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浮かれたビジュアルの街

 業務の打ち合わせで千葉県浦安市へ赴いた。初めて行く場所なので地図を確認したところ、目的地は東京ディズニーシーのさらに奥、目の前が東京湾という立地である。ディズニーとはまったく関係がない工場だ。所要時間確認のため、往路は会社からタクシーを利用した。

 あらためて考えてみると、県境を越えて東京都から出るのは久しぶり、ことし初めてだった。オフィスを出る際に同僚に聞いたら「あ、僕もことしは東京から1歩も出ていないです」「俺はきょう、浦安行くんだぜ」「悔しー」と意味不明のマウンティングである。自宅が横浜市の女性が呆れ顔で聞いていた。

 復路は、工場の方に教えてもらったシャトルバスを利用してJR舞浜駅へ出た。周辺の会社の方々のためなのだろう、無料運行だが、身分証などの提示は求められない。各工場から出てきたおじさんたちでそれなりに混雑していた。

 バスはディズニーシーの敷地の脇を抜けて舞浜駅へ。パーク内の建物はどれもカラフルで丸っこいデザインを見せているし、駅にはあのネズミのシルエットを持つ丸っこいバスが停車していたり、ショップがあったり。街は非日常の浮かれた雰囲気がダダ漏れである。

 バスを降りて、工場から出てきたおじさんたちと改札へ向かう。JR京葉線ではお土産を抱えたお客さんたちと乗り合わせる。みなさん、楽しかったであろう一日の余韻を漂わせている。

 ディズニーランドは学生時代にアルバイトをやっていたし、子どもたちが小さい頃は年間パスポートを持っていたほど大好きだが、もう10年ほど足を踏み入れていない。「夢と魔法の王国」がいまも人々を魅了していることに敬服する。
 
しかし、その“魔法”が漏れ出しくる街が日常であるおじさんたちは、ちょっとかわいそうな気がする。
(23/2/27)

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