製図試験の振り返り その2

エスキス時に考えたこと

その1の続き、エスキス時に考えたことをまとめていきます。

読取りの段階で、
・要求室そのものが少ない→おそらくボリュームを持て余す
・多世代交流やユニバーサルデザインなど、全体で求められる内容が要求室の特記事項に全く書かれていない→何かしらの表現が必要
・屋根伏図に設備配置の意味は?→屋根で設備が絡むのは北斜
という思考になっていました。
そのためこの時点で「エントランスホールを多世代交流の場として機能させる」「UDは記述とイラストでしっかり書き込む」「法適合は平面・断面・屋根伏図全てで書き込む」という方針を立てました。

アプローチ

読取り時に管理者別でも出入り可能と判断していたため、アプローチは北と西の両方から取れるように検討しました。
東側は全体的に活用できそうな条件がなかったため、管理動線は東に持ってくることとしました。

標準解答例のメインコアは南コアでしたが、僕は北に設けました。これはおそらく合否に関係がなかったかと思います。
僕がコアを北に持ってきた理由は、
・開架に公園への眺望は求められていない
・交流スペースや休憩スペースを設けるなら公園に向けたい
という2点があったからです。
「敷地図に惑わされるな、具体的な記述がなければ配慮は無用!」と教わっていたため、公園に対しては自由にできる。それならば「静謐な個の空間」である開架スペースよりも、ホールに「休息や活動の空間」という役割を持たせて公園に向けたい。と考えました。

北アプローチについてはSNS等で「所有者と管理者別という表現から、公園から出入りできる計画は厳しい。補足があれば減点で済むかも。」といったことが言われていました。
標準解答例では2例とも補足なく公園からも入れる(と解釈できる)表現となっていましたので、おそらく敷地内避難通路が道路に出られれば公園からの出入りは問題なかったと思われます。
(北アプローチについては個人的な考えを別のnoteにまとめました。)

階振り・スパン検討

スパンについては階振りとほぼ同時並行で行いました。ただ、建築可能範囲から7×7→42×28もしくは8×7→40×28のほぼ2択で、要求室も全て50の倍数以上だったためにほぼノータイムで8×7に絞り込みました。

階振りは1階に企画展示室、セミナールーム、ワークルーム、カフェ、2階に児童開架、対面朗読、閉架、3階に一般開架、自習室としました。
ここではまず、要求面積や天井高の関係を考慮しつつ、図書系と交流系に部門分けを行いました。
図書系は「個」の利用がメインのため2階以上、交流系は「多」の利用がメインのため1階に設けて多世代交流のためのエントランスホールと繋げよう。
この考えで各階とも余裕を持って40×28の箱に納まったため、その他の要求室は後から十分納められると判断し詳細検討は行いませんでした。

1/1000エスキス(ちびコマ)

要求室が少なかったため、求められた部屋がキレイに納まるか?よりも求められた部屋以外をどれだけキレイに残せるか?に主眼を置いていたと思います。
例えばセミナールームを2つに分けるためだけの無駄な廊下を作りたくないといったことや、2階以上のホールもできれば通路としての機能+交流・休憩の場としての機能を持たせたいということを思い浮かべていました。

倍コマ

本番では倍コマは使いませんでした。
もちろん課題ではしっかり使っていたのですが、たまに1/1000で主要室を全て整形に納められたら倍コマが無くても全てキレイに納められていたので、特に恐れることなく1/400へと飛び級しました。
この時残り時間が約5時間50分で、倍コマを行うとおそらくスムーズに行っても20分かかる。1/400はいつも1時間前後かかるため残り4時間半となる。記述で初見がいくつかあったのとイラストも多いから1時間半は欲しい。そう考えたら製図にかけられる時間は3時間ピッタリ。
僕は手が遅い方なので、作図で3時間は正直不安が残る時間でした。
このような心配も考慮すると、このまま1/400に突入して倍コマ分の20分残したほうが気持ちが楽だと判断しました。
今考えてみれば、そもそも細かい部分を納めるのが苦手なのによく思い切ったなと思います。

1/400

ここでもラッキーなことに、1/1000のゾーニングに近いプランをほぼそのまま1/400に落とし込めました。
見落としがちな外構動線の検討や、窓から書架を離す等の補足事項を書き込みながら進めてもかなりの時間が余りました。
そのため1/400では特筆するようなことは考えていませんでした。

しかし、ここで一つ重大なミスをやらかします。
このミスは作図段階で気づいたのですが、北側斜線を意識するあまり、道路斜線に引っかかる配置としていました。
幸い配置を1m北にずらせばどちらもクリアしたので事なきを得ましたが、柱を全て消し、外構の手直し等でエスキスに戻り、また柱を描き直すという手間で20分はロスしました。
しかしいつもの課題と同じく、今回も絶対に何か致命的なことをやらかすだろうと自分を信じていなかったので、「あー…まぁやっぱりやったよな」程度の感覚で済んだのが精神的に良かったのかもしれません。特に焦ることなくそのまま作業に戻れました。

エスキス時の思考まとめ

ここまでがエスキス時に考えていたことです。
問題文の要求は常に大(コンセプトやUD等全体にかかること)→中(要求室にかかること)→小(図面毎の記載要求)となっているので、まずは「大」を見失わないように注意していました。

次は製図と記述のミス分析をして終わりにしようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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