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万博8000円

 「2025年に開催される大阪・関西万博の大人の入場券を8000円(税込)に設定することが検討されている」という報道が出た。


 なにしろ万博にさっぱり興味が湧かないので、「ふーん、ずいぶんお高いんですな」以上の感慨もない。

 記事によると想定来場者数は2820万人だという。会期が184日間だから、単純計算で一日あたり15.3万人だ。

 これ、とんでもない数字である。

 大学入学直後の夏休みに東京ディズニーランドでアルバイトをやった。開業直後でまだJR京葉線舞浜駅もなく、地下鉄東西線浦安駅からバスに乗り換えて通ったもの。

 働いていると本部から1時間毎にその日の累積入場者数とその時間の滞留者数が発表される。記憶がもうあいまいになっているが、入場者数が6万人を超えるあたりからもう園内は人だらけだったものだ。

 会場の広さやパビリオンの数にもよるだろうが、その2倍以上の入場者となれば、会場内がごったがえすことは間違いない。そんなところに8000円も支払って、満足できる「体験」ができるのだろうか。

 恒常的な施設ではないので「しっかりリピーターをつなぎとめておく戦略」を取る必要もない。つまり「満足しないで帰しても、どうせ2回目はないでしょ」ということか。それでも「混んでるばかりで、ひどいことになっている」という口コミが広まったら集客は厳しいのではないか。

 エッフェル塔を建設した1889年のパリ万博は、世界の珍しい文物を集めてすごい熱気があったのだろう。1970年の大阪万博も、64年の東京五輪と併せて「戦後行動経済成長の日本の象徴」というワクワク感があった。

 しかし。

 これだけ世界が狭くなり情報が簡単に取得できる21世紀に「万国博覧会」にどれだけの意義と熱気を期待できるのか。

 私が関東在住だからだろうか、万博の情報に触れることはまだほとんどない。

 もちろん開幕が近づけばそんなこともなくなるだろうが、2800万人も集客するためには関西経済圏の外にも魅力を発信しなければならない。さらに、これを目当てに来日する外国人がどれくらいいるのか。

 お手並み拝見だな。
(23/4/27)

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