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スポーツノンフィクションを味わう

 阿部珠樹「神様は返事を書かない」を読んでいる。お名前を存じ上げなかったが「Number」を中心に活躍し、2015年に逝去された方。野球、プロレス、サッカーなど実に幅広いスポーツをカバーしているのがすごい。江川騒動に巻き込まれた小林繁の話など印象的。

 スポーツノンフィクションはそれほど熱心に読んできたわけでもないが、そういえばボクシングを扱ったものには熱い作品が多い。こうした作品は選手の心理を鮮やかに描き出すのはもちろんだが、そこに作家の個性もかなり反映されるのが魅力的だと気づいた。他の作品もさらに追いたくなるが、有名どころは山際淳司さん「江夏の21球」あたりか。あ、これも「Number」から生まれた作品だった。

 600ページもある「神様は」は読み終わらないうちに図書館返却期限になってしまい、また借りるしかない。長編小説だと致命的な事態だが、ま、こちらは短編集のようなものだから読了箇所をメモっておけば“復帰”できるのがありがたい。

 編集には不満も。基本的に雑誌連載をアトランダムに掲載しているので、当該項目がどの時点で書かれたのかがわからないと困る。もちろん巻末に一覧になっているが、それぞれの項目ごとに書いてもよかったのではないか。
(24/2/25)

 


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