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【採択者紹介】久留⾶ 雄⼰『家劇場の物件探し in 福島浜通り』①~

全国・世界・地元から、福島県浜通り12市町村にて芸術家が滞在制作をする「ハマカルアートプロジェクト」(経済産業省令和5年度地域経済政策推進事業(芸術家の中期滞在制作支援事業)。

その採択プログラムのひとつ、俳優として南相馬市小高区を拠点に活動されている久留⾶ 雄⼰(クルビ ユウキ)さんによる
『浜通り地域における「スペース」(場)のリサーチと「スペース」づくりの活動の冊子制作』
について、そもそも今回のプロジェクトチームの背景、そして本事業によって、どこで・なにを・どのように活動し、成果とするのかについて、シリーズでご紹介します。

第1回目として今回は
・久留飛 雄⼰さんについて
をお伝えしたいと思います!

【今回の採択者、俳優 久留⾶ 雄⼰さんとは…?】

ー 久留⾶さんの紹介 ー
※ 表紙の写真は南相馬市での取材の際の久留飛さん
1990年、福島県福島市生まれ。3.11発生時は大学2年でインド留学中。
山梨県立大学国際政策学部卒業後、竹中直人さんや段田安則さんをOBとする演劇学校 劇団青年座研究所を経て、現在は劇団青年座所属の俳優として活動する傍ら、2023年4月に南相馬市小高区へ移住。地域活動・まちづくり等にも関わっている。

「どうして俳優の道を志したのか」という問いに対して、持ち前の明るさで「高校までは何も考えてなかったんすよね~」と久留飛さん。
なんとなくよかった成績も、高校時代に芳しくなくなり、その反動で大学進学後は学問に励んだり等々で忙しく過ごしていたそうです。

―「なんで国際協力したいの?」の問いの答えが、まさかの「俳優」―
そんな学生生活の中、国際関係や国際協力に関しての活動・研究を行うゼミに入った久留飛さんは、インドへボランティア留学する機会を得ます。そこでインドの受け入れ担当者からの「君はどうして国際協力がしたいの?」という問いに対し、明確な答えができなかったそうで、逆にインド滞在は"自分が本当にやりたいことと向き合う期間"でもあったとのこと。
そんな中、遠く離れたふるさと福島県も被災地に含む2011年3月11日、東日本大震災が発生します。
震災による人生の不確実性を感じたりする中で、帰国したタイミングで“ほんとうにやりたいこと”を見つめなおした結果、頭に浮かんだのが「俳優」だったそうです。

配役を演じる久留飛さん(過去の講演より)

そうして俳優の道をまっすぐに進んでいった久留飛さんですが、10年ほど経った頃から自身の演技に対し、
・演じることが純粋に好きだったはずが、いつの間にか他者からの見られ方に重きを置くようになり、ただ"こなして"いるような気がしてきた
・演技を通じて社会に対する問題提起や気付きを提供する俳優でありたかったはずが、職業性もあり、社会から遠くなりがちなことに気付いてきた
・実体験として被災していない震災と、自身の距離感の取り方が難しくも気にはなっていた
といった想いを持ち始めたそうです。

―避けてきた"震災"と向き合いに、ふるさと福島へ―
そんな中、2022年末に、南相馬市小高(浜通り)へ訪れる機会を得ます。
福島市(中通り)出身ゆえ、"間接被災"しかしていない。ましてや震災当時は日本にいなかった自分。
県内で最も震災・津波被害が大きく、そして原子力災害が続く浜通りに触れて「自身のふるさと、福島で起きたことと向き合うことなく過ごしてきた11年間、少なくとも自身はまだなにも始まってないし、なにも成し遂げてません。でも、ここからスタートさせたい」と感じたそうです。

"新しい風"が吹き始めている小高区(南相馬市)

それから半年もしない2023年4月には、なんと南相馬市小高区への移住を決定!
久留飛さんにとって小高は
・相双地区で初めて関わった演劇の現場であること
・相双(相馬・双葉=いわき市を除く浜通り地域)地区唯一の民間劇場がある場所であること
・強力なコミュニティがあって、情報やアイディアが集まっている場であること

そして小高に根差して企業支援等を行っている、小高ワーカーズベース代表 和田智行さんの「フラッと来ても何とかなるのが小高」という言葉に心強さを感じたことから、自身の新たなライフステージとして選んだそうです。

そして、新たな挑戦の第一歩として本事業「ハマカルアートプロジェクト」にエントリー、今回のプロジェクトに取り組んでおられるとのこと。

ということで、今回は久留⾶ 雄⼰さんについてご紹介いたしました!
そして、そんな久留⾶さんが一体どんなプロジェクトを推し進めているのか、みなさん気になられたかと思います。

次回は、本プロジェクトで久留飛さんが招聘したアーティストについてご紹介します、お楽しみに!
(特筆等ない場合、各数値等は執筆時2024年1月時点のものです)