見出し画像

小旅行と缶詰生活

4月18日
私は寝ぼけ眼をこすりながら、徐々に理性を取り戻した。
なぜ朝9時半に千葉県・袖ヶ浦にいるのだろう。

それは昨晩のことだった。
大学時代からしょっちゅうサシで出かける仲の友人から、いつものごとく突然のLINE。
「明日ひま?木更津のアウトレット行きたいんだけど」
これは一見誘いのメッセージのように読めるかもしれないが、どちらかというと召集勧告的な意味を持つ。まあ、私も外へ出かけたかったし、安く服が売っているなら買いたかったので誘いに応えることにした。
「夕方予定あるから朝9時半に袖ヶ浦駅ね」
二つ返事で了承してしまったが、調べたら自宅から2時間以上電車に乗らないとたどり着けない駅だった。どちらか車でも出せれば良いのだが、あいにくどちらも命の保証ができない。私に関して言えば、免許所得から一度も乗らずに更新を迎えた、超のつくほどのペーパードライバーだ。まだ死にたく無い。なので仕方なく、普段の数億倍早起きをして袖ヶ浦へ向かったという次第である。

駅からアウトレットモールまでバスで15分、徒歩30分。じゃあ歩くか、とだらだら喋りながら歩いていると、ナビが途中でこんな道を示し始めた。

あぜ道!!!!!
まごうことなきあぜ道!!!!!
嘘だろと驚愕するも、何度確認してもナビはこちらを進めと指示をやめない。ナビを無視したせいで知らない土地で迷子はきつすぎるので、あぜ道を井上陽水の『少年時代』を2人口ずさみながら歩く。その他、錆び付いた橋や推定2.5mのススキの生い茂る空き地を横目にずんずん歩き、開店の10時ちょうどくらいに目的地へ到着。

巨大なアウトレットモールをぐるぐる回り、ランチに海鮮丼、デザートにアイスを食べたり、熟考の末アウトレット価格とタイムセールとで安くなったワンピースを購入したりと、充実した時間を過ごした。

友人は夕方から用事があるようだったので、同じタイミングで私も自宅に戻る。
さあ、原稿の続きだ。文フリ用の原稿の納品を明日に控えているし、他の公募作品もまだまだ書けていない。早朝起床の後遺症とも言える睡魔と戦いながら、私は今夜も物語を書き紡ぐ。

この記事が参加している募集

文学フリマ

物書き志願者です! 貴方のサポートが自信と希望につながります!