原英史(元国家戦略特区ワーキンググループ座長代理)の名誉毀損裁判で深まる特区の闇


数年前から争われてきた毎日新聞との裁判で、最高裁が上告棄却(追記ですが、上告棄却ではなく、上告を受理せず、ということで、門前払い=検討の対象外だったようです)で判決が確定したらしい。

名誉毀損で賠償金を支払ったのは、毎日新聞だったとのこと。

以下では、次のように呼ぶ。

・国家戦略特区ワーキンググループ:特区WG
・株式会社 特区ビジネスコンサルティング(法人番号5290001068862):
特区ビズ社
・株式会社 政策工房(法人番号2010401084382):政策工房
・土日夜間議会改革・地方議会を変える千代田区会議:原代表の政治団体



(記事の一部引用)

『1審の東京地裁判決は、14年を法人負担とし、15年の法人負担にも真実だと信じる相当の理由があると認定しました。しかし、2審の東京高裁判決は、14年の懇談を記事にする際、懇談場所について「総菜を盛った大皿が並ぶカウンター席で」と表現したことで、飲食を伴ったものと読めてしまうほか、15年の会食費用について「学校法人が負担したかどうかについて幹部の供述は必ずしも明確ではなく、記者が明確にするような確認をした事実も認められない」として、名誉毀損が成立するとしました。』


東京高裁の判決分が分からないので、裁判所が何の、どういう部分について「名誉毀損」と認めたのかが謎である。

原告側の主張は「会食時に奢って貰ってないのに、タダ飯を食べたかのように書かれたので、名誉が傷つけられた」ということか?
高裁判事はこれをもって「社会的評価が著しく低下」すると言ったのでしょうか?


まあ、実際には飲食してないとか、仮に酒食を共にすれども自腹で払いましたとか、そういう理由なのかもしれないが、嫌疑がかかるのを嫌がるなら最初から酒食の席に出向かなければよいではないか。
もし、WG委員として出かけたならば、だが。


問題の本質は、内閣府・国家戦略特区諮問会議(及び下部組織の特区WG)が事実を公表せず、必要な説明も行わず、諮問会議の決定過程に重大な疑義ンが生じていたこと・特区の「選定」過程が不透明であり特定の特区WG委員の個人的活動が不可解であったこと、などは、裁判結果を通じても以前として闇の中であるということだ。







当時から疑問視されていた点は

①特区ビズ社の顧問に、原が社長を務める政策工房の代表取締会長である高橋洋一が就任していたこと

17年当初は活動趣旨賛同、と説明。
が、数年後には知らないと宣言。

https://twitter.com/YoichiTakahashi/status/1183939848790396928


②特区ビズ社の東京出張所の住所が、原が代表の政治団体と同一住所、電話番号であったこと

③14年11月に福岡で会談(会談1と呼ぶ)した際、内閣府の特区諮問会議担当審議官が、特区ビズ社の人間が同行していた学校法人幹部に原と同席した理由

④会談1を実現する為、どうやって原が面談相手の学校法人幹部と知り合い、その面会場所(飲食店)に行くことが出来たのか

⑤原が学校法人幹部や理事長と面談した理由は何か
(私人の面会なら会食だろうと食事を奢ってもらおうと何ら問題ないので、名誉毀損になど該当しない)

⑥特区ビズ社は会社設立日が2015年1月15日なのに、特区WGのヒアリングが翌日の1月16日に実施されていたこと
(設立以前の法人である特区ビズ社の人間は、どうやって学校法人が特区提案をしようとしていたのを知り、原との接点をどのように創出できたのか)

⑦1月ヒアリング終了後の15年2月、福岡での法人理事長との面談(会談2と呼ぶ)は何を理由に実施したのか、原の立場は特区WGとは無関係なのか


原は特区ビズ社とは何ら無関係だ、と主張する。
同一事務所で同一電話番号を共有する程の関係なのに、一切関わりがないというのも疑問であろう。(①、②)
経費の按分とか折衝がないと無理なのでは。

また、原の元に特区提案を「検討している人」がどうやって連絡をつけたのか?(④)

会談1の際、特区担当審議官が原と面会場所へ同行した理由とは何か?(③)
特区ビズの人間と無関係の、偶然にも特区関係者(担当官僚とWG座長代理)が揃って「提案を検討してる人」に呼び出されて面会に行くべき理由とは?


原座長代理が、全くの私人で面会しだだけなのに、どうして名誉毀損に至るのか?


原は元官僚なので、国家公務員のお作法や人事院規則に明るいことは当然だろう。それを承知の上で行動していたのであるし、WG委員が個人単独で活動できる理由も根拠も存在してないのであるから、提案の助言や調整、ヒアリングなどという業務(職務)は存在しない。


最初から私人と思っているなら、誰と面会しようがタダ飯をごちそうになろうが、何ら法的問題はないと断言できるだろう。

最も問題になったのは、国家戦略特区がHP上で公表した反論文であろう。WG委員の役割として、公務員でもない私人の非公式活動を堂々と宣言していることだ。


毎日新聞社の国家戦略特区を巡る報道への抗議

令和元年 7月 17日
国家戦略特区諮問会議民間有識者議員一同
国家戦略特区ワーキンググループ委員有志

(秋池玲子、坂根正弘、坂村健、竹中平蔵、 八田達夫、秋山咲恵、阿曽沼元博、安念潤司、 岸博幸、中川雅之、本間正義、八代尚宏)

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/pdf/190717_kougi.pdf

2ページ目の囲みの中に以下の記述がある。

『国家戦略特区ワーキンググループ委員が規制改革提案・要望を持つ者や関係 の政府機関との打ち合わせを行う際に、提案者保護などの理由から、必要に応 じ、非公式な打ち合わせを行うことは、効率的・効果的な規制改革の実現にと って合理的であること。』


WG委員が個人的に非公式の打ち合わせや接点を持つことを当然の権利であるかのように主張しているのだ。
これではまるで、「原座長代理がWG委員の肩書」で活動しており、福岡で2度の面談を行っていたようにしか読めないが?

また提案者保護と言うが、もしそれが本当なら、会談1の際に特区担当審議官を敢えて同行させるのは何故なのか?
秘密保護を旨としてたならば、官僚を同席させる方がリスクが高いのでは?

また、WG委員は単独で「ヒアリング」ができるという根拠・理由もないが?
内規では「委員の過半数」により特区WGの機能が発揮されると書かれていたが?


また、同抗議には
『提案者の要請に応じ提案者の保護が必要な場合や、その他、 本格的議論に入る前段階での調査や情報収集、制度実現に向けた最終的な文 言調整などの局面に当たっての打ち合わせの場合』

とあったが、報道された学校法人の提案内容とは「外国人美容師」の規制緩和であり、1月中に同内容の提案者が「顕名」で提案していた。特区ビズ社を介さずに、だ。


私人としての原が個人的に行動していたはずなのに、抗議では完全に「WG委員」としての立場から正当業務であったかのような説明を延々としているわけである。
つまり、国家戦略特区諮問会議もWG委員も、皆揃って「原座長代理のWG委員としての職務を正当に実行しただけ」と主張してたに等しいわけ。

公務員ならば収賄に問われかねない、との指摘が出たりしてたが、私人なので無問題との立場だったのでは?

森ゆうこ議員の質問内容漏洩事件の際、原が高橋洋一に送信したメールは「私人」だったから問題なし、と地方創生担当大臣が国会答弁したのはどこに行ったのか?

追記(14日午前9時頃)

北村地方創生担当大臣の国会答弁

『十月十一日金曜日の十九時過ぎに、森ゆうこ議員から内閣府事務局に対し、原英史国家戦略特区ワーキンググループ座長代理に対する参考人招致の要請と質問通告があったとお聞きしております。これを受けて、二十時ごろに、事務局より原氏に対して当該参考人招致の要請を伝えるとともに、その諾否につきまして判断を求めるため、質問通告の内容を送付いたしたと聞いております。

 原氏が受け取った質問通告の内容を確認したところ、その中に嘉悦大学に関する項目があったことから、原氏自身の判断により、必要な事実確認を行うため、嘉悦大学教授の高橋洋一氏に対し、質問通告の資料は渡さずに、電話とメールで連絡を行ったということであります。

 本件は、森議員からの質問通告を受け取った原氏が、私人としての判断で高橋洋一氏に連絡したものであり、本件について、参考人招致の要請を受けた原氏以外の第三者である高橋氏に、内閣府から直接接触をしたり情報を渡したりした事実はないと承知いたしております。

 このため、本件について、内閣府から通告内容が漏えいしたという事実はないというふうに私としては確認をいたしました。』




池田信夫曰く、原英史の手元に「質問通告の到着時刻19:13」と書いてた。
内閣府担当大臣の国会答弁とは全く異なる証言なのだw



ここで池田信夫の言う「14項目の箇条書き」とは、足立議員が後に開示する情報で明らかとなった。
その14項目には「嘉悦大学」の文字は何処にも存在しなかった。


しかし、原英史が高橋洋一に国会質問で大学名を見たのでメールした、と証言していたのだ。
内閣府官僚は原座長代理に対し「国会参考人招致」の可否を問う為、メールで森ゆうこ議員の質問事項を送信したと、大臣国会答弁があった。
また、原は私人として高橋洋一に国会質問内容を送信と大臣答弁があった。

この中で原自身が証言してるのが

『私は政治家ではなく、立候補したこともするつもりもないので、「原座長代理の政治団体」なるものは存在しない。』

と書いてるが、「土日夜間議会改革・地方議会を変える千代田区会議」という政治団体の代表者は原英史となっており、住所が特区ビズ社と同一住所であり電話番号も共有していたわけで、納税の経費算定の際、電話料金の按分比率が必要になるはずなので、無関係を貫くことは不可能だろう。



参考:


またも足立康史議員の大活躍により、質問通告遅延問題は役所がグルと判明


因みに、足立康史議員が22時に入手したとされる森議員の質問通告(14項目)の「22時ペーパー」には、原が高橋洋一にメールした理由に挙げた「嘉悦大学」に関する事項はどこにも存在してなかった。



追記:

高橋洋一の弁明は次のようなものであった。


(一部引用)

(5)11日(金)の夜、筆者は原氏から電話で、「森議員の15日の参院予算委員会質問通告項目の中に、筆者(髙橋)の所属する嘉悦大学の名前が出てくるが、毎日新聞からの取材は(大学に)今もあるのか」との連絡を受けた。

(6)同じ時間帯に、筆者は原氏から同じ内容のメールを受けた。添付資料はなかった。

11日夜の時点で、原と高橋洋一は「嘉悦大学の名前が出てくる」と知っていた。
原から電話を受けたこと、同時間帯に同内容のメールを受信したこと、を証言した。
しかし、足立議員が入手した22時ペーパーには「嘉悦大学」の文字は存在しない。池田信夫が原英史の14項目の質問通告入手時刻を正確に「19:13」と記述していた。

内閣府官僚が参考人招致の諾否確認の為、原に連絡したというのが「20時頃」という北村大臣答弁が事実なら、参考人招致の要請以前から「原の手元に質問内容」が届いていたことを、池田信夫はどうやって知ることができたのか?


謎の内閣府官僚が「私人の原英史」に対し、20時頃の参考人招致の要請前から「14項目の質問通告」を伝達してたのは何故なのか?


上記参考記事中でも次のように述べた。

『内規ではどうなのか、というと、WGは座長が招集し(2条)、過半数の出席で成立(3条)する。

運営要領

>https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8218780/www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/dai3/sankou2.pdf


つまり、WG委員の単独での開催は不可能であり、一人しかいない状態でのWGというのは、前項で見た通りただの「私人」である。WGとしての活動は、個人単独では成立しないのだ。』


しかし、HPに掲載されていた特区諮問会議やWG連中の抗議文を見る限り、WG委員単独での職務は正当化できると認識していた。それが、あの原擁護の内容である。




法人の登記手続が終わるまでは、法人登記情報を確認する手段はないわけですよね?

けれども、内閣府国家戦略特区の事務局が提案者たる「特区ビズ社」の申請書類を受付ており、事前に「ヒアリング開催日」を伝達してたわけで、会社設立前から決めておかないと、普通は無理では?


設立日がもっと前からで、会社自体は存在してたけど、申請が遅れて「設立日」が2015年1月15日になった、とか?
もしそうなら、内閣府側が何故そんなに急いで、緊急にヒアリング開催日を設定する必要があったのか?

普通は、申請書類が整ったら、受領で良いでしょ?
法人の謄本を添付してくれ、という話なら、登記完了後に謄本発行が可能になってからヒアリング日を設定すればいいだけでしょ?

設立日の翌日には、法務局で謄本発行はできないですよね?
設立日より前の時点では、登記できないでしょう?


それとも、不可能を可能にできる何らかの力でも働いたとでも言いますか?
無理でしょ?






国家戦略特区諮問会議の肩書を利用し、その地位で法的権限すら持たぬただの私人が大臣と折衝したり情報共有したり、3大臣会合の面談前に石破4条件をクリアしてるかどうかを検討したりとか、自分勝手に快刀乱麻の大活躍なんてことが現実に行われていた可能性、ですね。


更に追記:

竹中平蔵(国家戦略特区諮問会議・民間議員)による特区ビズ社を紹介した発言が諮問会議の席上で行われていた。一民間企業を取り上げて説明するとなると、どういう関係性があるのかが気になるところだ。


2015(H27)年6月29日 特区諮問会議 議事要旨

https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/dai14/gijiyoushi.pdf


(p.5下段から引用)

『第3番目に、先ほどプロモーションが重要だと申し上げましたが、前回の産業競争力会議で、特区ビジネスコンサルティングという会社ができているということを申し上げましたが、ほかにも調べてみると、地方議会ニュースというニュースサイトがあって、実は先週金曜日のシンポジウムの件での大臣の発言とか、副大臣、政務官の御発言とか、かなりこのサイトに出ていて、これがいわゆる改革の触媒としての役割を果たしている。そうい うプロモーターの情報を集めて発信していくことも重要なのではないかと思います。』


竹中の言っていた『地方議会ニュース』というのは、原英史や当時客員研究員だったらしい山本洋一ら、政策工房の人間が関係していたのではなかったか?



参考:



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