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今日の日記2022/02/02


同人誌を作りかけて95%までいっていたのを放置してあったのを、最近やっと完成させるための工程に入っていて。

それはそうと、ひとから激推しされたので『偶然と想像』(濱口竜介監督)を慌てて観に行く。東京だと渋谷と世田谷しかやってない。おととい推されて、昨日は一日バイトで行けなかったけど昨日渋谷の「Bunkamura ル・シネマ」だったらツイタチ割引と火曜日割引が重なった日で、混むから行けなくて丁度ラッキー。割引が重なっても倍々にはならないけどラッキー。でも今日は600円高い。

面白かった。4回くらいポンッ、と場内全体が笑ってた。1話目で1回、2話で2回、3話でまた。1話目の最初のほう、これは面白いなあ!でもこれで諸手を挙げるひととどう分かりあえばいいんだろう。と思ってたらカーブしていった。『カメラを止めるな!』のときも、面白いけどここまでなのか!?とか思ってたらもっと展開していった。人の評判をひじ掛けに載せながら観るというのは。それにしてもいい時間が流れる。たまらん。タマランチ会長。こういう、とっくに賞味期限が過ぎてるし誰かに伝えたいわけでもないまま口に住み着いてしまったダジャレと、みなさんはどう付き合っていますか?

ル・シネマを出てエレベーター乗らずエスカレーターで、これは細い、えっしまった。と思うくらい長いエスカレーターだったがレストラン&ギャラリー街に出て、そこからひとつエスカレーターで下ると、書店です。ここで装丁をあさる。同人誌の参考になるカッチョいい装丁をさがす・・・特に海外文学の装丁って妙にカッコいいのが多い。好みの問題? それにしても内容と溶けあった心に染み入る装丁、などが頭をよぎらない人間性はどうしたものか。
いつでも思い出すのは、漫画家&コスプレイヤーの蛮ねえさん、こと一本木蛮さんの言葉で、同人誌は中を開いてもらわないと読んでもらえないわけですけど、コスプレはパッと見でわたしの表現をもう見てもらえる、すごいなと。いうようなことをおっしゃっていた。´80~’90年代のことだろうけど今はもっともっと「パッと見」が進行しているように思うし、なんで蛮ねえさんを知ってるかといえばむかしの『学研の科学』のカルチャーページがおかしかったからだ。タナカカツキ先生も連載していた。なんだったんだあれは。

海外文学の棚は、はたしてカッコよかった。気になった装丁を手掛けた人をメモ。スタニスワフ・レム・コレクション=水戸部功さん。あとは坂野公一さん(welle design)、川名潤さん、名久井直子さん、細野綾子さん、水崎真奈美さん、などなど。あとはなんか不動というか、落ち着いて綺麗だなーと思ったら鈴木成一デザイン室、コミックビーム系のマンガでよく見るのはセキネシンイチ制作室。名前が、記憶が、脳にいどんでくる。

夏に冷蔵庫を買いかえて、省エネ性能の高いものだ、という証明を送ることでなんと1万円以上のJCBギフトカードをもらっており、都から。ギフトカードというから籠フルーツとかを成城石井とかキノクニヤでそうしないといけないかと思えば、電器屋でも本屋でも使える。そうして本を買う。

帰りの電車で『寝ても覚めても』(柴崎友香)を読みはじめる。これも濱口竜介監督作になっている。それ以上に東出と唐田のラブストーリーが生まれた作品で、事実は小説より奇なり、だけど冒頭からめちゃくちゃ笑う。描写がすごい。なんでもない、見たことのある風景といえばそうでも、それを描く、的確に描写されて明確に頭に浮かぶとはじける。こんなに笑う小説だと、誰が知っているのかしら。読んでる人は知っている。ひがしで、としか思ってなかった昔の自分はしらない。柴崎さんの小説はいつも笑う。

渋谷ついでにツタヤでCDをレンタルする。サブスクを知らないんですか?知らない。それ以前の、アマゾンでmp3のデータ販売しだした頃CDよりお得ですよと聞いてでもmp3って圧縮だからCDより音悪いんちゃうの。それで500円引きになってもそれは損なんちゃうの?どうなの??と思ってたしそんなにネット環境強くないからまだレンタルして取り込んで聴く。オリジナルラブ、くるり、ビートルズのサージェントペパーズ、坂本龍一。おっさんばっかりじゃないか。オリジナルラブは高校生のときにはまって全部聴いて、各アルバムごとにスタイルが変わっていって(特にイレブングラフィティ~踊る太陽あたり)9枚目の『ビッグクランチ』はほんともうわけわかんなくてすごく好きで、ずらっと並べたときにジャケットが「お、音とおんなじだ!」とびっくりしたのだった。なにが音と同じなのか、説明はまだできないけど同じなのだ。見れば、あーこのアルバムのジャケットだなあ~。と思う。なんでか。それは装丁。
『死んだらJ-POPが困る人、CDジャケットデザイナー木村豊』という本があって、これはスピッツや椎名林檎&東京事変や木村カエラやいっぱいいっぱい、あれもこれも同じ人ですか!と驚く木村豊さんの来歴仕事歴スピリッツを紐解いたたまらない本。

そうこうしていると、検索で『つつんで、ひらいて』(広瀬奈々子監督、2019年)という映画に行きあたり、これは装丁家の菊池信義さんのドキュメンタリーで、すごい本丸にたどり着いてしまった。菊池さんといったら勝手な印象に鈴木成一デザイン室の先祖みたいな、カチッとした文字組みの落ち着いた人文書、神田古書店街。みたいなムードで、でも拳で殴りかかってくるような野蛮なフィジカルもあるような、そんな感じじゃなかったか。1万5千冊手掛けたと、キャッチコピーに書いてある。ばかりか、さっきメモった水戸部功さんも、出ている。早い! つながるのが早い。シナプスが沸く。スタンディングオベーション。
DVD販売中・各種配信中で、DVDのデザインももしかして菊池さんなのか?わからない。それにしても手軽な配信じゃなくガッツリDVDを買ったとき、今だとHD配信のほうが画質がいいのは釈然としないが、さっきから音質とか画質とかばっか言ってるな。

配信で観る。のっけから金言が連発し、装丁はテキストの肉体だから。タイトルに雨があるから本体の下部が白っぽくしてあって、しぶきの跳ねたように…それをめくると遊び紙。黒。からの、扉が赤!!!そこでコトが起こる、事件なわけで。
つくづくドキュメンタリーはビックリ人間を見せてもらうものというか、あらゆる感触、触角、五感がこんなふうに発達しているんだというのをまざまざ見せられる。なにをおれは、カッチョいいとか言っていたのか。もっともっと装丁から感じ取れるものがたくさんある。水戸部さんは菊池さんのお弟子さんとのことで、作中では師匠の高すぎる壁に苦悩する若者、みたいになっていたが…ハヤオとゴローみたいに。水戸部さんドキュメンタリーを撮ればそれはまた変わる。あと終盤、引退について訊かれて否定はしなかったシーンのあとにいきつけの喫茶店でぼんやりしている場面になるのだが、そこで「人生の来し方行く末に思い巡らしている」と思うのはまったく映画の編集マジックで、あの喫茶店ぼんやりがどのタイミングで撮られたカットかはわからないわけで、人生のどの局面にもいきつけの喫茶店でぼんやりくらいはするもんだ。って、なぜか映画から距離をおいてみてしまった。この用心深さはなんなんだろう。すごい面白い映画なんですけど。でもドキュメンタリーのエモーショナルなところって、なんかこわいやね。

和田誠さんの装丁の本は読んでいた。『装丁物語』。そこでバーコードがいかに装丁にとって邪魔であるか、まったく流通の都合であり文化をないがしろにしているか、を説いているのだけど、『つつんで、ひらいて』で菊池さんはそれをいかに乗りこなすか、という方向で話していて意外だった。

そんなわけで装丁~CDジャケ~デザイン~「こさえる」、ことについて。



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