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心理的安全性を再考〜新卒と受け入れ側の誤解を解き明かす〜

4月になると新卒の方々が配属されます。配属されると、嬉しいのですが、ちょっと違和感をおぼえることがあるのです。

それは心理的安全性について。
単に「心地よい環境」や「不安のない状態」と誤解しているシーンに出会うことがあり、「ちょっと違うんだよな〜」と思うことがある。なので、少し考えてみることにしました。

心理的安全性と心理的安心の違い

そもそも、「チームの心理的安全性」という言葉を生み出したのは、エイミー C. エドモンドソン教授で、定義は以下のように定められている。

チームの心理的安全性とは、チームのメンバーが、リスクを冒し、自分の考えや懸念を表明し、疑問を口にし、間違いを認めてもよく、そのいずれをもネガティブな結果を恐れずにできると信じていることである。エドモンドソンに言わせれば、「率直であることが許されるという感覚」である。

心理的安全性とは何か、生みの親エイミー C. エドモンドソンに聞く
https://dhbr.diamond.jp/articles/-/9408

個人的にも、心理的安全性のある状態とは、チーム内で自由に意見を述べ、活発な議論を行い、成果を創出するための関係性が築かれている状態を指すように思う。チームの生産性やパフォーマンスを高めるための、意見の自由さと支援の文化に近い感覚です。

「安心」と「安全性」の違い

少し違う角度でも考えてみたい。
「安心」は、「心配や不安がなく、心が落ち着く状態」を意味し、これは「安全」とは異なる。「安全」は、危険ではないことを言っていて、心が落ち着くとかいう話ではない。辞書を引いてみても「共同体への損傷、ならびに人、組織、公共の所有物に損害がないと客観的に判断できる状態」とあったりする。
安「心」と安「全」なので、たしかに比べると意味が違うんだろう、というのがわかる。言葉って難しいですね。

確かにと思うのですが、日常においても、死にはしないので安全なのだが、心配ごとはある。むしろ尽きないなーと思う。そう思うと、安心と安全って全然違いますよね。

なぜ、必要なのか?の勘違い

そして、なんとなくですが、心理的安心と勘違いする理由の1つに、心理的安全性が「なぜ必要なのか?」がズレている可能性がありそうです。
エドモンドソン教授の研究とグーグルで行われた研究がよく知られていますが、心理的安全性はチームのパフォーマンスに影響します。我々はビジネスをやっているわけなので、ビジネス成果のために必要なわけです。別に個々人の人権のためとかじゃないんですよね。それは憲法や法律が果たす役割です笑
心理的安全性があると、多様な意見やアイデアが生まれ、イノベーティブな仕事が可能になるので成果が出る。新入社員・転職者・異動者などチームに誰かがジョインした時だけでなく、PJチームが立ち上がったときなども、早く、高いパフォーマンスを発揮してもらわないと困るわけなので、心理的安全性が不可欠とされるわけです。

違和感の正体

定義を踏まえて、ここまで考えると実は「XXXに困っている」とか「役に立ってるか心配」といった心理状態そのものは、割りと普通のことのように思います。それらを口に出せるような関係値になっているか?できる場があるか?が安全性を担保しているのだと言えそうです。
おそらく、私がずっと違和感を感じていたのは「心配がある」から「安全性がない」という解釈をされることだったのだと思います。

懸念や心配はあってしかるべきで、それを発話できるよう「貢献感を持てる役割の提供」や、意見が尊重される環境の構築」を問題として問うべきなんだろうなと納得できました。

最速でこの誤解を解くには?

とはいえ、4月に配属される新卒さんたちと「解釈違い」みたないな状態は続くと思うので、どうすればいいのだろうか・・・と思い、色々調べました。
エイミー教授が、 チームにおける心理的安全性を評価する方法までご用意くださっていたので、そもそもこの評価項目を理解してもらうことから始めるのが良さそうです。つまり、ゴール(何を持って安全性と評価されるか)が具体的にわかれば、解釈はあまりずれないだろうということです。評価項目は下記のようでした。

  • このチームでは、ミスをしても責められることはない。

  • チームメンバーは問題点や難しい課題を提起することができる。

  • 人と違うことを受け入れる。

  • リスクを冒しても安全。

  • 他のメンバーに助けを求めやすい。

  • 意図的に努力を損ねるような行動はない。

  • 個々のスキルや才能が評価され、活かされる。

これらの項目を具体的な例と紐づけて説明できるようにしていこうと思っています。おそらく、これで心理的安全性の輪郭ぐらいは理解してもらえるはず!

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