製図試験の振り返り その1

はじめに

このノートは当日の思考回路をまとめただけのもので、正否については検証していません。
あくまで個人的な備忘録を自己満足で作成しただけです。
一受験生が試験当日はどのような精神状態で、6.5時間という限られた時間の中でどのようなことを考え、どのように整理したのか、一つの図面を描き上げるまでのプロセスはこんなもんなのかーと参考程度に眺めてもらえれば幸いです。

試験開始

まず初めに、僕はものすごく上がり症です。
試験当日は運良くXで知り合い仲良くなった方が同室かつ隣の席で多少緊張が和らぎましたが、手汗びっしょり、問題文が配られる頃には心臓バクバクで、開始と終了10分はまともに文字が書けないくらい手が震えていました。

問題文の読み込み 主文

緊張でパフォーマンスが半減している中、なんとか氏名等を書き終え、問題文の読み込みを始めます。
Ⅰ.設計条件は今年も例年通り、主文、敷地及び周辺条件、建築物、その他の施設等、留意事項に分かれていました。
まずは主文を読み、コンセプトは多世代交流・文化活動拠点の創造、空間デザインとしては読書空間の自然採光と蔵書の保存管理、ハード整備の方向性は省エネ・再生エネ、この3つが今回のポイントだと読みました。
この主文は読み飛ばされがちですが、個人的にはここに「この問題では何を求めているのか」が要約されていると思っています。
取捨選択の判断や補足に何を書くかはここを元に判断すれば、求められていることから大きく外れることはないと信じ、主文を核に要求を満たすことを考えていきました。

課題文の読み込み 敷地及び周辺条件

「敷地に隣接する公園及び〜は図書館の所有者及び管理者と異なる。」
おそらくR5年は多くの方がこの一文に思考を巡らせたと思います。僕もここで一度立ち止まりました。
しかし結局は考えても明確な答えは出ないと思い、最低限「法規に係る部分は隣地の影響なくクリアできるようにする」という方針で進めました。
一つ前の文で二中・日影規制無しとあったことから北側斜線制限がかかることを意識していたので、ここには絶対に絡まないようにしようと考えたのを覚えています。
試験元が何を意図していたのかは解らずじまいですが、個人的には隣地を勝手にいじる(植栽の切開き等)ことの防止、高低差が恒久的なものではないことを示唆して高低差緩和による北斜回避を防いでいるのかなと納得して次に進みました。

課題文の読み込み 建築物

今回は建築物の欄に構造種別やバリアフリー法適合、ユニバーサルデザインについての記載がありました。
ユニバーサルデザインについては全体にかかる事項として頭の片隅に入れ、要素を散りばめることを考えていました。
要求室の特記事項にあった蔵書数については、要求床面積が「適宜」ではなく「以上」の記載であったため、室面積に対して書架の割合が少なくなければ要求面積以上で良いと判断しました。

その他細かい要求はいくつかありましたが、要求室が少ないことと多世代交流を求められていることから、共用部を広めに取ることを何となく想定しながら読み進めていました。

課題文の読み込み その他の施設等・留意事項

その他の施設等では東側の所有者・管理者が別の駐車場を利用することが一番の悩みポイントでした。
「南側の駐車場出入口を通って行くか?」
「いやいや北側公園経由が安全では?」
このような脳内会議を繰り広げた結果、
・駐車場は管理者が別でも使用して良いなら、公園も経路の一つにするのは問題ないだろう
・南側アプローチは公園側に対して閉じたファサードになってしまい、敷地条件を活用しきれないのではないか
(すぐ後に出てくる屋外ファニチャーの要求を、公園との連続性を持たせるために北に計画しようと考えていた)
・南側アプローチは歩車分離が明快とは言い切れないのではないか
これらの観点から西側エントランスの他に、西側道路からも公園からもアプローチできる北側エントランスを選択しました。
留意事項については気になる点がなかったため、特にマーキング等をせずにサラッと流しました。

課題文の読み込み 要求図書

ここでの気になるポイントは太ゴシックで書かれた「設計条件の要求等を満足したことを明示」の記載。
なんでこんな一文があるのか一瞬悩みましたが、これも管理者別と同じで考えてもわからないと思い、問題文を素直に受け取ることに専念しました。
ここでは、法適合・主文の3つのポイント・ユニバーサルデザイン・特記事項の動線配慮などの要求で、補足を書かないと分かりづらいポイントを明示しろということだと解釈して進めました。
その他は細かいカッコ内を読み、塔屋の破線図示や北側斜線など、初見かつ書き忘れたくないポイントをマーキングした後に赤丸で囲って目立たせていました。

情報整理

3回に分けて読み込みとマーキングを行った後は情報整理を行いました。
今回は二中・日影規制なし+要求図書のカッコ内小文字でのサイレント北斜、設計条件を満たしたことを明示の一文、設備を含めた屋根伏図の図示という記述出題から、北斜を偶然回避するのは許さないという圧力を感じました。
法適合という白か黒か明確なものが試験元の要求の一つだと分かってしまう問題だったため、気づきさえすれば差がつかないタイプの問題、つまりは苦手なプラン勝負になると思い焦りを感じたのをはっきりと覚えています。

問題文の読み込みだけで2000字を超えてしまいました。次回はエスキス時の思考についてまとめます。

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