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天文学史11『現代の天文学』

中1の時のやつ終わり

その後の20世紀初頭、ヘンリエッタ・スワン・リービットによる明るさの変わる変光星の研究の中で、絶対等級と見かけの等級の差、つまり実際に恒星がどれだけ光っているのかと、地球からどの位の明るさで見えているのかという比較が出来るようになり、これによって地球とその恒星との距離が、視差で測定できないほど遠くても分かるようになり、計算チーム、ハーバード・コンピュータの一人であるアニー・ジャンプ・キャノンという数十万個の恒星をスペクトル、具体的には色と温度により分類しハーバード分類と呼ばれる分類法を確立、同じく恒星分類を行なったピッカリングと共に、天文学に写真の導入を進めた代表的な人物であるヘンリー・ドレイパーの記録を整理し「ヘンリー・ドレイパーカタログ」という星表を作成した。
 これにより星をスペクトルにより分類する流れができ、アイナー・ヘルツシュプルングとヘンリー・ノリス・ラッセルにより其々独自に縦に絶対等級、つまり恒星がどれだけ光っているか、横に温度などのスペクトルを記して恒星分類を分かりやすく書くヘルツュプルング・ラッセル図が作成される事となり、さらにカール・シュヴァルツシルトによって絶対等級と見かけの等級の比較により恒星の色や温度が分かる方法を発見、光の速さの研究でノーベル賞を受賞したアルバート・マイケルソンは恒星の直径の計測に成功した。

 20世紀初頭には星の構造についての研究が始まり、先程触れた恒星の分類表ヘルツシュプルング・ラッセル図が作られ、ヘルツシュプルングは恒星の色を調べる中で主系列星もしくは矮星と呼ばれる星の一群を発見、ラッセルはこの矮星同士の絶対等級、つまり実際どれだけ光っているのかなどを比較、互いにほぼ同じ位の明るさだったため、矮星同士が実際に近い関係にあるという事に気づき、その後、セシリア・ペイン=ガポーシュキンによりアニー・ジャンプ・キャノンのスペクトルによる恒星分類は恒星の温度に基づいている事が明らかにされ、さらに太陽などの恒星が水素とヘリウムにより出来ており、宇宙には水素が最も多く次にヘリウムが多く存在する事を明かし、それ以降、恒星の大気などの研究が進こととなる。

 銀河系など星の集合体の研究も20世紀頃に本格的に始まり、ハーロー・シャプレーはリービットやヘルツシュプルングなどの研究を参考に、ケファイド変光星という種類の星の明るさの変化を利用して数十個の球状星団、つまり恒星が沢山集まった物の位置を特定、その結果、太陽系は球状星団の回っている軌道の中心、つまり銀河の中心から外れている事を解き明かし、今まで当たり前に信じられてきた銀河系の中心は太陽であるという説を否定した。

 ヒーバー・ダウスト・カーチスはある星雲が天の川銀河、つまり太陽系などの星々がある銀河より遠くに存在している事を明らかにし、これにより、太陽は天の川銀河に数多ある星の一つに過ぎない事、天の川銀河以外にも多くの銀河が存在する事判明した。ちなみにシャプレーはカーチスの天の川の外に別の星雲、つまり銀河があるという説を否定し、カーチスもシャプレーの唱えた天の川銀河の構造を否定、二人で米国科学アカデミーにて討論会を行い、この討論会は大論争、英語ではザ・グレート・ディベートと呼ばれ、現在、天文学の進歩の象徴として有名である。
 その後、エドウィン・ハッブルによりアンドロメダ銀河が天の川銀河とは別の銀河である事が証明され、さらに銀河を楕円・渦巻・棒渦巻・レンズ状・不規則・特異に分類しハッブル分類を確立、遠くから伝わった電磁波は長くなるという赤方偏移(レッドシフト)という現象を以前に発見していたヴェスト・スライファーとは別に発見し、銀河の中にあるセファイド変光星の明るさと明るさの変わる周期、変光周期の関係を使って、赤方偏移が距離と関係する現象で、具体的にどれほどの距離でどれほど長くなるのかという事を数学的な式で表し、ハッブル・ルメートルの法則と呼ばれる法則を発見した。
 これにより遠くの銀河は地球から遠ざかっている事が判明し、宇宙が膨張を続けている可能性が高まり、同じ頃にハッブルとは別にアルベルト・アインシュタインにより重力に関する、時空を歪ませる事や重力波を起こす事などや、ブラックホールの形成などが唱えられた一般相対性理論で、宇宙の膨張が支持され、この相対性理論の宇宙膨張説はアレクサンドル・フリードマンによりフリードマン方程式が作られ証明され、ハッブルの証明より前から宇宙膨張を唱えていたジョルジュ・ルメートルにより宇宙は最初の原子(原始的原子)が爆発して広がっていったという所謂ビックバン説を展開した。
 フリードマンの弟子ジョージ・ガモフはルメートルの説を支持し、最初の宇宙は高密度かつ高温度で、これが爆発し、中の陽子・中性子・電子・ガンマ線が核反応し様々な元素を生み出したとし、これに対立し宇宙に始まりは無いというフレッド・ホイルという人物の説も物理学者たちにエレガントだとかで支持されたが、アーノ・ペンジアスとロバート・ウッドロウ・ウィルソンが宇宙マイクロ波背景放射という宇宙の全ての方向から同じ程度、観察されるマイクロ波を発見、これはビッグバンで出来た宇宙が段々と冷える中で水素が生まれた時に由来するものとされ、20世紀後期から21世紀初期には望遠鏡の技術が進歩しCOBE、ハッブル宇宙望遠鏡、WMAP、プランクなど宇宙に打ち上げられた観測用の衛星からの情報でビッグバンが有力となった。

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