。facebookはもちろんnoteだってまったくマネタイズとは無縁。どんだけ書いてもお金にならない。なのに書いてるってことはあなた、好きなんでしょ、と思われても仕方がない。

でもですね、本当に文章書くの、苦手なんです。じゃあ書くな、と言われてしまえばそれまでなんですけど。できれば何も書かずに毎日遊んで暮らしていけたらハッピーなんですけど。

しかし。

そんなぼくでも、30年ぐらい文章を書くことで飯を食い続けていると、年に1回ぐらい自発的に書きたくなるテーマが見つかることがある。

いま、それが、ぼくの目の前にある。手のひらの上に載っている。どきどきが止まらない。わくわくが抑えられない。このことについて書きたくて書きたくてたまらない。書くなといわれても書いちゃう。

それがThe-Good-Byeの『気まぐれOne-Way-Boy』である。

知ってますか?The-Good-Byeを。
知ってますか?『気まぐれOne-Way-Boy』を。

たのきんトリオっていましたよね。田原俊彦、近藤真彦、野村義男。この時点でわからない、という人はもうこの先を読まないでいいです。

『哀愁でいと』で音程というものを日本国民に耳で理解させた田原俊彦。『スニーカーぶるーす』で長音符というものを日本国民に体で理解させた近藤真彦。ふたりのデビューに遅れること3年、満を持してギターを抱えた野村義男通称ヨッちゃんがなんとバンド編成で世に出ることになります。

それがThe-Good-Bye。

ヨッちゃんはトシちゃん、マッチと比較して三の線。際立つスター性やアイドルとしてのオーラは一切ありません。しかしそのぶん、親しみやすさはナンバーワン。人柄も良さそう。その上、早くから「趣味はエレキ」「ギターの腕はプロはだし」といったスペシャリストの顔を持っていました。それがいよいよバンドデビューということで、日本中が沸き立ちました。すみません大袈裟でした。芸能界ではちょっとした話題でした。

それがThe-Good-Bye。

もともとは“ヨッちゃんバンド”というなんとも愛嬌のあるバンド名でした。それがオーディションを通して腕に自信のあるメンバーが集まりはじめ“野村義男&The-Good-Bye”に。そしてなぜかデビュー時にはThe-Good-Byeに落ち着いていたという出世魚みたいなバンド。

それがThe-Good-Bye。

ぼくが彼らをウオッチしていたのは中学3年生の頃でしたが、それでも「ダサいな…」と思わざるを得ませんでした。そして彼らのステージングを見るだに「これはもしかすると“ヨッちゃんバンド”ではなく“ヤッチンバンド”ではないのか…」と子供心におもうほど、リードギターの曾我 泰久の存在感が大きくなってきました。だってヤッチンかっこいいし歌うまいし。

そのときはヤッチンが東京都北区、しかも赤羽出身とはまったく知るよしもありませんでした。しかしその3年後、ぼくが東京都北区、しかも赤羽の隣の東十条に居を構えることになるとは、神様っているんだなとほっこりさせられますよね。

そんなことはどうでもいいとして。

問題は彼らのデビュー曲『気まぐれOne-Way-Boy』です。聴いたことありますか?ほとんどの方がないでしょう。あるいは「ガキの頃ちょっと聴いたかも…」ぐらいの人が多いのでは?

めっちゃかっこいいですよ、イントロ。もろステイン・アライブの「Far From Over - Frank Stallone」なんですが、いい大人のあなたはちっちゃなことは気にするなそれワカチコワカチコです。

そしていきなりサビ前〜サビではじまるのですが、驚くことにこの曲、1曲に5曲ぐらい別の曲を詰め込んだ『ユーロビートノンストップリミックスvol.16』みたいな曲なんです。

もろパクのイントロからの「ロッキントゥナアアイ…ぼくらは気まぐれ…」という冒頭の流れをぶち壊す「渚のぉ〜」そして「ツイツイツイストエンドシャウト」ここまでは許せる。しかしそこから無理くり繋がる「かんぱーいかんぱいーブギウギ少女」の流れ。いくらなんでも詰め込みすぎやろ。

ぼくがバンドでコピーした曲で一番覚えるのが難しかったのがナックの『マイ・シャローナ』だったのですが、それを軽く上回る難解な展開がこの『気まぐれ One Way Boy』にはあります。

それぐらい、脳幹というか脳髄というか、なんかどっか人間として大事にしたいところをくすぐられる迷曲、それが『気まぐれ One Way Boy』なんだってことを言いたかったんです。

一回聴いて「ふん」と思ったあなた。
2日後ぐらいに、なぜか、もう一回聴きたくなりますよ。ふふふ。

ライター人生を賭けても書きたかったことは以上です。書き終わって見ると大したことなかったな。後悔しかありません。

BGMは田原俊彦の『キミに決定!』に決定。

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