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高野山高校の快挙

(トップ画像はみんフォトより高野山・根本大塔)
  夏の甲子園を目指す地方大会が真っ盛りだ。きのうは和歌山県大会2回戦で智弁和歌山が高野山高校に敗れるという大波乱があった。

 ほぼ毎年のように高野山へ参詣に訪れる私にとって高野山高校のニュースは他人事とは思えない。

 智弁和歌山は春夏合わせて甲子園出場41回、優勝4回で、夏の和歌山大会は昨年まで6連覇中。同じメンバーの昨秋の大会では近畿ベスト4、夏の甲子園の優勝候補の一角ともされる。初戦敗退は2001年以来22年ぶりだという。「きっと野球部員は100人ぐらいいるんだろうなー」と思って調べたら、なんと部員数を1学年13人に絞っているので、総勢39名。スカウトとセレクションのみの少数精鋭にしているのだそうだ。

 対する高野山高校。

 全校生徒は118人(2020年度)というから、1学年40人足らず。野球部員は27名というから、まあミニ高校であることは間違いない。きのうの写真を見ると、ユニフォームの胸に「高野山」の3文字がデカデカと載せていて、私はそれだけで胸アツだ。

 2021年には県大会でベスト4になったこともあるが、この年の出場はわずか39校だった。100校以上が出場する神奈川県のベスト4とは意味がかなり違う。

 図らずもこの対戦は宗教対決にもなっていたことに気づいた。

 高野山は言わずと知れた高野山真言宗の総本山。対して智弁和歌山の母体・辯天宗も高野山密教の流れを汲む仏教系の新興宗教だ(高野山真言宗の住職の妻だった宗祖が大辯才天女尊から天啓を受け、その後1952年に辯天宗になった)。
 
 つまり「弱小の本家が旭日昇天の勢いの分派に一泡ふかせた」ということで、これは味わい深い。ま、そこに注目している日本国民は少ないのだろうが。

 思い出すのは、わずか11人の部員ながら1974年春の甲子園で準優勝して“さわやかイレブンブーム”を巻き起こした徳島の池田高校だ。

 とはいえ、和歌山県大会はまだ2回戦。高野山高校がこのまま甲子園に進むとは限らない。まさかの事態に和歌山の他チームは「高野山さん、ありがとう!」と張り切っていることだろう。
(23/7/16)


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