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「カスリーン台風」

 日本列島を縦断した台風7号。紀伊半島に上陸した15日だけでなく翌日にも新幹線がストップした。月並みだが、改めて「自然の驚異」を感じる。

 それにしても「台風7号」という名称はいささか素っ気なく、記憶に残らない。

 たとえば。

 関東在住者としては千葉県に大規模停電の爪痕を残した台風について印象が強いのだが、それが台風何号だったのかはまったく覚えていない。「台風 千葉 被害」とネット検索をして初めてあれが「令和元年の台風15号」と認識。9月9日に上陸・通過したにもかかわらず、最後の地域は電力の復旧は27日になったという。

https://www.bousai.go.jp › output_html_1 › pdf

 日本は台風を番号で呼ぶが、多くの国は名前で認識している。

 これによると、件の令和元年台風15号は「Faxai」だったんだな。

 台風の名前で思い浮かぶのは「伊勢湾台風」「室戸台風」だが、これは被害が甚大だったためにあと付けした名称。

 1947年には「カスリーン台風」というのがあったことは、なんとなく知っている。Wikipediaは「当時、日本はアメリカ軍を主とする連合国軍の占領下にあり、台風の英名についても1947年(昭和22年)から1953年(昭和28年)5月まで、アメリカ合衆国と同様に、ABC順に女性の名前が付けられていた」としている。なるほど。

 女性の名前をつけることは、かつて米軍や気象関係者が妻などの名前を愛称にしていた名残りだそうだが、その後は女性限定はとりやめになったそうな。アタリマエである。

 災害の被災者のご苦労は想像もできないほどだ。そして「自分たちの被災が忘れられて、“なかったこと”にされる」のも辛いという。

  “ニュース消費”の速度がますます上がるいま。台風被害についても、関係ない地域の人にとってはすぐに他人事だ。「忘れない」ためには、やはり素っ気ない数字よりも人名で呼ぶ方が効果があるのではないか。
(23/8/17)

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