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2023/6/3ポエフェスで読んだ詩

2023/6/3 萩原朔太郎前橋文学館で娘(2歳)と一緒に登壇して協力して朗読するはずが、娘が土壇場で寝てしまったので、爆睡の娘を抱えて発表した詩です。

良かったら読んでみてください😊

『雨の記憶』

あめざあざあじゅうご

君が教えてくれた

朝のアスファルトの輝くこと

お店も猫のように睡り目覚めること

お花も猫のように睡り目覚めること

それから

冬の猫じゃらしが小さいこと

春は猫じゃらしがいないこと

雨は野良猫がいないこと


雨ざあざあじゅうご

君が教えてくれた

朝のシャボン玉の輝くこと

夕ぐれのすべり台が金色なこと

雨のすべり台は鉄の匂いがすること

すべての水溜りは子供に踏まれること

雨靴いっぱいに雨水は溜まること

雨の日もたんぽぽは吹けば飛ぶこと

ほんのわずか目を離した隙に

子供は転ぶこと


雨ざあざあじゅうご

君が教えてくれた

はじめての怪我はとてもこわいこと

消えない傷跡もあること

でもそれも

どんどん小さくなっていくこと

大きくなるにつれて

君はとことこと

僕から離れていけること

その小さな背中


物心ついて

すべて忘れ去られても

傷跡はそこにあること

いつか小さすぎて見えなくなるくらい

君は僕から離れていくということ


雨ざーざーじゅうご

まだどんな数字も15に見えるとき

君はたくさんのことを覚えていく

雨の日も太陽の匂いの髪の毛

ムスカリの青い薫り

水田は海の香をまとい

暮らしの突風が想い出の綿毛を吹き飛ばしても

幼いてのひらの記憶は

猫じゃらしのようにやわらかく疼きつづける


雨ざーざー15

君が教えてくれた

雨を待ちわびる気持ち

誰かを待ちわびる気持ち

侘しさと 切なさと 心細さと

いつも感じている

睡りにつくときは

みんな一緒が良いと

強く願う気持ち


雨ざーざー15

どうか 君の美しい願いが

ぜんぶ叶いますように


僕の帰りを待ちわびた君が覚えた言葉

いつか僕がシャボン玉のように

もう目覚めない眠りから君に帰るとき

雨雲の縁でそれを教えてほしい


雨ざあざあじゅうご

雨ざあざあじゅうご


祈りながら

眠りながら

僕は待ってる

15時の雨になって

あめざあざあじゅうご

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ありがとうございました。

前橋は詩の都市として、非常に素晴らしい場所です。来年は娘と一緒に読めたら良いな、と思います。

いつか詩集を出したいと思っています。その資金に充てさせていただきますので、よろしければサポートをお願いいたします。