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イルミナシオン

どんなにあなたを傷付けても 嘘吐きの目を腫らすことももう無い
無神経な飴玉の匂いがする 笑顔のままでお別れの夢を
あの日から戻れない全てを思う 花売りの声は枯れて腐った
下らない話を夜明けまで 空っぽの希望に縋る事を許して

遥か彼方優しく手を振って 全てを抱き締めるその腕で
呪いを裂く様なナイフを 夜の海に投げ込んで

名も無き光で灰になるまで 無垢な身体ごと溶かして欲しい
我を忘れて 青を描いて 懺悔づく心も犯し尽くしてくれ
名も無き光で愛を知るまで 汚れた身体を濾過して欲しい
誰も嫌わず 嫌われもせず まるで怯えるホムンクルスだ

ミルキーウェイの星々を並べ プリズムを通して像を結んで
何光年先の死せる輝きを 生命ある内に讃えたかった

遠く離れた時間に向かって 誰も愛せないその言葉で
天使に触れたその愛撫で 夜明けの空の孤独を救って

名も無き光で肺を満たして 緩やかにその身を蝕んでいた
思い出抱いて 煙になって 風に吹かれて世界に溶け込んで
名も無き光で藍に染めて 青より深いその温度で
太陽とも溶け合って完全な白を掴みたい

目覚めの朝 あなたは居なくて そんな痛みは何処にでもあって
生まれて来る前に人は星だって 教えてくれたから何も要らなくて

名も無き光に泣いてしまうのは あなたの温度を思い出すから
いつまでも側にいて心を聞かせて欲しかった
名も無き光で恋に溢れて 今夜もまた生き存える
ありがとう 愛しかった さよなら

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